現在の“THE付き”バンド・ムーヴメントの火付け役が、このザ・ストロークスだ。ジュリアン・カサブランカス(Vo)を中心とする、ニューヨーク出身の5人組だ。彼らは’01年、アルバム『Is This It』で、かつてザ・スミスを生んだイギリスのインディ・レーベルの老舗、ラフ・トレードからデビュー。ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド以来脈打つニューヨークのアートなパンクの伝統と、ザ・スミスにも通じるメロディやリズム感覚を咀嚼した、“これぞインディロックの典型的見本“のようなシンプルなロックンロールは、ヘヴィ・ロックとキッズ・パンク一辺倒だったロックシーンに一石を投じ、アルバムは英米の音楽誌からこの年の最高傑作に選ばれるほどの大反響を得た。まずイギリスの音楽誌から人気に火のついた彼らではあったが、そのモッドスーツに身を包んだファッション性はアメリカでも新鮮なものとして受け入れられる。いまや新たなトレンド・リーダーにもなり、キャメロン・ディアスやオジー・オズボーンの娘ケリーなど、セレブに追っかけを持つほどの存在に成長。そんな彼らの成功から、“THE”の付くバンドたちの侵攻がスタートした。今年にはニューアルバムのリリースが期待されている彼らだが、ロック界の勢力地図がどう塗り変わるかは、彼らの成功いかんにかかっている。