オジーが語るBlack Sabbath再結成と再解散
Ozzy Osbourneが語るBlack Sabbath再結成と再解散 |
「どうにかなりそうだ!」 Ozzy Osbourneはうめいた。 「死にそうだよ」 Black Sabbathが解散した。またもや。 …だが、今回はどうやら友好的な解散のようだ。 彼らの故郷でその終焉の時を迎えるべく、バンドはイギリスのバーミンガムへよろよろと戻っていく。30年前に総ての歴史がスタートし、2年前にBlack Sabbathのオリジナルのラインナップを揃えて、再度バンドを復活させた地へと。 OzzyとToni Iommi、Geezer Butler、Bill Wardという“メタルを発明した男達”が、『最後の晩餐』と銘打ったBlack Sabbath最後のコンサートを行なうためにこの街にやってきてから、まだ数週間しか経っていない。 あの日、アリーナはまるで、フリンジのついたジャケットの見本市のような様相を呈していた。嘆きの場にふさわしく、誰もが黒い服をまとっていた。いい年をした男でさえ泣いていた。 そして楽屋では… 「止めてくれ!」Ozzyが頼んだ。 「俺は震えてるんだから」 そんなに辛いなら、どうして最初からバンドを解散させたりするのだろう? 「そうじゃないんだ」とOzzyは答える。 「俺は禁煙しようとしてるんだよ。これが本当に辛いんだ」 それはともかく、Black Sabbathは本当に解散した訳ではない。少なくとも、Ozzyはそうは考えていない。他のメンバーも同じようだ。これで本当におしまいなのか、と彼らに尋ねても、きっと肩をすくめるだけだろう。誰が決めたことかと尋ねても、きっと自分達には関係のないことだと言うか、隣の人間を指さすだけだろう。 例えば、Tony Iommi。日頃は頭脳明晰な彼だが、この質問に関してはこう答えるだけだ。 「Ozzyに、『誰が決めたんだ?』って訊いたら、『君じゃないのか』だとさ。『俺達は君だと思ってた』と言っておいたがね」 Ozzyも同じように混乱している。頂点に達したところでやめることが出来て満足していると言うかと思えば、 「誰がやめるんだって?」と言いだす始末。 「みんな、私に尋ねるんだよ。本当にこれでおしまいなのか?とね。でも、私にはその質問に答えようがないんだ。私は既に一度引退を決意している。だが、結局1週間でその決意は崩れてしまった! これが本当に私達にとって最後のコンサートになるのかどうか、私にはわからない。私達のうち誰かが死にでもしない限りはね。でも皮肉なことに、前にこう言った時には…つまり、Bill WardがBlack Sabbathに戻ってきた時に『ひとつだけはっきりしているのは、全員まだ生きているってことだな』と言ったら、その次の日に心臓発作で彼が倒れてしまったんだよね!」 「みんなで落ち着いて『これで終わりにしようか?』と話をした訳じゃないんだ。だから、私にとっても今回の解散話が何を意味しているのかよくわからないんだよ。オリジナルラインナップでの再結成が実現するまでに、私達は何年もかけてトライしてきた。実際、再結成を試みたのは今回が初めてじゃないしね。ところが、突然4人がお互いと口をきくようになり、私の弁護士や彼らのビジネスマネージャーの間に話が伝わったんだ。最初の頃はマネージャーもローディも1人しかいなかった。今じゃ、それぞれのメンバーが15人ずつローディを抱え、マネージャーやビジネスマネージャー、会計士など様々なスタッフを抱えている。だから、いつも失敗していたんだよ。今回まではね。私は今回、マネージャーでもあるカミさんにこう言ったんだ。『もうたくさんだ。夫としてではなく、君の会社に所属するアーティストとして言うよ。やりたい、私はやりたいんだ』と。そのあと、他のメンバーみんなに電話をかけて『一言だけでいいから言ってくれ。やるかやらないか、どっちだ?』と言ったら、みんな『やる』と言ったんだよ」 「とはいっても、永遠にやるつもりは最初からなかった。私にも他に色々な仕事があるし、彼らにも彼らの仕事がある。それに、正直な話、私としては下り坂になって終わるよりも、頂点に達したところで終わりにしたかったんだ。このまま活動を続けていくことも出来ただろうが、それでは同じことの繰り返しになる。