【BARKS編集部レビュー】音茶楽Flat4-櫻Plus、柔よく剛を制す

音茶楽のハイレゾ対応イヤホン、Flat4-櫻Plusが3月11日に発売となった。早速手にしてじっくりと素養を確かめてみたが、高評価を得たまま生産終了となり今では伝説的な存在となってしまったflat4-楓の正当後継機として、素晴らしい完成度をみせている。位相補正チューブが2mmほど長くなった緋バージョンとあわせても500台弱しか製造されないので、購入は急いだほうがいいだろう。このサウンドは間違いない。

◆音茶楽 Flat4-櫻Plus画像

初代のFlat4-楓は高度安定の評価を勝ち得たが、2014年10月に登場したFlat4-楓弐型では、制振構造のさらなるブラッシュアップを図ったことで、高域特性がぐんと向上することとなった。品質クオリティは確実に向上しており、これを刺さると表現するのは筋違いなのだけど、閉管共鳴を抑える位相補正チューブの長さが自分の外耳道長と合っていなければ、この特性があだとなり高域がきついという評価が噴出してしまうリスクを抱えていた。その裏目が風評を生み、Flat4-楓弐型は初代よりも高い実力を持ちながら評価は下回るという不遇のモデルとなってしまった。



そこで登場したのが今回の最新機種、Flat4-櫻Plusである。Flat4-楓弐型と同等の構造と構成部品を用いることで初代よりも品質を向上させながら、センターキャビに山櫻無垢材を用いることで、煌めくような高域にふくよかさと滑らかさが融合する素晴らしいサウンドが誕生している。私の耳には、Flat4-楓をさらっと凌ぐ素晴らしい聞き心地が実現されており、初代のFlat4-楓を基本とすると、甘くなめらかなトーンだが透明感は劣っておらず、クリアで伸びやかさは世のどんなイヤホンをも萎縮させる貫禄の仕上がりだ。


なお、商品名に「Plus」の名が加わっているが、これはプラグから分岐間の線材を1本増やしグランド線を独立させた4芯構造を意味している。これまでのFlat4シリーズは全て3芯だったため、容易にバランス化が図れるのもFlat4-櫻Plusのアドバンテージだ。ちなみに音茶楽のイヤホンの場合、3.5mmミニプラグ部分に「＋」表示があれば4芯、なければ3芯仕様となる。この「Plus」部分だけを見ても、既存のFlat4愛用者にとってFlat4-櫻Plusは追加入手の価値が充分にありそうだ。


山櫻無垢材から削り出すセンターキャビネットに製産限界があることから500台弱という生産量となってしまう。販売終了になるのも時間の問題だが、位相補正チューブの長さは標準のFlat4-櫻Plusがいいか、2mm長いFlat4-緋櫻Plusがいいかは、個人の外耳道長に依存する要素のため、こればっかりは試してみるしかない。音茶楽店舗をはじめ、各種イベントでの視聴の機会をうまく利用して、最適の一本をゲットしていただきたい。

text by BARKS編集長 烏丸哲也