【インタビュー】10-FEET、映画『ゴールデンカムイ』主題歌「壊れて消えるまで」を導いた運命「どこまでも連れていかなきゃ」

2026.03.13 18:00

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10-FEETが3月18日、約1年8ヶ月ぶり22枚目のCDシングル「壊れて消えるまで」をリリースする。表題曲「壊れて消えるまで」は映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』の主題歌として書き下ろされたものだ。

「うわああああああ!原作の大ファンやった私になんちゅうオファーをー!」──とは作詞と作曲を担当したTAKUMA (Vo, G)の言葉だ。同シングルのプレスリリースの中で主題歌を任された喜びをストレートに表現していたが、その「壊れて消えるまで」はひとつ前に配信リリースされた「スパートシンドローマー」とはある意味、対極にあると言える歌ものロックナンバー。「ハローフィクサー」以降、「第ゼロ感」で極めたシーケンス要素を持つデジロック感の流れからの振り切り方も聴きどころと言える。が、10-FEETらしい3ピースバンドサウンドによるエモい歌ものと思わせ、「スパートシンドローマー」におけるチャレンジを経た、これもまた10-FEETの最新型と言える曲になった。そのことを楽曲からはもちろん、TAKUMA、NAOKI (B, Vo)、KOUICHI (Dr, Cho)の言葉からもしっかりと聴きとりたい。

22nd CDシングル「壊れて消えるまで」には表題曲「壊れて消えるまで」に加え、「スパートシンドローマー」と「我主我主我主~Oh!Soccer!」の計3曲が収録される。前述したとおり、両極にあると言っていい「壊れて消えるまで」と「スパートシンドローマー」、そしてこれまた彼ららしい遊び心満載のショートチューン「我主我主我主~Oh!Soccer!」という絶妙なバランスは、サウンド的に10-FEET印マシマシの3曲だ。

今回のBARKSインタビューでは、「壊れて消えるまで」の制作の背景と合わせて、前述の「スパートシンドローマー」、ライブバンドならではの瞬発力を物語る「我主我主我主~Oh!Soccer!」についてもじっくりと話を訊いた。

   ◆   ◆   ◆

■“今こそこういう曲をやるべきや”って
■KOUICHIがいきなり返してくれて

──TAKUMAさんは元々、『ゴールデンカムイ』の原作の大ファンだったそうですね。前映画の主題歌をACIDMANが担当したときはどう感じてました?

TAKUMA:ACIDMANは友達だから、友達が主題歌を担当していてうれしかったです。

──NAOKIさんとKOUICHIさんはいかがでしたか?

NAOKI:僕は羨ましすぎて、ACIDMANの3人に会ったとき、「『ゴールデンカムイ』決まってるやん!」っていう話、敢えてしませんでした(笑)。

──その後『ゴールデンカムイ』は、全9話のテレビドラマのシリーズがあって、各話、違うアーティストがエンディングテーマを担当していましたが、その時“なぜ自分たちじゃないんだ!”とはならなかったですか(笑)?

KOUICHI:それはならへんかったな。

NAOKI:そうだね。

TAKUMA:その発想はなかったですね。見ながら喜んでましたよ。原作のマンガはもちろんですけど、映画もドラマもアニメも作られるたびに喜んでました。

TAKUMA(Vo, G)

──そうか、そういう発想になる僕は人間がちっちゃいのかな(笑)。

TAKUMA:いやいやいや(笑)。やっぱり、すごいバンドもアーティストもいっぱいいますからね。自分が好きな作品に呼んでもらえるなんて、そうそうあることじゃない。だから、映画『THE FIRST SLAM DUNK』でエンディング主題歌を担当させてもらった時はめちゃめちゃうれしかったし、今回、声を掛けてもらった時も、マジでうれしかったです。

──そういう意味では、念願の主題歌担当と言えると思うんですけど、「壊れて消えるまで」はひとつ前の「スパートシンドローマー」から一転というか、「ハローフィクサー」以降「第ゼロ感」で極めたシーケンス要素を持つデジロック感とは、いい意味で対極にあるというか、歌ものと言っていい曲になったところが興味深いと思いました。皆さんは、どんな手応えがありますか?

KOUICHI:デモが上がってきた時点で、もうほぼこの形やったんで、これならハマるんじゃないかっていうのは感じてました。「スパートシンドローマー」のような同期が入った曲よりは、こういう曲のほうが合うやろなって。

──「合う」っていうのは、映画の主題歌に?

KOUICHI:そうです。

NAOKI:土臭さも含め、ロック色が濃いところは、『ゴールデンカムイ』にハマるんじゃないかなって思いました。

NAOKI (B, Vo)

──映画サイドからは何かリクエストがありましたか?

