【BARKS編集部レビュー】名実共にカスタムIEMの最高峰、Ultimate Ears 18 Pro

究極のカナル型ヘッドホンとして急速に人気拡大しているのがカスタムIEM。先日、激安価で登場してきた純国産カナルワークスを紹介したが、今回レポートするのはUltimate Ears(アルティメット・イヤーズ)のカスタムIEMだ。
◆Ultimate Ears 18 Pro画像

エディのEVH5150の音がでかすぎたか、サミー・ヘイガーの声がうるさかったのか、モニターヘッドフォンを使っていたもののサウンドを良く聞き取れないアレックスが、「このままでは難聴になってしまう」と音響エンジニアに相談したのが誕生のきっかけだ。日本の電子部品メーカーをはじめ世界中から電子パーツを集め、それまで世の中に存在しなかったデュアルスピーカー/カスタムフィット、さらに低歪みでライブでの演奏を正確に再現可能なイヤモニターをゼロから設計したのだ。

今でこそ、UEからは様々なカナル型ヘッドホンが発売されているが、全てはカスタムIEMを基に汎用型(ユニバーサルモデル)として登場したもので、そもそもはカスタムIEM制作こそが、Ultimate Earsの真骨頂である。そんなUEが2010年に満を持して発表したフラッグシップモデルが、このUltimate Ears 18 Pro。最も長い歴史を持ち、最も多いユーザーを持ち、最も深い信頼を得た最高技術とフロンティア精神にあふれたオリジネーターが放つ最高機種であればこそ、18 Proがカナル型ヘッドホンの最高峰に輝く究極のモデルであることは、容易に想像できることだろう。


耳に届けられるまでに通るフィルターの特性によって、サウンド特性が決定付けられるのだろうし、それこそがサウンドデザインなのだろうけれど、18 Proのサウンドを聞くと、出力されるサウンドをスポイルすることなく素直に耳に届けようとする贅沢な設計が貫かれており、その設計思想も実際のサウンドも、ピュアオーディオに通じるものに思えてくる。

踏み込んで言えば、もちろん人それぞれの好みの問題から18 Proへの不満点も耳にする。もっと高域があってもいい、低域をもっと足したい、もっと低域を減らしたい…など様々な意見があり、真逆のリクエストまで飛び出してくる。しかし、まさにこれこそが18 Proがどの角度から攻められても破綻しない隙のないサウンドバランスを持っていることを表わしているに過ぎない。

だから、完璧だけど物足りないという感覚は宝でもあるし、物足りないと思ったのにやっぱりパーフェクトなサウンドだと再認識する瞬間を何度も味わわせてくれる18 Proの持つ素養のでかさは並みのものではない。おそらく18 Proの存在はパーフェクトだ。この絶対的な品質は揺るがぬ事実であり、そこに好き嫌いでの判断を載せればいいと思う。

18 Proの持つ深い許容量は、ポータブルヘッドホンアンプに対しても寛容で、どのようなアンプとも楽しませてくれる素養を持つ。アンプの性格をそのまま反映した音を聞かせてくれるため、相性などを意識する必要がない。アンプの特性を簡単に描き出してくれるので、好きか嫌いかをジャッジするだけの作業で、音作りなどは無縁だ。上記の高域追加のリクエストなどは、アンプとの組み合わせでどのようにでも演出できるし、オーディオプレイヤーのEQ機能で好みにセットするのもいい。その時点で、己のサウンド桃源郷が完成するのだ。


分からないなら信じるが吉。だから18 Proが一番、安心で間違いないのだ。
text by BARKS編集長 烏丸
Ultimate Ears 18 Pro Custom Monitor
・4way 3ユニット 6レシーバ構成
subwoofer×1
woofer×1
mid×2
high×2
・再生周波数:20Hz to 18,000Hz
・インピーダンス:21 ohms @ 1kHz
・入力感度:110.6 dB @ 1kHz
・能率:115.6 dB @1mW
・遮音性:-26dB
・ケーブル:46”(121cm)、又は64”(162cm)
・ケーブルカラー:Clear、Black、Beige
・プラグ:3.5mmステレオミニプラグ
・付属品:クリーニングツール、キャリーケース
・シェルカラー
Ruby Red(半透明)
Royal Blue(半透明)
Slate Gray(半透明)
Purple(半透明)
Electric Blue(半透明)
Clear
参考価格:1,350 USドル
送料:UPS 70 USドル
アンビエントノイズ機能:$50(シェルに穴をあけて周囲の音を少し聞こえるようにするオプション)
titaniumプレート:100 USドル(シェルの外側にプレートが付くオプション)
アートワーク代:100 USドル(シェルの外側に自分の好きなアートワークをつけるオプション)
価格および入手方法
米オフィシャルサイトにて購入手続きをとり、入手した耳型(インプレッション)をUltimate Earsまで送付。全て英語での対応が必要。詳細については、オフィシャルサイトでご確認を。
一般の方のお問い合わせ先:ロジクール・カスタマー・リレーションセンター
TEL:050-3786-2085 FAX:050-3737-2085
E-Mailサポート:http://www.logicool.co.jp/contact/
◆Ultimate Earsオフィシャルサイト(海外)
◆BARKS ヘッドホンチャンネル
◆実はすぐそこまで来ていた、カスタムIEMの世界
BARKS編集長 烏丸レビュー
◆クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)
◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
◆GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◆SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
◆フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
◆ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)
◆フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
◆アトミック フロイド(2011-05-26)
◆モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
◆SHURE SE215(2011-05-13)
◆ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)
◆ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
◆ローランドRH-PM5(2011-04-23)
◆フィリップスSHE9900(2011-04-15)
◆JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◆フォステクスHP-P1(2011-03-29)
◆Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
◆ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
◆Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
◆Westone4(2011-02-24)
◆Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)
◆KOTORI 101(2011-02-04)
◆ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
◆ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
◆SHURE SE535(2011-01-13)
◆ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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