超大型新人フリート・フォクシーズ、年齢詐称の疑いあり?

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遂に日本でもアルバム『フリート・フォクシーズ+サン・ジャイアント EP』が発売となったフリート・フォクシーズ。2008年、世界中のメディアの年間チャートを独占した事実からも、彼らへの評価の高さは証明済みといったところだが、お聞きいただけただろうか。

◆アルバムより「祝福の大地」PV

フリート・フォクシーズは、ロビン・ペックノールド(Vo./G)、スカイラー・シェルセット(G)、クリスティアン・ワーゴ(B)、ケイシー・ウェスコット(Key)、ジョシュ・ティルマン(Dr)の5人編成。平均年齢23歳という若さ溢れるメンバー…のはずだが、風貌は、5人中3人(ロビン、ケイシー、ジョシュ)が長髪に髭で、20代前半とは思えないルックス。ぎりぎり、スカイラーだけは爽やかアイドル風か? にしてもヤギと戯れる様子のアーティスト写真ってどうなんだ?

所属レーベルは地元シアトルの名門インディペンデント・レーベル、SUB POPだ。シアトル出身でSUB POPの先輩といえばなによりニルヴァーナだ。フリート・フォクシーズは、同郷のバンドとして、ニルヴァーナ以来初めて世界的にブレイクしたバンドとなる。ちなみに、ロビンは「メジャー・レーベルとは世界が滅びるまで、絶対に契約しない」と強く言い放っており、現在の在り方に意義を感じているようだ。

実年齢のわりにイっちゃっているのは見た目やこだわりのみならず、影響を受けたバンドも、すっかり60~70年代だ。ロビンいわく、「ビーチ・ボーイズ、サイモン&ガーファンクル、ゾンビーズ、ジョニ・ミッチェル、フェアポート・コンヴェンション、スティールアイ・スパン、ラヴ、マーヴィン・ゲイ、バッハ、クロスビー・スティルス&ナッシュ、ボブ・ディラン、バッファロー・スプリングフィールド、その他ベビーブーマーのレコード・コレクションにありがちなあらゆる永遠の60年代バンド」と、立て板に水状態。ちなみに、ロビンの姉の名前はエイジャ。そう、もちろんジョン・ウェットンが歌うエイジアではなく、スティーリー・ダンの傑作アルバム『エイジャ』からのネーミング。ご両親が音楽漬けの方なのね。

アルバム世代のような価値観をもつフリート・フォクシーズは、作品のアルバムジャケットも、ご覧のように16世紀のオランダの画家ピーテル・ブリューゲルの作品「ネーデルランドの諺」を使用するこだわりを見せている。この絵には、人々の生活の諺や格言が80種類以上も描かれており、ロビンは、「あの絵にある二元性に惹かれたんだ。一見、のどかな田園的な風景と、その中に描かれている残酷な現実が共存している部分が面白いと思った」と語っている。ちなみに、このアルバム・ジャケットはArtvinyl.com主催の<Best Art Vinyl Award2008>で見事最優秀賞に選ばれた。

ライヴ・パフォーマンスの評判も非常に高く、様々な楽器を用いた圧巻の演奏スキルと、CDで聴かせるオーガニックなコーラス・ハーモニーを完璧に再現し、至福の空間を作り上げるフリート・フォクシーズ。彼らが世界的にブレイクした理由のひとつには、そのパフォーマンスの完成度の高さがあるのだ。現在、決まっているアメリカとヨーロッパでの単独公演は、全公演ソールド・アウトしており、2009年は、コーチェラやグラストンベリー・フェスティヴァルなど、世界中の主要フェスティヴァルに多数出演が決まっている状況だ。

風貌や印象的なジャケット写真、また時代性を超越したその音楽性から、神秘的な印象を与えるフリート・フォクシーズ。23歳という若さながら超大型新人と呼ばれるどっしり感はどこから来るのか?…とはいえ、フリート・フォクシーズの歴史は始まったばかり。現代の若者達による時代を超えた美しく壮大な音世界を、ご賞味あれ。

◆フリート・フォクシーズ・オフィシャルサイト
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