【BARKS編集部レビュー】知られざるUltimate Earsストーリー、カスタムIEMの神髄はUE 5 Proにあり
みなさん、元気にヘッドホンスパイラルに巻き込まれていらっしゃいますか?所有モデルよりいいから購入しているというのに、気付けば昔に買ったモデルが意外に良かったりもして、無限階段というか、輪廻するじゃんけんというか、優劣・好き嫌いが永遠に回り続ける、これぞ苦しくも愛しきスパイラルだ。
◆UE 5 Pro画像
でも考えれば、音楽だって一番好きな1曲だけを延々聴き続けている人なんていやしない。「俺はカツカレーが大好きだ!」と公言しても、たまには寿司も食べたくなる。人生の振れ幅だけ好きな音があって、思い入れの深さ分の心地よい音があることだろう。
高額だけれどサウンド/使用感ともに市販モデルとは比較にならない品質を誇るのがカスタムIEMの世界だが、ここにもスパイラルは存在し、究極のNo.1を決めることは困難だ。とはいえ、どこに基準を置き何をリファレンスにすれば、無駄なく楽しめてそこに一貫性が生まれるか…と思いあぐねていたのだが、ふと、その答えはUltimate Ears(アルティメット・イヤーズ)のUE 5 Proにあることに気が付いた。
歴史を紐解けば、カスタムIEMの起源がアレックス・ヴァン・ヘイレンのイヤモニに遡るのはUltimate Earsの持つ有名なエピソードだが、中でもカスタムIEMの大基本といえるであろう2ウェイ・ドライバー構成を世界で初めて搭載したモデルが、UE 5 Proであった。世界で初めてドライバーを高音域と低音域に分け、各々搭載することによって広い周波数レンジを獲得、深みのある低音から高音までバランスに優れ、腰のある中低域とミッドハイにおける解像度と余裕あるヘッドルームを確保することに成功した画期的なモデルで、現在のカスタムIEMの源流をたどるとここに帰結することになる。
今では当たり前の仕様となったものだけれど、Ultimate Earsの音が世界に認められたのは、極めて耐久性が高く優れたサウンドクオリティーを放つUE 5 Proの誕生によるものである。そしてUE 5 Proが今もなお変わらぬ現役である点も、見逃せないポイントだ。
UE 5 Proがアーティストに評価されるようになったきっかけは、当時ツアーを回っていたメガデスのエンジニアが全く認知度の低かったUE製品に着目したところから始まる。そのころのマーケットをほぼ独占していたイヤーモニターメーカーと比べ、今後UEが主流になると確信した彼は、メガデスのツアーにUEを導入、その際に使用された機種がUE 5 Proであった。メガデスの爆音がステージを埋め尽くす中、ワールドツアーにおいてただの1度も音も歪まず何ひとつ問題が生じなかったことは当時としては驚くべきことだった。その後のUE 5 Proが欧米のプロフェッショナル達のステージモニターとして一気に広まっていったのは、ご存じのとおりだ。
あくまでステージのイヤモニであるという特性上、そのころのカスタムIEMは全て肌色で製作されていたのも興味深いエピソードのひとつ。その後UE製品で初めて色を付けた製品を製作したのは、実は日本のアーティストだったとか。その後、スティーブン・タイラーが黒でUE 5 Proを制作したことから、色付きの製品が一般的に広まりはじめた。ちなみに、UEをメガデスのステージモニターに持ち込んだそのエンジニアは、現在来日中のエアロスミスのサウンドエンジニアとして日本に滞在しているその人だ。
また、アーティストの耳を守り確実なパフォーマンス環境を提供するUEの素晴らしさを日本のアーティストにも届けるべく、彼の働きかけにより誕生したのがUltimate Earsを日本からオーダーできるシステムを提供しているex-wave.comである。
11年前に誕生したex-wave.comによって、遂に日本のプロミュージシャンにも高品質で高耐久性を誇るイヤモニが浸透するようになっていった。今や数え切れぬほどのアーティストがUEのカスタムIEMを愛用しているわけだが、メガデスにも勝るとも劣らぬ爆音と言えば、ラウドネスの二井原 実も10年以上にわたりUE 5 Proを変わらず使用し続けているアーティストのひとり。UE 5 Proへの絶大なる信頼とそのサウンドの確からしさを、本人の言葉からお伝えしよう。
◆ ◆ ◆
Ultimate EarsのUE 5 Proを使い始めて早11年になる。もはやこのUE 5 Pro無しでのステージは考えられない。まさに僕のノド、いや、あらゆるヴォーカリスト、とりわけメタルヴォーカリストのノドの「救世主」と言って過言ではないだろう。爆音の嵐が吹き荒れるLOUDNESSのテージ上は、まさに「轟音との戦い」、過酷な戦場である。そんな爆音の戦場から、僕のノドを救い出してくれたのがUE 5 Proと言うわけだ。
どんな過酷な爆音の中でもUE 5 Proは立派に良い仕事をしてくれる。UE 5 Proを耳に装着した瞬間、爆音の嵐が晴れ、耳には音楽が流れ始める。具体的に言うなら、各フレーズが鮮明に聞こえ、コード感がつかみ易いのだ。
ステージ経験者なら分かるだろう、爆音による聴覚上の「コード感の喪失」が無くなるのは、安定したパフォーマンスには不可欠である。又、「自分の声」がはっきりモニターできるので、ノドには無駄な力みが無くなり、自然なパフォーマンスが出来、ライブを楽しめる。僕のノドが過酷なワールドツアーを無事乗り切れるのも、UE 5 Proのお蔭である。
