【インタビュー】Novel Core、4thアルバム『PERFECTLY DEFECTiVE』リリース。自身のルーツのミクスチャー「作るなら今」

「Novel Coreがついに手の内をすべて明かした」──そんなふうに思える4thアルバム『PERFECTLY DEFECTiVE』が1月14日にリリースされる。
HIPHOP、ROCK、ボーカロイド、J-POPとさまざまなジャンルが混ざった楽曲を収録しているが、どの曲にも“Novel Coreらしさ”が感じられる。「覚悟ができたから作れた作品」と本人が語る同作には、どんな思いが詰まっているのだろうか。また、Novel Coreといえば、2月11日の<Novel Core “BRAIN LAND” at K-Arena Yokohama>以降、止まることなくステージに立ち続けている。彼にとってのライフワークとなりつつあるライブについても、併せて話を聞いた。
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◾︎僕が持っているいろんな要素を詰め込めた作品になりました
──10月16日にメジャーデビュー5周年を迎えられました。振り返ってみていかがですか?
Novel Core:メジャーデビューが決まった当時は、先輩方が5周年、10周年をお祝いしているのを見て「自分もこういうお祝いをする日が来るのかぁ」とぼんやり、遠くにあるものとして捉えていました。でも、いざ走り始めたら本当にあっという間。体感1週間くらいです。
──めちゃくちゃ早い(笑)!
Novel Core:1週間はちょっと盛りすぎましたけど(笑)、でも本当に「2週間くらいだった」と言っても過言ではない体感速度でした。一気に駆け抜けてきた感じです。今、5年間の出来事を一つひとつ見ながら思い返すと「こんなこともしてたんだ」、「これもやったなぁ」と思うのですが、走っている最中はとにかく目の前にあることや、自分に課した課題にぶつかっている感じで。気がついたら5周年にたどり着いていましたね。その一方、余計なことを考えずに5年間過ごせたのは、周りのスタッフさん、OUTER(Novel Coreのファンの呼称)のみんなのサポートがあってこそ。感謝したい気持ちでいっぱいです。
──そんな中で1月14日には4thアルバム『PERFECTLY DEFECTiVE』がリリースされます。今までインタビューをさせていただいた中で、度々「音楽的ルーツがたくさんある」とお話いただいていました。正直CoreさんがHIPHOPやROCK以外を歌っている姿があまり想像できていなくて。でも同作を聴いてピンと来ましたし、すごく納得したアルバムでした。
Novel Core:嬉しいです! 僕が持っているいろんな要素を詰め込めた作品になりました。
──今、こうしたルーツを詰め込んだアルバムを作ったのはなぜだったのでしょうか。
Novel Core:理由が2つあって。1つは、純度高く自分のルーツを全反映した作品を作るには、今までパーツが足りていなかったんです。簡単に言うと、このアルバムは「お金が足りない」以外の全楽曲をハウスバンドのTHE WILL RABBITS、プロデューサーのJUGEMとで一から作っているんですね。その体制ができたことで、僕の頭の中で鳴っている音楽を忠実に再現することができるようになりました。なので、作るなら今だろう、と。
もう1つは、JESSEさんとの出会いがすごく大きいです。僕はいろんなルーツが混ざっているので、自分をひと言で形容するのがずっと難しいと思っていて。核心をすっ飛ばした両脇にあるもので自分を語っている、みたいな感覚だったんですよね。だからこそ「これはROCKです」、「これはHIPHOPです」と言わないと伝わらない。そのことに悩んでいました。そんな時にJESSEさんと出会って、一緒にいる時間が増えて、ご飯に行ったり、The BONEZのスタジオ作業にお邪魔させてもらったり。そうやって過ごしている中で、JESSEさんにその悩みを相談したら「お前みたいなやつのために“ミクスチャー”っていう言葉があるんだよ」と言ってくれたんです。さらに、「だから、自分の好きなものを作ればいい。その代わり、自分の中にあるルーツや、なぜそれを作ろうと思ったのかをリスナーがちゃんと受け取れるように、キャッチーでいることは大事だよ。キャッチーでいようとしないのはダメだと思う」と。なるほど、と思いましたよね。「普遍的なグッドミュージック」というメインテーマを掲げた上で、それ以外のルールを全部1回排除して、自分のルーツをむき出しにしてみよう、それがグッドミュージックになるよう、キャッチーになるように作ってみようと思えたことで、今作が生まれました。