みんなが『やれやれ、また、Black Sabbathかよ!』と言うようになるのなんて、あっという間だろうからね。ただ、この2、3年のうちにメンバー全員がもう1回一緒にやろうという気になったら、そのつもりではいるよ」 よし、公共のメディアの務めとして、がっかりしたBlack Sabbathのファンの大量自殺を防ぐ発言を引き出したところで、事の詳細に話を移そう。一度は不倶戴天の敵とまでなったOzzyとTonyが、どうしてこの2年というものうまくやってこられたのだろうか? 「私にとっては癒しのプロセスという感じだった。私達は年寄りだ。そのことはわかっている。でも、ほら、よく言うだろ? 年を取れば取るほど賢くなるとね。我々はみなクスリやアルコールに溺れ、克服したり、克服し損なったり、とんでもないことをやってみたりしてきたけれど、今はみんなしらふの状態だ。それに、何より重要なのは、どういう状態にいようと、友達なんだってことなんだよ。私達は、結局お互いのことが好きなんだ。最初からそうであるべきだったんだがね。今は、全員といい関係にある。特にTonyとは仲がいい。こんなことは今までなかったよ。私は彼のことが怖かったんだ! 事実、2年前にみんなでまた集まった時は、まだ彼を恐れるような雰囲気があった。カミさんなんて驚いてたよ! 私にこう訊いたくらいさ。『一体どうしたの? どうしてそんなに彼のことを怖がるの?』とね。だけど、子供の時に恐れを抱いていた相手のことは、50年後に出会ってもやっぱり怖いものでね。でも、その壁を乗り越えたら、後は素晴らしかったよ。4人で楽しんで、音楽をプレイして、みんなをノリノリにさせてきたんだから」 「一番大きかったのは、どんなにみんながBlack Sabbathの初期の曲を愛しているかがわかったことだった。これまでもそういう話は聞いてきたけれど、私はこれまで全然信じてなかったんだ。何年も前にMetallicaが私の前座を務めてくれたことがあったんだが、ある日彼らの楽屋に行くと、彼らが昔のBlack Sabbathのアルバムをかけているじゃないか。それを聴いて私は、彼らが私を馬鹿にしているんだ!と思った。だが、彼らは『そうじゃないんです。俺達は本当にBlack Sabbathが大好きなんです』と言ったんだ。その時はわからなかった。何しろ、私とBlack Sabbathの関係が終わろうとしていた20年前には、自分達のやっていることが退屈で馬鹿げているとしか思えなかったんだから。あの頃は自分達自身がうんざりしていたし、演奏している時も、クスリや酒で頭の中は空っぽだったし」 「今回の再結成でやったことの中でも重要なことの1つが、Black Sabbathを栄光の時代の姿に戻した、ということだ。Black Sabbathという名前は、このところ世界中でクソミソにされてきたからね。由緒正しい、歴史的な名前だというのに。でも、今年は“Iron Man”でグラミー賞にまでノミネートされたんだぜ!」 ここで彼は、なぜ売れること間違いなしのスタジオアルバムを制作しなかったのか説明した。 「過去の作品には追いつかないもの。あの頃の無邪気さを、私達はもはや失ってしまったからね」 彼らは現在、それぞれソロアルバムを制作している。Ozzyも色々なソングライターと一緒に曲作りをしながら(「それが誰かは訊かないでくれ!」)自分のアルバムの準備を始めたところだ。 「今が一番大変なんだ。一番最初の段階がね。作業用のタイトルすらまだ決めていないんだから。ある朝、目が覚めたところで“ピンポーン!”とひらめいたら最高なんだけど。何しろずっと忙しかったしね」 そう、彼は忙しい。今年は『Ozzfest』もあるし、映画『Addams Family』シリーズの次回作に出演するために演技のレッスンも受けている(「映画は以前にも出たことがあるんだが、最低だったね。私はJames Bondに出るような柄じゃないよ」)。そして、彼は自伝も執筆中なのだ。 「息子に指図して、コンピュータで色々と手助けさせているんだ。調査にもじっくり時間をかけるつもりだよ。ちょうど、'71年の部分を書いているんだ。私が正気を失って、窓から飛び出したところをね。何しろ私の人生ときたら、面白いエピソードでいっぱいだから…」 by Sylvie Simmons |