【速報】対米同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.21
~ |
【速報】同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.21 大変、痛ましい事件が起こりました。それに伴い、現在アメリカでのコンサート・イベント等のほとんどは、中止、あるいは延期となっています。日本来日公演などに関しましても、情報が入り次第、掲載いたします。 ※ニュースが入り次第、リアルタイムに更新いたします |
●ブッシュがテロ攻撃の影響で『Golden State』のカヴァーアートを変更 |
Bushは9月11日に米国を襲ったテロ攻撃の影響を受け、最近のシングル“Speed Kills”のタイトルを“The People That We Love”に変更した。それだけでなくバンドはまた、今週リリースされたニューアルバム『Golden State』のカヴァーアートについても当初予定していた計画を破棄した。 Bushのフロントマン、Gavin Rossdaleはこれらの変更は必要だったとLAUNCHに語る。 「カヴァーについては大きな計画があった。この飛行機だよ」と彼は言う。 「航空機のシルエットなんだけど、今の時期にはふさわしくない。もちろん、恐ろしいカヴァーになるだろうから。けれど、事件前は飛行機というのは単に旅行や転地、移動するときの乗り物だったわけで……そういったことはすべて良いことなんだ……。すばらしいカヴァーだった。実際、すでに少し出回ってしまっている。そのへんの広告やなんかでさ」 10月23日(火)にリリースされたアルバム『Golden State』のカヴァーはシンプルなゴールドでバンド名とアルバムタイトルが記されている。BushのベーシストDave Parsonsはこれらの変更について、先月の惨劇を受け、「せめてこれくらいのことはできるんだ」と付け加えている。 一方でBushはアルバムのプロモーションツアーを続けており、10月25日(木)夜はラスベガスのHard Rock Hotel内にあるJointでショウを行なった。バンドは'02年初めに全米ツアーを行なう予定。 |
●M.C.ハマー、新曲のビデオ撮影に米下院議員を呼び込む |
ラッパー/ポップスターのM.C. Hammerが9月11日のテロ攻撃の被害者を救済するためにひと肌脱いだ。Hammerは先日、ワシントンD.C.で新曲“No Stoppin' Us-USA”のビデオ撮影を行なった。同曲とビデオの収益金はすべてテロ攻撃で犠牲となった人々の救済に充てられる。 ワシントンに滞在中、Hammerは米下院議員のJ.C. Watts(オクラホマ州)、Diane Watson(カリフォルニア州)、Corinne Brown(フロリダ州)、Eddie Bernice Johnson(テキサス州)らをビデオに出演させることに成功した。撮影は国会議事堂近くのReflecting Poolで行なわれ、Brown議員はTime誌に次のように語っている。 「議員たちが全員でダンスをする場面があったんだが、中には本当にダンスがうまい人がいた」 “No Stoppin' Us-USA”は近日中にラジオで解禁され、各ビデオ店で販売される予定。 |
●チャリティ・アルバム『God Bless America』がBillboard初登場1位 |
Columbia Recordsから発売されたチャリティ・アルバム『God Bless America』がBillboard 200アルバム・チャートで初登場1位を獲得した。テロ事件の救済基金、Twin Towers Fundに収益が寄付されるこのアルバムは、発売1週目にして約18万1000枚を売り上げた。 Twin Tower Fundは、9月11日の世界貿易センター攻撃で活動したニューヨーク市の警官や消防士、救助隊員たちの家族を支援するためにルドルフ・ジュリアーニ市長によって設立された。このチャリティ・アルバムには特別にレコーディングされたCeline Dionによる“God Bless America”や、John Mellencampの他には未収録の“Peaceful World”のライヴ・アコースティック・ヴァージョンをはじめ、Frank Sinatraの'45年の作品“America The Beautiful”や、Bruce SpringsteenのニューヨークのMadison Square Gardenでのライヴで収録された“Land Of Hope And Dreams”、Lee Greenwoodによる米国賛歌“God Bless The U.S.A.”などが収められている。 チャート2位は、Enyaの『A Day Without Rain』で依然変わらず。Ja Ruleの『Pain Is Love』は前週のトップから3位へダウン。4位にはOzzy Osbourneの『Down To Earth』が初登場で2番目の高順位を付けチャートインしている。この新アルバムは'95年の『Ozzmosis』以来のスタジオ・アルバムで、15万2000枚以上の売上を記録した。Nickelbackの『Silver Side Up』は5位をキープ。Alicia Keys、LFO、Sugar Ray、Willa Ford、Toya、Outkast、Craig Daividなどのヒット曲を収録したコンピレーション『Totally Hits 2001』も6位に留まっている。 トップ10の後半は、7位がLinkin Parkの『Hybrid Theory』、8位がJay-Zの『The Blueprint』、9位がUsherの『8701』、10位がAlicia Keysの『Songs In A Minor』。 その他の今週の気になる初登場は11位のイタリア人テナー、Andrea Bocelliの『Cieli Di Toscana』、15位のJohn Mellencampの『Cuttin' Head』、32位のMr. Cheeksの『John P. Kelly』、35位に入っている*N SYNC、Britney Spearsなどの曲が収録されたサウンドトラック『On The Line』、36位のLitの『Atomic』、41位のNew Orderの『Get Ready』、47位に入っているJourneyのベスト盤『Essential Journey』。このアルバムには元ヴォーカルSteve Perrryの在籍時代である'78年から'96年の32曲が収録されている。 |