さて、UE 5 Proの音質であるが、余計な低音も高音も無く、非常にフラットで原音が自然かつ忠実に出ていると感じる。これは、2時間以上のステージでも「耳が疲れない」と言うUE 5 Proの特質であり、優れた音質の証でもある。
特筆すべきはUE 5 Proの「耐久性」である!11年間の過酷なツアーの間、ケーブル断線以外一度も故障が無いのだ!UE 5 Proは、あらゆるヴォーカリストにとって革命的救世主なのである。
二井原 実
◆ ◆ ◆
Ultimate Earsを日本のプロフェッショナルに紹介するために立ち上がったex-wave.comは、その後世界で初めてカラー・バリエーションを紹介したサイトでもある。現在はプロ・アーティストのみならず、我々一般オーディエンスもここからUEのカスタムIEMが購入できるようになったが、そもそもUE製品が開発される際には、秋葉原で販売されている全てのイヤホンが購入され、研究されたのだとか。意外なところで、UEの歩みには日本が複雑に絡み合ってきていた奇異な歴史がある。
今、Ultimate EarsのカスタムIEMには、UE In-Ear Reference Monitors、UE 18 Pro、UE 11 Pro、UE 7 Pro、UE 5 Pro、UE 4Proと6種類のモデルが存在する。使用用途、使用環境や好みによって、自分にぴったりとくるモデルは人さまざまであろうし、だからこそのラインナップだ。使用ドライバーの種類や数によってその価格は様々だが、単に高額だからサウンドがいいというわけではないのが、面白くもあり迷いどころでもある。
イヤモニの基本中の基本であり、世界中のアーティストに長く支持されている隠れたスタンダードモデルは、UE 5 Proだ。いつかは手にしたいアイテムでもあり、ヘッドホンスパイラルから脱却して帰着する先は、初志を貫くここにあるのかもしれない。少なくとも今の私は、UE 18 ProよりもUE 5 Proを使用する頻度の方が圧倒的に高い。何故って?答えはシンプル。いつまでも聴いていたくなる心地よいロック・サウンドだから。
text by BARKS編集長 烏丸
Ultimate Ears UE 5 Pro
製品価格 70,000円(期間限定特別価格/要別途耳型)
・入力感度:119 db @ 1KHz
・周波数特性:20Hz to 16.000Hz
・インピーダンス:21 ohms @ 1KHz
・内部スピーカー構成:2バランスドアーマチュアドライバー
・遮音性:-26db
・入力端子:1/8”(3.5mm)ステレオミニコネクター
・シェルカラー:カスタムカラー
・標準ケーブル:46”(121cm)、又は64”(162cm) クリアー、ブラック
・付属品:クリーニングツール、キャリーケース
◆ex-wave.comサイト
BARKS編集長 烏丸レビュー
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◆オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
◆SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
◆Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)
◆SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
◆JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
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◆SONOCORE COA-803(2011-10-02)
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◆フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
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◆JAYS q-JAYS(2011-04-08)
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◆Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
◆ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
◆Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
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◆KOTORI 101(2011-02-04)
◆ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
◆ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
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