──今のお話を聞いて2つお聞きしたいなと思ったことがあって。1つ目に「今まではパーツが足りなかった」とのことでしたが、THE WILL RABBITSに関しては2023年から一緒に活動されていました。パーツが揃ったと今思えたのは、何がきっかけだったのでしょうか。
Novel Core:THE WILL RABBITSはハウスバンドとして結成して、一緒にライブをやってきたわけですが、メンバーそれぞれがまったく違うルーツを持っているんです。いわゆる普通のロックバンドと成り立ちが違うため、メンバーがそれぞれ持っている可能性と、僕の音楽性の複雑さがニアリーイコールなんじゃないかと気づくまでに時間がかかってしまいました。ライブを一緒にやっていくうちにじわじわと気づき始めて、3rdアルバム『HERO』くらいから「もしかして俺が表現しようとしていることって、キーボードのうっちー(Yuki Uchimura)のこの要素をもらって、ギターのくまさん(Yuya Kumagai)のこの要素をもらって、こうしたらできるんじゃないか」と思うようになったんです。それに、純粋にみんなの技術的な部分、僕のボーカリストとしての実力が『PERFECTLY DEFECTiVE』に収録している曲を歌うのに達していなかったというのもあります。多分去年の僕だったら、収録曲のほとんどを歌えていないと思います。「あやとりコンテニュー」なんて多分無理ですね(笑)。
──そして、もう1つお聞きしたいのがJESSEさんの言葉について。お話しいただいた言葉はInstagramにも投稿されていましたが、それ以降曲作りに変化もあったのでは?
Novel Core:そうですね。一言で言うと、リミッターがなくなりました。今までは「俺ってロックバンドではないからこの曲だとちょっとロックバンドすぎるな」とか、「ラッパーだけどHIPHOPシーンのど真ん中にいるわけじゃないのに、この曲調とリリックはやりすぎかな」とか、躊躇する気持ちがあったんです。というのも、自分の中で混ざっているカルチャーそれぞれに、そのカルチャー一本でやっている人がいて、そのシーンを作ってきた人がいて。リスペクトしているが故に「このシーンを毀損することになったら嫌だな」、「カルチャーを搾取する形になったら嫌だな」という思いを強く感じていました。それが楽曲制作や表現活動のリミッターになってしまっていました。
──なるほど。
Novel Core:だから振り切った作品を作ることが難しかったんです。でも、「ミクスチャーミュージック」という新しい定義を自分の中で作ったことによって、「HIPHOPとROCKという軸のルーツにポップカルチャーやナードカルチャーなんかがなだれ込んで、ぐちゃぐちゃにした上で自分なりに解釈したものがグッドミュージックであれば何でもいいんだ」と思えるようになりました。それ以降、めちゃくちゃ楽曲制作しやすくなりましたね。たとえば、リリックは「歌いたい内容が決まった」ではなく、「歌わなくていいことが決まった」という感じがして、書く時間がすごく短くなりました。
──「リスペクトしているが故にそのシーンを毀損することになるのは嫌だ」、という気持ちはすごく理解できて。でも、「リミッターを外した」と。とはいえ、そのシーンを毀損しているつもりはなくても、シーン側から批判が来る事例もありますよね。そこに対する怖さなどはなかったのでしょうか。