●デイヴ・マシューズ・バンド、海外公演をキャンセル |
Dave Matthews Bandは9月11日のテロ攻撃と米軍のアフガニスタンへの軍事行動の影響を受け、海外公演をキャンセルした。 「最近の世界情勢を考慮し、バンド、クルー、マネージメントは皆、家族や友人のそばにいることが大切だと感じています」とグループのオフィシャルサイト(davematthews.com)には記されている。 「現時点では、中止となった公演の振替日程は決まっていません」 この決定で11月6日のメキシコシティ、12日のロンドン、13日~20日のドイツでの6日間を含む11月に予定されていた8日間のショウに影響が出た。 またSlipknot、Blink-182、Weezer、Pantera、Janet Jacksonらのビッグネームも9月11日の事件以来、海外公演から身を引いている。 |
●イン・シンク、B.スピアーズ、サンタナらが参加し、M.ジャクソンのチャリティ・ソング“What More Can I Give”スペイン語ヴァージョンをレコーディング |
Michael Jacksonによるチャリティ・ソング“What More Can I Give”のスペイン語ヴァージョンにCarlos Santana、*N SYNC、Britney Spears、Mariah Carey、Celine Dionらが参加する。この曲の収益は、9月11日の米同時多発テロ事件の被害者および遺族の救済資金に充てられる。 スペイン語ヴァージョンのタイトルは“Todo Para Ti”(あと他に何ができるだろう:英語のオリジナル・タイトルと同義)。他に参加が決まっているアーティストは、Gloria Estefan、Ricky Martin、Boys II Men、Jon Secada、Julio Iqlesias、Ruben Blades、Brian McKnight、Backstreet BoysのNick Carter、Luis Miguel、Destiny's Child、Shakira、Luther Vandross、Laura Pausini、Joy Enriquez、Alejandro Sanz、そしてもちろん、曲を作ったMichael Jackson本人。レコーディングは、Santanaの'99年のグラミー獲得アルバム『Supernatural』などを手がけた、やはりグラミー受賞プロデューサー、K.C. Porterのもと“We Are The World”形式で行なわれる。 Porterが、このレコーディングに携わることになったきっかけをLAUNCHに語ってくれた。 「実はしばらく前から、音楽や芸術を通して人種を超えた団結を呼びかけるOnenessという活動団体を始めているんだ。この団体を担当してもらってる弁護士が、たまたま今回のプロジェクトを行なっているMichaelの会社も担当してたんだよ。彼は、世の中に出ているスペイン語ヴァージョンは、ほとんど僕がやっているってことを知ってたんだ。Bon JoviのとかToni Braxton、Boys II Menとか、名前を言ってくれれば、たいていそうだよ。とにかく、たくさんやってるんだ」 Porterによれば、レコーディングの参加アーティストは続々と増えており、彼としては特に中東のアーティストを1人か2人加えたいと思っているという。 「中東のアーティストで参加できそうな人はすでに何人かいるんだ。ただ、それがどれほど奇妙に思われるのか、そうでもないのか分からないんでね。Michaelがどう思うかさえも分かんないんだ。まだ、Michaelに話してないんでね。だけど、僕としてはCheb Mamiみたいな人をスタジオに入れて、ちょっとしたアクセントを付けてもらえればと思ってる。それで、聴いた人が“えっ、ちょっとコレって……”っていうふうに思って、色々と考えるきっかけになってくれればいいと思う。でも別に痛烈に“鼻先に突きつける”っていうつもりではないんだ。そういうふうにできればいいと思うし、それじゃなかったら、ちょっとしたバイブをコッソリ忍び込ませてみるかもしれない」 “What More Can I Give”スペイン語ヴァージョンは、2、3週間のうちにリリースされる予定。 |
●Run-D.M.C.、リル・キムらが会場変更となった“BREATHE”チャリティ・コンサートに出演 |
