【インタビュー】逹瑯(MUCC)、2026年初のソロシングル「checkmate」にリアルな空気感「俺は今、ここに立ってますっていう座標」

MUCCの逹瑯による2026年初のソロシングル「checkmate」が完成し、3月11日にリリースされる。“悪役”をテーマにダークヒーローな世界観を描いた前シングル「VILLAINS」から一転、「checkmate」は力強いロックサウンドにエネルギッシュな言葉を乗せた1曲だ。
「コンセプチュアルな作風ではなく、リアルな表現が生まれた」と語る最新作の背景には何があるのか。ソロデビューから4年、アコースティックライヴを含む多角的なアプローチを通して確かな手応えを重ねてきた逹瑯ソロの世界は、また新たな季節を迎えそうだ。「あと少しで何かが完成しそうな気がする」とは、このインタビューでの逹瑯の言葉だが、<LIVE HOUSE TOUR [VILLAINS chapter 2]>がますます楽しみな仕上がりとなった。
さらに、SNSで話題を集めた逹瑯主催による“ヴィジュアル系ボーカル会”や、盟友とのトークライヴ<第二回 昭和の残党大新年会 ~爆笑トークと時々Vの名曲>の裏話、2027年に結成30周年を迎えるMUCCについてなど、トピック満載でたっぷり語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。

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■ “どうしようかな”と迷っている時に
■吹っ切れるきっかけの曲になればいい
──2025年9月にシングル「VILLAINS」をリリースして、同名のライヴハウスツアー<LIVE HOUSE TOUR [VILLAINS]>を開催し、そのファイナルで2026年3月からツアー<LIVE HOUSE TOUR [VILLAINS chapter 2]>を開催することを発表されました。「VILLAINS」を盛り込んだツアーの手応えが大きかったということでしょうか?
逹瑯:そうですね。9月のツアーがすごくいい感じに回れたので。特に次の作品の展望とかは何もなかったんですけど、とりあえずこの空気感をもう少し継続してやりたいと思って、<chapter 2>というタイトルにしました。
──「VILLAINS」という曲自体、ライヴの1曲目にやって世界観を作れる曲をイメージしたとおっしゃっていましたが、それがうまくハマったと?
逹瑯:あの曲の世界観というより、ツアー全体の空気感かな。“あと少しで何かがひとつ完成しそうな気がするんだよな。もっと良くなりそうなんだよな”っていうところで終わっちゃったので。そこに、まだ入れられていない過去の曲や、今回の新曲みたいなテイストの曲を加えてブラッシュアップしたいと思ったんです。
──アルバム『COLORS』や『MONOCHROME』のツアーから、意識的に変えたことなどがあったんですか?
逹瑯:何か意識したというより、自然発生的なところで掴みかけたものがあった感じですね。それこそ『COLORS』や『MONOCHROME』のツアーでは、その収録曲をたくさんやらなきゃいけなかったけど、「VILLAINS」はシングルだから、過去の曲をもう一回引っ張り出して混ぜ込めるセットリストだったんですよ。そういうセットリストの組み方は初めてで、いい流れができていたから、次はさらにバリエーションを増やしていけそうだなって。

──次へ向けての新曲として作ったのがシングル「checkmate」ですか。
逹瑯:そうですね。ライヴの頭の掴みにも持ってこれるし、後半の盛り上げにも持っていけるような曲。そういうふうに育てていけそうな曲を作りたいと思ったところから始まりました。最初はもう少しオトナなバンド感のあるシャレオツな匂いを想像していたんですけど、今の方向性もいいなと思ってアレンジを進めたら、結果カッコいい曲になりましたね。
──描かれているものとしては、「VILLAINS」の世界の続きのような側面もあるんですか?
逹瑯:いや、そこは全然考えなかったな。紐付けたほうがいいかなとも考えたんですけど、一回何も考えずに自由に書いてみようと思って。制約を設けて書いたほうが良くなるパターンと、縛られると良くないパターンがあるんですよ。この曲に関しては無理に紐付けてもダメな気がすると思ったから、考えずに自由に制作しました。曲から刺激されるもの、感じるものを素直に書いたという感じかな。こういうロックテイストな曲は、熱い詞を書くとアニソンっぽくなっちゃうんですよ。アニソンみたいな言葉の熱さにはしたくないけど、キャッチーさはほしいなと。サビのメロディの音数が多くて、パッと聴いただけでは覚えられない感じだったから、言葉の乗せ方でキャッチーに聴こえるようにできないかなってチャレンジして、いい感じに仕上がったので満足しています。
──サビのワードから組み立てていくような書き方?
逹瑯:いや、俺は絶対に、歌詞を頭から順番どおりに書くんですよ。サビから書いたりすると、前後のつじつまを合わせる作業が本当に面倒くさいので。「checkmate」の歌詞はテーマ的には精神性が強いけど、あまりベクトルが内向きすぎないほうがいいな、シリアスになりすぎないほうがいいなと思ってて。だからイメージしやすいキャッチーなワードにした、ということですね。

