【BARKS編集部レビュー】元来音楽が持っていたソーシャル力を呼び起こす最新ツール、UEブーム

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酒盛りしながら演奏したり、祭りで踊りながら歌ったり…と、そもそも音楽は人々の生活の中でソーシャルなツールであったのは、音楽の原点を語る上で良く知られたエピソードだ。だが、音楽を録音することが可能になった近代では、プレイヤーとリスナーの役目が明確に分離され、リスナーは個人的な嗜好で音楽を楽しむこととなった。

◆UEブーム画像

▲6月29日発売の新製品UEブーム。円柱形のワイヤレススピーカーだが、その使い心地はこれまでになかった新しい価値観を提示してくれる。全6色のうち、左がレッド、右がブラック。

▲上部中央に小さな電源ボタンがある。電源を切れ忘れても、プレイヤーからの信号がなければ一定時間で電源がOFFとなる安心設計。

▲大きさをiPhone4と比較。ちょうどペットボトル500mlのサイズと同じくらい。

▲パッケージも円柱形でとってもおしゃれ。中には本体と取説、USBケーブルと電源アダプタが同梱される。

▲充電用のUSBケーブル&アダプタは、鮮やかなイエロー。きしめん形状で、パーティー感の強いデザインと色彩になっている。

好きな音楽をコレクションし、自分の好きな環境で好きな時に好きなように聴くというオーディオ文化は20世紀のミュージックビジネスを大きく加速させた。ただ、時代は変わる。近年、音楽はデジタル化されるとともに、スマホを中心とした携帯端末で自在に楽しめるようになり、ついぞノンパッケージを実現させた。物的形態を失うと同時に、定額聴き放題のサブスクリプション・サービスが次々と現れ、音楽の存在自体、大きなパラダイムシフトを起こすこととなった。そう遠くない将来、音楽は「所有するもの」ではなく「共有するもの」となるわけだ。

これまでの価値観が大きな変容を遂げている状況にあり、音楽は共有アイテムとして、元来持っていたソーシャルなツールとしての力が前面に浮かび上がってきている。先祖返りのように表面化したこの価値観の変貌は、ライブシーンやイベント、活況なフェスやオムニバスイベントでも体感できることだろう。今になって音楽は、元来の力を発揮し始めている。音楽は偉大なるソーシャル・コンテンツなのだ。

そして、こういった意識の大きな変化は、当然のように音楽再生ツールの在り方にも大きな影響を与える。今ここに登場してきたUltimate EarsのUE BOOM(UEブーム)も、まさに登場すべくして現れた現代の音楽ライフスタイルに最適化されたソーシャルツールだ。

モバイル出来ること(バッテリー内蔵)、無線であること(Bluetooth接続)を基本に、NFC(近距離無線通信技術)搭載により対応デバイスを本体に近づけるだけで簡単に接続でき、多くのスマホから気軽に音楽を楽しめるといった機動力と懐の深さがある。UEブームには「音楽に革命をおこす、360度ソーシャルミュージックプレイヤー」というキャッチコピーが付けられているが、音楽をみんなで共有し、気軽ながらも品質の高い素晴らしい音楽に囲まれた空間を作り出すアイテムとして、「360度ソーシャルミュージックプレイヤー」というネーミングは、実に的確だ。

UEブームは、おおよそ500mlペットボトル程度の大きさで、しっかりとした重量感もあり、質感も非常に高い。キャッチーな物腰ながらも浮付いた軽さがないので、和室から洋室まで、いろんなシチュエーションで無理なく使えるデザインとなっている。

使い勝手も素晴らしく、操作に迷うこともない。充電用にケーブルとアダプタも同梱しており、最大15時間連続再生のスタミナを持っている。基本はBluetoothによる入力だが、iPod ClassicなどBluetooth機能を持たない機器との接続もできるようミニジャックの入力端子も用意されている。そして何よりIPX4クラスの防雨・防滴性能も取得しているのもさりげなく高ポイント。様々なシチュエーションで「時・場所選ばず」を実現させるためには、どうしても譲れない仕様でもあったことだろう。使命感とコンセプトにブレがないのも、Ultimate Earsらしい安心感だ。