Novel Core:怖さが無くなったというよりも、それごと背負う覚悟ができた感じです。たとえばROCKミュージックを借りて歌うんだったら、ロックフェスでバンドと並んだ時に「俺たちもロックバンドの側面を持っているよね」と言う覚悟、です。僕もボーカリストとして、フロントマンとしてTHE WILL RABBITSを率いて、他のロックバンドと対等にやり合うんだという準備および覚悟がちゃんと決まりました。ラップに関してもそう。別に僕は戦おうとか道場破りしてやろうとか、まったくもって思っていないのですが(笑)、「いろんなシーンに足を突っ込んで、結局何なんだよ」と思われないために、確固たるものを自分の中で作ろう、と。それが固まったのがこのアルバムの制作期間でしたね。紛れもなく僕の武器になったと思いますし、どのシーンに持っていっても「おもしろいのが出てきたね」と思ってもらえるという自負もあります。
──まさにCoreさんにとって大きな変化をもたらしたアルバム、なんですね。収録曲を見てみると、一つポイントとなるのはJESSEさんとの「ビリビリ」だと思います。どういった経緯でJESSEさんとのフィーチャリングに至ったのでしょうか。
Novel Core:答えに近いヒントをくれたJESSEさんには、このアルバムに入ってもらわないとダメだと思っていました。ただ、一緒にいる時間はあれど出会ってから月日はそんなに経っていないですし、作品に呼ぶならそれ相応の準備と覚悟がないとと思って、まずはRIZE、The BONEZのJESSEを呼ぶにふさわしいトラックとバースを作ることにしました。JESSEさんには何も言わないでJUGEMとくまさんたちとスタジオに入って、JESSEさんのバース以外はSE含めすべて作り上げて。で、8月に<LuckyFes 2025>で、僕が出た次の日にThe BONEZが出演したんですね。僕は出番がなかったのですが普通に遊びに行って、ステージを見て。帰り際にJESSEさんの楽屋に行って、「お願いがあります。一緒に曲をやりたくて。曲はもうできています。JESSEさんのバースだけ空けているんでやってください」とお願いをしたら、「オッケー。殺してやるよ」と言ってくださいました。
──かっこよすぎる……! しかもCoreさんのフロウとJESSEのフロウもまったく違っていて、それもアツいですよね。
Novel Core:そうなんです。世代は違いますが、僕はもともとZeebraさんのレーベルにいたので、JESSEさんがやってるオールドスクールのラップスタイルに囲まれて育っているんですよね。でも、自分が聴いてきた音楽を考えると、それをなぞるのは僕のスタイルではないと、自分ならではのスタイルでラップをしました。ボーカル部分も最初はシャウト気味で録ったんですよ。でもJESSEさんが入ってきた時を想像すると僕らしくないし、モノマネみたいでかっこよくない。なので、ロートーンで丸ごと録り直しをしました。
──あ、そこも思いました。JESSEさんから言葉で大いに影響を受けたCoreさんが、歌やラップで引っ張られていないのがさすがだな、と。
Novel Core:これは自分のスタイルでやってこそ、曲としての強度が出ると思ったんです。ちなみに、サビの〈B.I.L.I!!! B.I.L.I!!!〉というところは、ボーカロイドの「リモコン」という曲からインスパイアされています。〈L R L R stop & Dash & up & talk〉という歌詞がキャッチーだなと昔から思っていたので、こういった歌詞にしてみました。実はスタジオでJESSEさんから「サビをもっと違うパターンも考えてみない?」と言われたのですが、「いや、これは変えないっす。こういう理由でこのサビにしています」と伝えて。それ以外にもレコーディングの時に曲の構成やバンドの音、リズムのアドバイスをたくさんいただいて、ライブを主戦場として戦ってきたバンドマンのアイデアを借りつつ、自分で咀嚼した上でブラッシュアップしながら作りました。一緒に作った感じがして、すごく嬉しかったですね。
──細かな部分まで必聴ですね。そして、もう1曲「お金が足りない」。コメントで「このアルバムに必要だった彩りを加えてくれている」とおっしゃっていますが、この「彩り」とはどういう要素を指しているのでしょうか。