──「精神性が強い」ということですが、テーマとしてはどういうものだったんですか?
逹瑯:生きていくなかで決めなきゃいけないこと、自分なりにけじめをつけなきゃいけないことってあるじゃないですか。俺自身も生きているなかでそういうタイミングがたくさんあるし、“俺にあるんだから誰にでもあるだろうな”と。日々の生活のなかの小さいことでもなんでもいいけど、 “どうしようかな”と迷っている時に、当てはまるような曲というイメージ。そういう時にフィットする歌詞になったんじゃないかなと思います。俺が好きに書いた詞が、誰かのどこかに引っかかって、何か吹っ切れるきっかけの曲になればいいなって。
──ネガティヴを吐き出すだけでもなく、ポジティヴに背中を押すだけでもない温度感ですよね。
逹瑯:日本人って、やっぱり変に責任感がある人が多いじゃないですか。どうしてもまわりと関係を持って生活しなきゃいけないから、“まわりの期待に応えなきゃ”とか、人からの評価に縛られる生活を送りがちな人が多いと思う。“自分は自分だから、まわりとは関係ねえ”って生きていける人は少ないだろうから、“そんなのもういいや”って踏み出せるような曲にしたいと思って書きました。そういう疾走感がある曲だし。そのためにも難しく聴こえないように、サビはパッと耳に入ってくるワードにしたり、リフレインにしたり。
──“全部 他人の所為にしたい”というフレーズも、ある意味キャッチーで印象に残ります。
逹瑯:俺自身の考え方が、あまり人のせいにできないので。今言ったような状況になってしまったとしても、“選んだのは自分だよね。結局自分が悪いよな”と思ってしまう性格だから、“全部人のせいにできたらいいな”って思うんですよ(笑)。
──できないからこその言葉なんですね。
逹瑯:そう。そういう部分も、曲に疾走感があるからコミカルに表現できるというか。人によっては重たく感じるかもしれないけど、グーッと深刻な曲にはしたくなかったんですよね。重たい状況にいる人は深く沈んで考えてしまいがちだからこそ、“そんなに重圧を感じなくていいんじゃないの?”というくらいの曲にできたかなと思います。

──結果的に楽しく聴けるし、ライヴでも笑顔でのれる曲になりそうな気がします。“曲を聴いてこういう気持ちになってほしい” “こういう気持ちを持って帰ってほしい”という部分は、歌詞書くうえで重要になっていますか?
逹瑯:というか、ずーっと自分の抱えているものが世の中のすべてだと思って生きてきたけど、そうじゃないと気づいたし、そうじゃなくていいんだなと思えるようになったから。“いい意味で適当にあしらっちゃっていいんじゃない?”と思えるようになったぶん、最近は一個一個のテーマにシリアスになりすぎたくないとは感じてますね。
──なるほど。
逹瑯:年齢的にもいろんなことを経験してきて、もう些細なことでは絶望しないけど、やっぱり若い頃はそうではなかったんですよ。何も知らないし、経験もしていないから、ちょっとしたことでもそれがすべてのように一喜一憂して、絶望して悲しんでいた。でも、今はそうじゃないので、そんな歌を歌っても自分の中でリアルじゃない。リアルじゃないと歌に気持ちも乗らないし、自分の等身大でリアルな空気感を歌いたいなという気持ちがあります。
──楽観的な性格に変わったわけではないけど、表現の仕方や受け取り方が変わったと。
逹瑯:うん。ガキの頃、「そんなのたいしたことじゃないよ、大丈夫だよ」ってなぐさめてくれてた大人に対して、「いや、何言ってんの? 全然わかってくれないじゃん」と思ってたけど。“大人側の気持ちも、それはそれでリアルだったんだな”ってわかる側の年齢になったなら、そういう曲を歌っていけばいい。昔とずっと同じ場所に立ち止まったままだと逆にリアルじゃないから、その時代ごとの価値観を歌っていけばいいのかなと思う。“俺は今、ここに立ってます”っていう座標みたいな感じですね。







