【BARKS編集部レビュー】ZERO AUDIO、どちらを買うべきか

ヘッドホンに限らず、どうせ買うのなら1円でも安いほうが嬉しい。世のブランド品などには「正規店の安心と信頼」といった価値観もあり必ずしも価格が全てではないけれど、同じ条件であれば安いに越したことはないと思うのが、我々庶民の常だ。
◆ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300画像

ZERO AUDIOが世に突如登場したのは半年前の2010年12月。バランスド・アーマチュア(BA)のドライバーを搭載しながら約8000円(ZH-BX500)と約5000円(ZH-BX300)という価格は、それだけで常識を覆すインパクトを持っており、BA搭載=高級機で手が出なかった多くのオーディエンスを色めき立たせた。

そんな両機種が今では価格もこなれZH-BX500は6000円台に、ZH-BX300にいたっては3000円台のショップも現れ、お買い得感に更なる拍車がかかっている。さあ、買いそびれていた人よ、手に取るときがやってきた。
さて、2機種のうちどちらを買おうか。悩ましき問題はそこだ。

両者の音の違いは明確であり、価格相応の品質の違いもある。上位機種ZH-BX500のほうが明らかにクオリティは高く、音の透明感や分離感は極めて上質。周波数特性も広くメリハリを感じさせるほぼフラット…シビアに見れば弱ドンシャリな音像を作り出してくれる。サウンドのイメージは、沢から流れる清らかで冷たい岩清水のようで、水流は少なくデリケートだけど透明度高い清楚な上流の川といった感じか。おそらくZERO AUDIOが求めた「高い品質で低価格」というピンポイントなポジションを奇跡的に実現してみせた記念碑的アイテムがZH-BX500の方だ。

ZH-BX500のような精練された清らかさは得られないが、よそよそしさのない温かみがZH-BX300の特性だ。両者にクオリティの落差を感じればZH-BX500を手にするべきだが、温かさが心地よいと思えばZH-BX300の方が俄然魅力的と感じるだろう。まして価格も安いとなれば迷う余地なし。好みや価値観で、評価が真逆になるほどの振れ幅を、たった2機種で獲得しているのがこのブランドだ。確信犯に違いないZH-BX300の絶妙な立ち居地をプロデュースしたZERO AUDIOの秘めたるパワー、なんだか恐るべし。


同じ事を行なっても、ZH-BX300ではさほどの変化を感じない。そもそものサウンドの特性がローミッドに寄っていることが要因なのか、周辺環境に左右されない個性の強さを見たようで、これも興味深い現象だった。
また、プレイヤーや再生アプリケーションなどでEQでの音作りを行なうと、その設定にキビキビ反応するのがZH-BX500であり、頑固に我がサウンドを保ちたがるのがZH-BX300という同じような傾向も確認できた。
ZH-BX500は高い品質を保有し素晴らしく素直な音を奏でてくれる。きめ細かい音描写はBAドライバーの真骨頂であり、BAらしさを真正面から享受するには最良の選択のひとつだ。ZH-BX300は、むしろ2台目、3台目のBA機として手にするとその個性が際立ち、費用対効果の恩恵をしっぽり堪能できると思う。ま、どっちも欲しくなるってのが本音なんだけど。
text by BARKS編集長 烏丸
ZH-BX500 7980円
形式:バランスト・アーマチュア・スピーカー
プラグ:3.5mm金メッキ・ステレオ・ミニプラグ(L型)
コード:OFCコード 1.2m(Y字型)
質量:約3.6g(コード除く)
出力音圧レベル:113dB/mW
再生周波数帯域:20 ~ 16,000Hz
最大入力:30mW
インピーダンス:22Ω
保証:メーカー保証あり
付属品:シリコンイヤーピースS/M/L 各2、キャリングバッグ
ZH-BX500-DC(ダーククローム)、ZH-BX500-BK(ブラック)
ZH-BX300 4980円
形式:バランスト・アーマチュア・スピーカー
プラグ:3.5mm金メッキ・ステレオ・ミニプラグ(L型)
コード:OFCコード 1.2m(Y字型)
質量:約3.5g(コード除く)
出力音圧レベル:113dB/mW
再生周波数帯域:20 ~ 18,000Hz
最大入力:30mW
インピーダンス:36Ω
保証:メーカー保証あり
付属品:シリコンイヤーピースS/M/L各2、キャリングバッグ
ZH-BX300-AC(アクティヴ・クローム)、ZH-BX300-BK(ブラック)
◆ZERO AUDIOオフィシャルサイト
◆BARKS ヘッドホンチャンネル
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