【BARKS編集部レビュー】隠れ名機発見、EXS X10のぶち抜けたコストパフォーマンス
シングルBAモデルのイヤホンも百花繚乱、市場には素晴らしいモデルがたくさんひしめき合っている。とてもいいことだが、一方で供給過多なのか新製品にスポットがあたる機会が非常に少ないようだ。ましてや試聴もままならないとなれば、評価も安定し価格もこなれた定番モデルに人気が集中するのも当然なことだものね。
◆EXS X10画像
定番と一言で言っても、エティモティック・リサーチER-4系、クリプシュImage X10/X5/X7i、オルトフォンe-Q7、ZERO AUDIO BXシリーズ、ファイナルオーディオデザインheavenシリーズ…など、市場には数多くの人気モデルが鎮座している。他にもFitEar to go111やGRADO GR10など見逃せないモデルはたくさんあるし、SHURE SE315やWestone UM1、オーディオテクニカATH-CK70PROなど、大手ブランドにも名機はたくさん存在する。
数多のシングルBAモデル群の中において、EXS X10の最大のアドバンテージは「その自然な帯域バランスと高い解像度を誇りながら、まさかのびっくり低価格」にある。私の耳では、X10のサウンド・クオリティはシングルBAモデルの最高額帯のモデルと聞き比べても、聴き劣りすることがない最高レベルに達している。私の頭の中には「X10ってスゲー」フラグが直立不動で立っているので、お手盛りバイアスがどれくらい掛かってしまっているか分からないのだけど、サウンドだけに着目すれば定価は2万円強でも全然無理はない。バランスド・アーマチュアらしい高域の鮮やかさは、若々しいフレッシュさを感じさせてくれるが、耳に痛い成分も刺さる感覚もなく、それでいてヌケよく適度に刺激的で、エネルギッシュなロックサンドによく似あうサウンドとなっている。
フルレンジのシングルBAドライバーなので低域不足を懸念する人もいるだろうが、私は必要にして十分だと思う。ダイナミック・ドライバーの放つ低音オバケのような量感はないものの、付属のイヤーピースから相性のいい形状とサイズを選ぶことで、全く問題のない理想的なバランスを楽しむことができるはずだ。
一方でちょっと残念な点もある。見た目が、なんというか…ダサいというか、オーラがないというか、一生大事にしよう❤という高テンションを誘う匂いが漂ってこない。質感に惹かれるわけでもなく形状がスタイリッシュなわけでもないので、高級っぽさも特にない。ま、そんなのは本質の話ではないのでいいんですけど。
そんな至ってフツーなルックスをしているが、装着感は抜群で、使用感の良さはカナル型イヤホンの中でもトップクラスだ。そのままパッと耳に挿しても一発安定の形状で、遮音性も十分。ケーブルのタッチノイズも比較的少なめで使い勝手は上々。ケーブルをくるっと耳に掛けるいわゆるシュア掛けをすると、タッチノイズ完全回避&耳穴に深くきっちり挿入というストイックな装着状態となり、研ぎ澄まされたサウンドを100%堪能できる文句なしのパフォーマンスを発揮する。しつこいようだが、この世界感が6800円で手に入るなんて、価格破壊の形相だ。
X10のトーンを最も気持ち良く楽しめる音楽としては、ガンガンにオーバードライブしたギターサウンドと女性ボーカルがぐりんぐりんに絡み合うロック/ポップス系あたりがハマる。最近だとSCANDALとか、アイドル系だとBiS、アニソン系なら黒崎真音とかでしょうか。TOMMY関連もいい。洋楽だとクルシファイド・バーバラやダイ・マネキンあたりも体温が激アガる。ちょいと前まで遡れば、あたしゃ上木彩矢やSeventh Tarz Armstrong、真行寺恵里なんかで昇天いたします。
text by BARKS編集長 烏丸
●EXS X10
オフィシャル直販価格:6800円(税込)
周波数帯域:20Hz~20kHz (-10dB)
ノイズアイソレーション:26dB
入力感度:105dB SPL/mW @ 1kHz
インピーダンス:29Ω
ケーブル:1.2M
重さ:13g
スピーカー:バランスドアーマチュア
入力端子:3.5mm、ストレート
カラーバリエーション:白、黒
付属品:携帯ケース、イヤーピース(8タイプ)
◆EXS X10オフィシャルサイト
◆オフィシャル直販サイト
BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
◆音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)
◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)
◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)
●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)
◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)
◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)
◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)
◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)
◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)
●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)
●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)
■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)
◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)
◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)
◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)
◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)
◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)
■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)
■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)
◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)
◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)
◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)
■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)
■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)
■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)
■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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