【速報】対米同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.9
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【速報】同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.9 大変、痛ましい事件が起こりました。それに伴い、現在アメリカでのコンサート・イベント等のほとんどは、中止、あるいは延期となっています。日本来日公演などに関しましても、情報が入り次第、掲載いたします。 ※ニュースが入り次第、リアルタイムに更新いたします |
●エルトン・ジョン、スティーヴン・タイラーらが“We Are Family”のベネフィット・レコーディングを準備 |
音楽/エンターテイメント界の数々のスターが今週末、ニューヨークとロサンゼルスのスタジオに集まり、'79年のSister Sledgeのヒット“We Are Family”の最新ヴァージョンをレコーディングする。これは先週NYで起きた世界貿易センターのテロ攻撃で被害を受けた人々を救済するためのもの。 ロックの参加アーティストはAerosmithのSteven Tyler、Elton John、ForeignerのMick Jones、Sheryl Crow、Sugar Rayのメンバー、Matchbox TwentyのフロントマンRob Thomas。ヒップホップからはIce Cube、Run-D.M.C.、Busta Rhymes、Russell Simmons。クラシックソウル・シンガーはSister Sledge、Dionne Warwick、Roberta Flack、Diana Ross。ポップスターではMonica、Britney Spears、*N SYNCのメンバーら。以上のアーティスト全員が、故Bernard Edwardsと共にオリジナルヴァージョンを作詞作曲、編曲、プロデュースしたギタリスト/プロデューサーのNile Rodgersのもと、交互にマイクを握る。 また、このセッションにはプロテニス界のスター、Andre AgassiとJohn McEnroe、俳優のKevin Bacon、Susan Lucci、Macaulay Culkin、Taye Diggs、Vanessa Williams、Joan Rivers、シンガーのCyndi Lauper、Joan Osborne、Seal他も参加する見込み。 |
●ベック、延期されたジョン・レノン・トリビュートにスケジュールが合わず |
TV放送されるJohn Lennonのトリビュート・イベントの開催が10月2日に延期されたが、イベントの広報担当の発表では、Beckは“スケジュールの問題”で出演しないという。 Beckは、ケーブルテレビのTNTによるこのスペシャル・イベント『Come Together: A Night For John Lennon』に出演予定だったが、同時多発テロ事件発生を考慮し、当初の日程であった9月20日のニューヨークでの収録には出演しないと発表していた。 その後、イベント収録日の延期が決定。改めてTV生中継イベントとして10月2日にマンハッタンのRadio City Music Hallで開催し、午後8時(米東部/太平洋標準時)からTNTで放送されることになった。 出演予定アーティストは、Alanis Morissette、Stone Temple Pilots、Nelly Furtado、Dave Matthewsなど。 |
●レイナード・スキナードの新曲はテロ攻撃を見た友人の反応からヒントを得た |
Lynyrd Skynyrdのフロントマン、Johnny Van Zantは元SurvivorのリーダーのJim Peterikと共に、新曲“The Day America Cried”に取り組んでいる。これは先週の同時多発テロで亡くなった人々に哀悼の意を表した曲。Van Zantは、9月11日(火)にニューヨークの事件現場の近くにいた友人の1本の電話から、この曲のヒントを得たとLAUNCHに語る。 「彼は数人といっしょに仕事をしていた。ボーンという大きな衝撃音がして、(貿易センターの)片方のタワーが炎に包まれているのを見たんだ。“ワォ! これはガス漏れか何かあったんじゃないか? 何があったんだろう?”って感じだったらしい。それから数分後に、彼はもう1機の航空機が突っ込んでくるのを見た。振り向くと、仲間の誰もが、みんな泣いていたそうだ。それで俺は、彼らは本当にとても強い人たちだから、泣かせておくわけにはいかないだろうって彼に言った。