そして何より最大のお薦めポイントは、そのサウンドの素晴らしさである。コンセプト先行のオシャレおもちゃのような風貌でもあるので、ほどほどの音質と高をくくっていたものの、音を出してびっくり。率直に音がいいのだ。キックのアタックもかっちりとタイトに出るし、高域の伸びもよく、だからといって耳触りの悪さもない。不思議と定位の悪さも感じず、ストレスなく音楽そのものに没頭させてくれる安定感がある。何よりボーカルがきっちり前に出るのも高ポイントだ。ホント「見た目の先入観で判断、勝手に想像してはいけない」とつくづく思い知らされるサウンドである。

▲UE BOOMアプリの画面。本体の電源が入っていないと、起動画面はこのようなものになる。

▲UE BOOMが本体を感知すると、本体のカラーリングが反映し、コントロール可能な状態となる。

▲もうひとつ、別のUEブームを立ち上げると、アプリが感知し、このように並列して表示してくれる。ここで、2倍モードで使うのか、それぞれにLとRを振り分けるステレオモードで使うかを選択できる。机上ではステレオモードの立体的な音の定位が心地よい。

▲設定画面。簡単なプリセットサウンドも3種類用意されている。

円柱形をしており、正面を中心に左右にそれぞれにスピーカーが内蔵されLRのステレオで鳴っている。面白いのは、もう一台手に入れるとそれぞれをLRに振り分けることができ、ステレオパワードスピーカーに早変わりするできる点だ。これらのセッティングは、「UE BOOM」と名付けられたアプリ(iPhone/アンドロイド)にてコントロールできる。他にも、このアプリではサウンドセッティングやバッテリーやファームウェア・バージョンの状態などをチェックすることもできる。

サウンドバランスはとてもナチュラルだが、温度感高く押しの強い音なので、BGMとしてさらりと部屋を音楽で満たすというよりも、しっかりとリスニングに集中できるような存在感のある音楽空間が作られる。2台用意し部屋の対角端に置いて、大き目の音でクラブのようなパーティ感あふれる雰囲気も気軽に作れるし、ステレオにして机の上に置くと、気軽に高品質が楽しめるプチオーディオ環境も簡単に出来上がる。このあたりの説得力のある色濃いサウンドメイクは、まごうごとなきUltimate Earsのサウンド・シグネチュアだ。当然なのか凄いことなのか分からないが、そのトーンは、ヘッドホンUE 6000、UE 9000のサウンドによく似ている。

なお、ボリュームの+と-のスイッチを同時に押すと現在のバッテリー充電容量を「充電××%」と女性の声でしゃべって教えてくれる。電子ボイスではなく女性の生々しい声で、アプリで言語を日本語に変えれば、きっちり日本語でしゃべってくれる。これ、つい友人に聞かせたくなるプチネタね。

ちなみに、iPhoneでUEブームを使って音楽を再生しているときに電話がかかってきたら? …もちろん普通にiPhoneで通話することもできるが、UEブームをスピーカーフォンとして使用し、そのままハンズフリー通話も可能となっている。そう、UEブームにはデュアルマイクが搭載されているのだ。もちろんその際は自動的に音楽は止めてくれる。音楽と生活がシームレスに共存した現代のデジタル生活を、UEブームはさりげなくも最大限のデリケートさで牽引してくれる。