Run-D.M.C.、Lil' Kim、Nikka Costa、Crazy Town、Deftones、Jurassic 5、Julia Fordham、Liz Phair、Remy Zero、Sugar Ray、Third Eye Blindらが10月27日(土)に開催される“BREATH”チャリティ・コンサートに出演する。会場は先日、ロサンゼルスのWiltern Theatreへの変更が発表されている。開演は午後7時30分。 このコンサートは乳ガンのためのチャリティで、当初はGreek Theatreで開催されることになっていた。主催者側が会場変更の理由を説明している。 「最近の悲劇的な出来事を受けて、支援活動などについては(テロ被害者救済などの)他の急を要するものを優先させようという状況にあります。そうしたことを踏まえ、今回のショウは小規模の会場で開催したほうが適切と判断しました」 ライヴを披露してくれる音楽界のスターたちに加え、様々な有名人がイベントを支援している。ホストとして出演予定となっているのは、Rita Wilson、Rebecca Romijn-Stamos、Rebecca Rankin、Breckin Meyer、Michael Rappaport、Pertia De Rossi、Rosario Dawson、Rage Against The Machineのギタリスト、Tom Morelloなど。 |
●ファイヴ・フォー・ファイティングがP.マッカートニー、フー、E.ジョンらと共にConcert For New York Cityに参加 |
10月20日(土)のConcert For New York CityにWho、Paul McCartney、Elton John、Rolling StonesのMick JaggerとKeith Richardsらロックの伝説的アーティストが参加し、強烈なパンチを食らわせた。またEric Clapton、David Bowie、Bon Jovi、Billy Joel他も出演し、6時間におよんだコンサートはVH1で全米に放送された。 それで実際、新入りのFive For Fightingの出る幕はどこにあったのだろうか? 彼らがこの歴史的イベントに参加できたのはNY市の救急医療隊員、Earl Hollandがグループに送った手紙が発端となっている。Hollandは世界貿易センターへの攻撃で命を落とした4人の同僚の葬儀を終え、帰宅途中にカーラジオから流れてくるFive For Fightingのシングル、“Superman (It's Not Easy)”を聴いた。 女優のHillary Swankは当日、Madison Square Gardenのステージからこう説明した。 「歌詞が心に染み、Earlはグループと連絡を取ろうと決めました。彼は次のように書いています。“この曲を聴くと涙があふれてきました。命を落としたレスキュー隊員たちは家族を持った普通の人々ですが、人間の命を救うために懸命な努力を続けるスーパーマンでした。なので、無理なお願いかもしれませんが、できればツアーやコンサートで、この曲を友人たちとこの世にいるすべての真のスーパーマンたちに捧げてほしいのです。彼らはきっと誇りに思うでしょう”。Earlさん、今日ここにあなたの願いが叶いました。この瞬間、あなたの思いが通じたのです」 Hollandは彼の息子Andrewを脇に連れ、観衆に向かってグループを紹介するという栄誉を得た。 「では、すべての友人と、救助に命をかけた人々へ、この歌を贈ります:Five For Fightingで、“Superman”」 |
●U2のニューヨークでのチャリティ・コンサート欠席理由は“家庭の事情” |
10月20日(土)にニューヨークのMadison Square Gardenで、音楽史に残るチャリティ・コンサート“Concert For New York City”が開催されたが、予定されていたU2の出演が急遽キャンセルされた。この理由について、U2の広報担当が“家庭の事情”によるものだと発表したが、詳しい内容については明かされていない。 LAUNCHが事前に入手していた情報では、U2は“Stuck In A Moment You Can't Get Out Of”の他にDestiny's Childとの共演でMarvin Gayeの名曲“What's Going On”のカヴァーを聴かせる予定だった。 6時間にわたって行なわれた“Concert For New York City”には、Paul McCartney、Who、Rolling StonesのMick JaggerとKeith Richards、Elton Johnなどが出演した。 |
この記事の関連情報
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話037「生成AIが生み出す音楽は、人間が作る音楽を超えるのか?」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話036「推し活してますか?」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話035「LuckyFes'25」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話034「動体聴力」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話033「ライブの真空パック」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話032「フェイクもファクトもありゃしない」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話031「音楽は、動植物のみならず微生物にも必要なのです」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話030「音楽リスニングに大事なのは、お作法だと思うのです」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話029「洋楽に邦題を付ける文化」