そして電話を切って“おお、今日はアメリカが泣いた日だ”って叫んだんだ」 Van Zantはその友人が無事だと分かると、Peterikに連絡を取って動き始めた。 「2人でちょっと話をして、彼にコーラスをつけてもらうことにした。それで曲のタイトルなんだけど、そうだな、タイトルについてはいろいろと考えてるんだけどって彼に話したんだ。で、彼はすぐに飛びついてきたよ。彼はその日の夜にまた電話をかけ直してくれて、こう言ったんだ。“おい、これでどうだ!”って。……そういった曲を書かなければならない状況になってほしくはないけど、実際、確かに事件の日について書かれた曲がいっぱい出るだろうな。そうだろ?」 Peterikのサイト(jimpeterik.com)では“The Day America Cried(アメリカが泣いた日)”のデモが聴ける。また、'01年9月11日の航空機衝突以前と、瞬間、そして衝突後の様子を撮影したイメージのスライドショウもある。次のアルバム用に同曲をレコーディングしているLynyrd Skynyrdの話も聞ける。 |
●シャギー、ベアネイキッド・レディース、サラ・マクラクランらがカナダのベネフィット・コンサートに出演 |
Shaggy、Barenaked Ladies(トロント出身)、Sarah McLachlan(バンクーバー出身)、Gord Downie & Dinner Is Ruined with Julie Doiron、Tea Party、Baby Blue Soundcrew、Treble Charger、Sum 41(オンタリオ出身)らがカナダのミュージック・ビデオ・チャンネル、MuchMusicによるスペシャル・ベネフィット・イベント『Music Without Borders: A National Benefit Concert And Discussion Forum』に出演する。 『Music Without Border』は、9月11日に米国で発生した悲劇と向き合っていくための支援イベントとして開催され、9月23日(日)午後4時(米東部標準時)からMuchMusic Environmentの複数のチャンネルで放送される。当初、日曜日のこの時間に予定されていた同局の音楽賞“MuchMusic Awards”授賞式はキャンセルとなり、替わりにこのコマーシャルなしの4時間スペシャル番組が放送されることになった。 『Music Without Border』は次の各局で生放送される。MuchMusic、Much USA、MuchMoreMusic、Star! The Entertainment Information Station、Canadian Learning Television、CourtTV Canada。また、番組の一部はカナダのラジオ局、CHUM FM、Edge 102、KISS 92でも放送される。 |
●クランベリーズがテロ事件で“Analyse”のビデオを撤収 |
先週の米同時多発テロ事件を受け、Cranberriesは、シングル「Analyse」のプロモーション・ビデオの内容が無神経と受け取られることを考慮して、このビデオを引き上げた。ビデオにはヴォーカルのDolores O'Riordanが高層ビルの屋上に立ち、飛行機が上空を飛び回る中で歌っている姿が収められている。また、他の場面では死体らしき姿も映っている。 「このシーンは、先週起こった事件にあまりに似すぎていると思われてしまうでしょう」とバンドの広報担当が話している。 CranberriesのFergal Lawlerは、事件に対する気持ちをバンドの公式ウェブサイト(cranberries.ie)で語っている。 「米国のニューヨーク、ワシントン、その他の地域で起こった出来事は、私が今まで見てきた中で最も恐ろしく、また悲しい光景でした。あれ以来、私はうんざりとし、呆然としています」「事件の影響を受けたすべての方々に、心より深く同情します」 「Analyse」はアイルランドのバンド、Cranberriesの5thアルバム『Wake Up And Smell The Coffee』からの1stシングルで、アルバムは10月23日にMCA Recordsより米国発売される。 |
●B. スプリングスティーン、P. サイモン、S. ワンダーらが全米ネットワークテレソンに参加 |