我々が欲するであろう製品を先回りしてさりげなく提示してくれるUltimate Earsのアンテナ感度の高さは、今もなお全く色褪せることがない。これからも刺激的で目を見開くような音楽体験を生み出してくれることだろう。

text by BARKS編集長 烏丸

●UEブーム
2013年5月29日(水)発売
・オープンプライス(ロジクール オンラインストア:税込19,800円)
・製品名(日本語):UEブーム Bluetooth ワイヤレススピーカー&スピーカーフォン
・型番:WS700BK / WS700WH / WS700BL / WS700RD/ WS700GN / WS700PK
・色:ブラック / ホワイト / ブルー / レッド / グリーン / ピンク
・本体サイズ:65×180mm(直径×高さ)
・本体重量(ACアダプター除く):538g
・ケーブル長:122cm(micro-USB充電ケーブル)
・インターフェース:入力:Bluetooth(A2DP)、補助入力:3.5mmステレオミニ
・ワイヤレステクノロジー:Bluetooth
・ワイヤレス通信距離:10m*
・電源:本体:内蔵充電式リチウムイオン電池、ACアダプター(入力):100V - 240V
・連続再生時間:最大15時間*(フル充電の状態から)
・コントロール:1.電源スイッチ(オン・オフ) / 2.ペアリング(Bluetooth接続) / 3.音量アッ・プ / 4.音量ダウン
・総合RMS出力(定格出力):18W(9W×2)
・周波数特性:90Hz - 20kHz
・システム要件/対応デバイス:Bluetooth機能(A2DP)または3.5mm出力機能を備えたタブレット、スマートフォン、音楽プレーヤーおよび他の音源
・ユニット仕様:1.5インチ フルレンジ ドライバー×2 / 2インチ パッシブラジエーター×2
・特殊機能:ハンズフリー通話(マイク内蔵)、NFC対応、IPX4耐水性能、リストリーミング機能
・付属品:micro-USB充電ケーブル、電源アダプター
・その他:リストリーミング機能アプリ(iOS、Android対応)
・保証期間:2年間
※昨今はスマートフォンやタブレットの普及により、手軽に使えて多くの方と音楽の情熱を分かち合える「ソーシャルなスピーカー」への需要が高まっています。WS700は高い耐久性と迫力のある高音質なサウンドで、アウトドアやホームパーティーなど様々な場所でいい音楽を多くの人たちとシェアすることができます。また、もう1台スピーカーを接続して2台で同時に再生すると、さらにパワフルなステレオサウンドを楽しむこともできます。iOS用・アンドロイド用アプリを使用して、簡単にリストリーミングをすることが可能です。
スマートフォンやタブレットによる音楽へのアクセスが容易になった現在、デジタル世代は「好きな音楽をどう聞くか」に変化をもたらしました。好きな場所で音楽を聞き、多くの方と共有しあう機会が増えつつあります。WS700は若いミュージックファンはもとより、音楽を愛する全ての方に音楽の興奮や喜びを思う存分提供してまいります。
WS700は、パワフルで高音質なサウンドをどこへでも連れだせる、スマートフォンやタブレットに最適な360度サウンドが広がる充電式ワイヤレススピーカーです。Bluetooth接続により、最長10m*離れていても手元のスマートフォンやタブレットからの音楽を楽しめます。またNFCを搭載しているため、対応デバイスを本体に近づけるだけで簡単に接続することが可能です。IPX4の耐水性能で汚れにも強く、最大15時間*連続再生できる充電式バッテリーが内蔵されており、屋外での使用やホームパーティーなど、どこでも安心してご使用いただけます。iOS用・Android用のアプリを使ってもう1台スピーカーを接続し、2台のスピーカーで同時に再生すれば、さらにパワフルなステレオサウンドをお楽しみいただけます。また、マイク内蔵なのでハンズフリー通話や電話会議にも活用可能なスピーカーフォンとしても使用できます。色はブラック・ホワイト・ブルー・レッド・グリーン・ピンクの6色で、グリーンとピンクの2色はロジクール オンラインストアでの限定販売です。
*使用環境・状況によって変わります。

◆UEブーム・オフィシャルサイト
◆UE BOOM特設サイト(英語)

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)

◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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