【BARKS編集部レビュー】ダサいカスタムIEMを超クールに変身させてみた（「きせかえプレート」きせかえ工房）

2016.3.19 22:28

宝飾品の専門家がイヤホンマニアになるとどうなるのか。…そう、小さなフェイスプレートを貴金属や宝石で彩り、イヤホンに魔法をかけたかのような変身を見せつけてくれたりするのである。

◆Noble Audio 4 SLA＆きせかえプレート画像

「全く違うルックスに早変わり」という、イヤホンを生まれ変わらせてくれるサービスを行っているのが「きせかえ工房」で、まさしく彼らは、宝飾業界に従事しながらオーディオ熱をこじらせてしまった連中だったりする。カスタムIEMをはじめ、UE900やSHURE SE215／315、ゼンハイザーIE80などに銀製フェイスプレートを好きなデザインでオーダーメイドできるというサービスを展開しているのだけれど、ビジネスというよりは、単にその面白さと楽しさをただただ伝えたくて行っているようにすら見える。事実、宝飾関係の知識と技術で遊んでいた「イヤホンの着せ替え」という彼らのフェイスプレートはネットを通じて話題となり、一般からのリクエストに応えるかのようにサービスがスタートしたという経緯がある。

今回私がオーダーしたのは、Noble Audioの4 SLA用のきせかえプレートだ。4 SLAの詳細に関しては2016年1月に記したレビュー記事でご確認いただきたいところだが、兎にも角にも質実剛健を絵に描いたようなモデルであり「サウンドは最高だが見た目はガサツ」という業務用テイスト満載のカスタムIEMである。その分価格も抑えられているので購入満足度は高いものの、やはりその朴訥すぎるルックスに対しては、いつになっても愛は芽生えない。だってくっそダサいんだもん。

「見た目は問わない」という前提で手にするのがSLAシリーズの鉄則なんだけど、人間ってのは欲深いもんで「音は最高なのにな…」というちょい残念な想いを抱えてしまっていたわけで、そんな心の隙間に一条の光としてキランと輝いたのが「きせかえ工房」の存在だった。

デザインとそのテイストに関しての自由度は大きく、リクエストに対しては親身になって応じてくれる。レーザーによる刻印も非常に細かい表現が可能で、世界レベルで見ても極めて高い技術が用いられているという。私は自分の名前をそのまま図案化すべく八咫烏を丸で囲み漆黒のブラックで仕上げるデザインとした。左右同じでは芸がないかな、ということで、八咫烏が飛び立った後に羽が舞う様子を金色のプレートに表現してもらった。美しいメッキとレーザー刻印に目が奪われるが、プレートはシルバー製である。

UE900やSHURE SE215／315、ゼンハイザーIE80といった人気イヤホンに関しては、既に数種類に及ぶきせかえプレートがeイヤホンで4000円～8000円台で販売されているが、カスタムIEMの場合はフェイスプレート形状が千差万別ゆえ、基本は一点もののオーダーメイドとなる。オーダー中は現物を預けぴったりフィットのプレートを制作してもらうこととなる。ケーブルのプラグ部分が干渉しないように制作するので、ケーブルもつけたまま預けるのが望ましい。

カスタムIEM自体がオーダーメイド品だけに、万全を期してオーダーするものの、出来上がってみたら思っていた色合いと違うことも少なくない。「ありゃ？」くらいならいいけれど、「うっわ、やっちまった…」という仕上がりだと、どうにも愛着が沸かなくて使用頻度が下がってしまうということもある。友人や恋人のふとした「うわ、変な色」とか「ぷ、ださ」という何気ない一言で一気に萎えたという悲しいエピソードはないだろうか。そんな不遇のカスタムIEMを救ってくれるのが、きせかえプレートなのである。

スマホ・カバーでオシャレをしたり、気分を変えたり、さりげなく自己主張を表現してみたりするように、イヤホンも自由な表現のキャンパスにしてくれるのが、きせかえプレートだ。立体的な具象シリーズを選ぶと多少の重量変化がありそうだが、通常のレーザー彫刻の場合はさほど重量もなく使用感に大きな変化は感じられない。むしろ「きせかえ工房」によると銀製プレートに覆われることで遮音性の向上が期待できるという。

▲具象シリーズの作例

なお、ぴったりフィットしているためガタツキや遊びは全く無い状況だが、実は両面テープで貼られているだけだったりする。精度高い造形で隙間なく整合しており、大気圧とテープの力のみでしっかり密着され剥がれることはない。元のカスタムIEMには一切に手がくわえられていないので、もとに戻すのも再度付けるのもとても簡単な点が凄い。