Novel Core:今回、制作方式をガラッと変えてバンドメンバーとJUGEMとアルバムを作りましたが、今までのアルバムはいろんなプロデューサーさんに入ってもらっていました。曲ごとにプロデュースしている方が違うから音像も違っていたのですが、今回は統一感はあるけどその彩りが少し欠けちゃうな、と。昔から応援してくれているOUTERにとって、この作品が大きな方向転換に見えてしまうと不本意だという思いもあったんですよね。僕としては今までとやっていること自体は変わっていないので、地続きだという証明が必要だと思いました。そこで、プロデューサーを入れて遊びのある曲を作ろうと、最近コミュニケーションをよく取っているXanseiくんにオファーをさせてもらいました。
──Xanseiさんにオファーした理由は何だったのでしょうか。
Novel Core:彼って、『PERFECTLY DEFECTiVE』のド真ん中みたいな人なんです。派手な髪の毛で、カメレオンみたいなサングラスをしているけど、背負っているリュックがなぜかリザードン、みたいな(笑)。音楽に関してもHIPHOPの一番の最前線であるサウスサイドの地域をしっかり見ているのに、プロデュースする作品はHIPHOPだけではない。僕のルーツのごちゃ混ぜ感をファッションや音楽でそのまま表現されていて、初めて会った時からシンパシーしか感じませんでした。これだけいろんなものが純度高く混ざっているプロデューサーさんって、国内では少ないですよね。純粋に一緒にやったらどんな曲ができるのか気になって、オファーをしました。
──存在自体が『PERFECTLY DEFECTiVE』だったんですね。他にも全14曲収録されています。すべてこのアルバムに欠かせない曲であることは前提の上で、特に思い入れのある曲を教えてください。
Novel Core:悩ましいなぁ(笑)。(チームスタッフに向かって)どれだと思う? 「せーの」で言ってみようよ。せーの!
一同:「FRiENDS」!
Novel Core:おぉ〜! これがチームです!
──すごい!
Novel Core:今、まじでテンション上がりました(笑)。やっぱり「FRiENDS」ですね。実はこの曲は、存在しなかったはずの曲なんです。本当は曲のテーマも違っていて、曲調もBPMも速くて、フェスでタオルを回すような疾走感のある曲を作ろうとしていて。その制作の日に、スタジオに行ったらJUGEMがすごく凹んでいたんですね。それを見て、スケジュールなどはあるかもしれないけど、無理やりスケジュールを優先して作る必要がないと思って。「今日無理して曲を作らなくてもいいよ。気分転換にアルバムに関係なく、遊びで曲を作ってみない?」と提案したら、やりたいと言ってくれました。そこで、パワーコード3つくらいを展開したシンプルなものを作って、 JUGEMに「少し寝てていいよ」と言って(笑)。そこからJUGEMを励ますための歌詞を書いてできた曲なんです。凹んでいる友だちを元気づけたくて書いた曲。それをレコーディングの日、現場に来たJUGEMが「泣きそうになっちゃった」と喜んでくれたのを見て、作ってよかったなと思いました。結果、メッセージが強いこのアルバムの中でも、群を抜いて伝える力が高い曲になったと思います。
──素敵なエピソードですね。
Novel Core:しかも、アルバムのド真ん中にこの曲が入っているのもいいなと思っていて。仲間と一緒に制作をしたり、誰かが凹んでいる時に誰かが元気づけたり、誰かが欠けている部分を誰かが補ったり、『PERFECTLY DEFECTiVE』=完璧な不良品というテーマにすごく寄り添っていると思います。
──実は、勝手に「THANKS, ALL MY TEARS」の続編的に捉えていました。
Novel Core:でも、その側面もありますよ。「THANKS, ALL MY TEARS」は僕が死にたくなった夜に書いた曲、「FRiENDS」は友だちが死にたくなるくらい凹んでいる時に勇気づけたくて書いた曲。どちらも僕にとって大切な曲です。すでにライブでもパフォーマンスしているのですが、一発で覚えて口ずさんでくれるんですよね。グッドミュージックなんだなとわかって、すごく嬉しいです。






