【BARKS編集部レビュー】Donguri-楽のニューモデル、濃茶と鐘で愛を奏でる

撮影した2つのイヤホンの写真が、もうすぐだなぁ…とクリスマスを思わせるカラーリングなのは、きっと偶然。12月に入って紹介するのは、特別カラーの深い緑に配色されたDonguri-楽（RAKU）濃茶（こいちゃ）（※以下濃茶）とキャンディアップルレッドに輝くDonguri-鐘（SYOU）（※以下鐘）の2本だ。

◆Donguri-楽 濃茶＆鐘 画像

茶楽音人（さらうんど）というブランドが立ち上がりDonguri-楽と名付けられたイヤホンが発売されたのは2014年6月のこと。素晴らしいサウンドだが高額で手が出ないという音茶楽Donguri-欅（KEYAKI）を雛形にして、Donguri-楽は合成素材で大量生産することで大幅にコストダウンさせた攻めのアイテムだ。メリハリあるサウンドで開放感をもった素晴らしい抜けと高解像度を描く個性派イヤホンとして、一定の人気を獲得してきたモデルである。まっすぐに突き抜けるような硬質な高域の伸びと、いい感じにはっちゃけてくれるものの実はちょっぴり柔らかい低域の押し出しの強さも人気のポイントであろうか。4色のカラーリングをもって人気を獲得していたモデルだ。


そして今回登場した濃茶は、見た目は単なるカラバリだが、なんとトーンも変化を付けて数量限定で発売されたもの。オフィシャルからのアナウンスによると「ロックミュージックの心地よい低音域を再現するチューニングを施し、Donguri-楽の既存色（江戸紫、濃墨、白磁、紅赤）とは異なる音質に仕上げました」とのこと。

実際のところ、既存のDonguri-楽と聴き比べれば、濃茶は明らかに低域の存在感が増していることが一聴して分かる。低域の厚さが増したのは嬉しいけれど、注意して聴くと付随して中域にかけても実在感が得られている事にも気付く。実がここがとてもいい。もともとDonguri-楽を露骨なドンシャリと感じる人はあまりいないかもしれないが、中域の押しが控えめであることは否めない。濃茶の最大の魅力は低域の量感が上がったところではなく、中域から中高域に至るまでのミッドまでが張り出したことで、再生機器としてのバランスがぐんと良くなったところだ。

ノーマルDonguri-楽と比べると濃茶は市場価格で1,000円ほど価格が上がっているが、この程度の違いであれば、私は迷うなく濃茶を薦めたい。色の好みが合わなければ仕方ないけれど。

もう一方の赤の鐘はメタリックな輝きを放っているが、ボディ素材がアルミで作られたものだ。基本構造やスペックは楽と同じなので、いわゆるハウジングが違うだけというものだけど、そのサウンドは見事に向上している。基本的な全体のトーンバランスは変えずに、ピントを更にきっちりと合わせて、すべての帯域でクリアネスをアップさせたサウンドになっており、一段クオリティの上がった見事な上位機種に生まれ変わっている。結果、解像度も一段向上しており、濃茶の約1万円アップという価格も納得の品質だ。

エッジのはっきりしたサウンドなので、一聴して「あ、いい音！」と思える現代的で整理整頓されたトーンが楽しめるが、肉感的ではないし温かみを感じさせるサウンドではない。そういう意味では、生々しさを含めたライブ感が好きな人は濃茶を、クールでハイファイなトーンが好みの人は鐘に注目すると良さそうだ。

赤と緑でペア購入、彼氏＆彼女で使い分けるのも乙かもしれない。「赤い方はアルミだからね、この季節は触ると冷たいよ、ほら」「きゃ、冷たい！もうやめてよ♡」なんて、どうでもいいイチャつきでDonguri-楽を堪能いただければ幸いだ。

text by BARKS編集長 烏丸哲也







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