Bruce Springsteen、Paul Simon、Stevie Wonder、Billy Joel、Clint Eastwood、Tom Hanks、Robert De Niro、Tom Cruiseなどのアーティスト、映画俳優、TVパーソナリティらが団結し、9月21日(金)の夜、先週NYとワシントンD.C.を襲ったテロ事件の救済活動資金を集めるために全米ネットワークテレソンに参加する。これは前例のない動きで、米4大TVネットワークのCBS、NBC、ABC、Foxが午後9時~11時(米東部標準時)までの間、コマーシャルなしで『America: A Tribute To Heroes』を同時放映する(山岳および太平洋時間帯ではテープディレイがあるとのこと)。ネットワーク各社が放送費用を負担し、出演タレントは全員、ノーギャラで時間を割いている。またVH1、MTV、Lifetime、E!といった他のケーブルネットワークでも同様の特別番組を放映する予定。 視聴者には放送中に寄付の方法が伝えられる。ネットワーク会社が世界貿易センターと国防総省のテロ攻撃で犠牲となった人々のために、独自の救済組織を設立するかどうかは不明。また視聴者に既存の救済団体への寄付を呼びかけるかどうかもまだ分かっていない。ネットワーク各社の合同記者会見では次のように述べられている。 「『America: A Tribute To Heroes』が求めているのは、アメリカを“the land of the free and the home of the brave(自由の地と勇者の故国)”にする不屈の精神と、揺るぎない忍耐力、勇気に敬意を表し、震撼した世界を言葉と音楽でひとつに結ぶことです」 他の参加アーティストはBon Jovi、Tom Petty、Neil Young、Amy Brenneman、Jim Carrey、Julia Roberts、George Clooney、Cameron Diaz、Calista Flockhart、Dennis Franz、Kelsey Grammer、Sheryl Crow、Dixie Chicks、Ray Romano、Faith Hill、Alicia Keys、Conan O'Brien、Will Smith、Sela Ward、Robin Williamsら。後日、さらに多くのアーティストが発表される見込み。 |
●イン・シンクが米同時多発テロへのコメントを発表 |
*N SYNCが9月11日の米同時多発テロ事件へのコメントを発表した。公式ウェブサイト(nsync.com)にLance Bassがグループを代表してメッセージを寄せている。 「今回の悲劇で愛する人を失った人々のことを思うと、僕もメンバーのみんなも胸が張り裂ける思いです。あなたがたのため、そしてこの国の回復のために僕は祈っています」 「僕たちは、罪のない人々を苦しめるような、同様の邪悪な方法に走らないようにすることが大切です。我々の政府がこの残虐行為の責任者を見つけ出し罰してくれると僕は信じていますし、ブッシュ大統領の決断を全面的に支持していくつもりです」 「なぜ私たちの国でこれほどの悲劇が起こることになってしまったのかは、この先もずっとわからないことでしょう。しかし、神は私たちを愛しており、私たちにこの困難を乗り越えさせてくれると信じています。その事実が僕の心を軽くしてくれます。神よ、我らの祖国、米国にご加護を! “神はわれらの避け所また力である。悩める時のいと近き助けである”(旧約聖書 詩篇46篇1節)」 |
●リンプ・ビズキットのWes Borlandが、テロ攻撃後の人種差別について口を開く |
Limp Bizkitのギタリスト、Wes Borlandは9月11日にアメリカを襲ったテロ事件を受け、イスラム教徒や中東の隣人たちに怒りをぶつけないようにファンに強く呼びかけている。 Borlandはオンラインメッセージで次のように言っている。 「合衆国を襲った先週のテロ事件の後遺症で、イスラム教徒や他の“中東的な容貌の人々”を狙った暴力事件が多発していると耳にした」「すべてのイスラム教徒が“中東風の顔をしている”とは限らない。分かるだろう? テロ攻撃にみんなが憤慨しているのは分かるけど、その怒りを事件とは無関係な人々に向けるのは大きな間違いだ。米国を襲撃したのは彼らはではない。周りの人が何と言おうと、俺は君たちに行動する前によく考えろと警告したい。人間というのは頭がいいが、その同じ人間がひとつの大きな集団になってしまうと、すごくバカにもなるんだということを覚えておいてもらいたい」 彼はこう付け加えている。 「これは罪のない隣人に対する憎悪犯罪だということをどうか理解してほしい。今は人々に救いの手をさしのべる時であって、誰かを非難する時ではない。人種差別をしてはいけない。人種差別をしてはいけない。人種差別をしてはいけない……」 |
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