KOUICHI:いや特には。2曲提案した中で、「壊れて消えるまで」を選んでもらって、それをバンドで仕上げた感じですね。

──曲作りはやはりシナリオを読み込むところから始めたんですか?

KOUICHI:シナリオとか、そういう詳細な資料みたいなものはもらってないですね。

──じゃあ、その2曲は最初、何を取っ掛かりに作っていったんでしょうか?

TAKUMA:1曲はダンサブルで同期も使っていて、もう1曲が「壊れて消えるまで」だったんですけど、ダンサブルな曲はコロナ禍の時期に作ったんですよ。音楽活動を自粛している間、僕は曲をけっこうたくさん作ったんですけど、その中の1曲ですね。だから、「第ゼロ感」とデモができた時期が、わりと近かったと思います。「壊れて消えるまで」も似たような感じでできたと思うんですけど、たぶんちょっとだけ後になるのかな。当時、「蜃気楼」とか「ヒトリセカイ」とか「その向こうへ」とかとわりと属性が近い、同期もあまり入ってなくて、男らしくロックして、でもってエモくてみたいな曲がすでに何曲かあったんで、「壊れて消えるまで」のデモができた当初は、こういう曲は今の10-FEETには要らんやろな、おなかいっぱいやろなみたいなタイミングやったから、ほんならソロでやろうかみたいになってたんですよね。

KOUICHI (Dr, Cho)

──でも、10-FEETでやろうと思った、と。

TAKUMA:そうなんですよ。その後、「第ゼロ感」とか「gg燦然」とか「helm’N bass」とか、いろいろな曲をリリースしているうちに時が流れてですね、映画『ゴールデンカムイ』の話をもらったとき、「こういうネタがあるけど、どうやろ?」みたいな話を、10-FEETのグループLINEに曲付きの動画にして上げたんです。「まだデモなんだけど」って。そうしたら、KOUICHIがたぶん“久しぶりにこういう曲もええやん”って意味やったと思うんですけど、「今こそこういう曲をやるべきや。ほんまにいいと思うで」っていきなり返してくれて。

KOUICHI:そうだったっけ(笑)。

──映画に合うと思う以前に。

KOUICHI:単純に曲としてよかったんですよ。

NAOKI:“夜空を飛んで行く 壊れて消えるまで”という最初の2行の歌詞もかなり強いから。

TAKUMA:そう思ってくれたのならなおのこと、これも候補曲のひとつにしようと思って、「壊れて消えるまで」を映画サイドに聴いてもらったら、「いや、もうダントツでこれでしょ。これでいきたいです」となったんですよ。

──新たに書き下ろしたわけではなくて、元々あった曲だったんですね。

TAKUMA:主題歌に決まってから、増やしたり、直したりしたところもあるんですけど、歌詞もおおかたこの形でありましたね。

──曲が決まってから、TAKUMAさんが作ったデモをもとに、どんなふうに作っていったんですか?

KOUICHI:デモが上がってきた時には、メロディーと、ほぼほぼこの形の歌詞があったんで、それを広げていきました。というか、ほぼデモ通りですよ。

──じゃあ、ベースやドラムのアレンジは、そんなに苦労せず?

NAOKI:そうですね。TAKUMAは、僕らが考えそうなフレーズをある程度イメージしたって言ってましたけど、ほんとにその通りで。なので、アレンジに関しては早かったと思います。

──ひと筆書きで作ったような曲の中に、印象的なフレーズがたくさん散りばめられているという印象が僕にはありました。

TAKUMA:めっちゃいい表現ですね。うれしいです。しかも、この曲は……たとえば「蜃気楼」とか「ヒトリセカイ」とかは、今の俺の一番キーが高いところで、思いっきり歌えるところを攻めてるんですけど、「壊れて消えるまで」はそれよりも半音か一音ぐらい下のキーで歌ってるんです。がんばりすぎてないというか、無理しすぎないキーで、ただただ歌ってる感じが逆にめちゃくちゃエモくなってしまったみたいなところがあって。この曲は、たぶんこれなんやなと思ったんですよね。今思い返せば、それがまたひと筆書きにすごく合ってたとも思いますし。ほんまに完成に至るまで、イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏も含めて、流れるように、運命のように出来上がっていった感覚がありました。

──TAKUMAさんは曲ごとに声の出し方や歌い方を変えていると思うんですけど、「壊れて消えるまで」は一番地声に近いのかなという印象もありました。

TAKUMA:そうかもしれないですね。

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