【ライブレポート】Nikoん、東京凱旋公演で見せた飛躍「日本で1番格好良いバンドだって、胸を張って言えると思います」

2026年2月15日(日)、東京・渋谷WWWにてNikoんが<アウトストアで47 – 東京FINAL ->を開催した。
2ndアルバム『fragile Report』を引っ提げた同ツアーのセミファイナルとなるこの日は、Fallsheepsと神々のゴライコーズの2組を招き、スリーピースバンドの三つ巴に。これまで幾度も共演を重ねてきた3組が、三者三様の手法でロックバンドとしての理想を追求した1日の様子をレポートする。
Fallsheeps

この日の第一走者は、2024年にカナダツアーを回ったり、Itsuki Kun(Dr, Cho)がNikoんのサポートを務めたりと、Nikoんのnoteに「書くと長すぎますので」と記されるほどの仲であるFallsheeps。
ライブも折り返しに差し掛かる頃、川口淳太(G, Vo)は「Nikoんのお客さんでソールドアウトした後に、僕らの出演が発表されたんでね」と漏らしていたけれど、Nikoんからしてみれば、自身の節目となる1日を共に過ごすことによって「俺らもどうにかやってるんだ」と示したかったのだろう。要するに、随所で互いの無事と近頃の悩みをぶつけ合うのがこの2組の関係性だと言えるし、それは川口が口にした「Nikoんは、近からず遠からずでFallsheepsを支えてくれる奴らなんです」なんて感謝の意にも表れている。


1曲目にセレクトされた「Skyquake」からまざまざと提示されたのは、ストイックな態度であった。フロアタムの深い凹みが直接トランスレイトされたようなItsuki Kunの潜り込むプレイング、1コード、1ストロークごとにクレシェンドしていくOSAM(B, Cho)のベース、武者震いをビブラートへ変換する川口のチョーキングギター。Nikoんのひりついた演奏スタイルとも重なり合うその緊張感は、どれほどの仲間であろうとも馴れ合いはしない、つまりは理想的な共犯関係を作り出していく。


とはいえ、ラスト手前に据えられた「こころをだいじに」の《自分のために元気でいて》《こころをだいじにしていて》なんてリリックは、身を擦り減らしてでも理想を追求するNikoんへ宛てたものでもあったはず。ブチ切れるようなヘッドピーンやフロントの2人が相似形の旋律を描く間奏を経た、渾身の一撃。そのスーパーヘビーな熱演は、Fallsheepsが狂うほどに真面目に、ただ真っ直ぐに、2人とファンと音楽に対峙してきたことを雄弁に物語っていた。
神々のゴライコーズ

神々のゴライコーズの3人がおもむろに音を鳴らし始めるや否や、背後に迷彩模様が投影される。どうやらここは、鬱蒼と茂った暗い森、はたまた光の届かない深い海のようだ。その不気味さの源泉になっているのは、雷を落とすかのごときハウリングであり、エクスペリメンタルと思わず形容したくなる独特なビートだろう。


しかし、彼らのミュージックは決して小難しいという訳ではない。むしろ「何だこれは!?」という純粋な驚きに満ちているし、洗練とは程遠い「さぁ、酒飲もうぜ〜!」なんてMCからも窺える通り、ただ今この1秒を踊り狂わせんとする快楽を宿している。
Nikoんのオオスカ(G, Vo)は以前、ロックバンドのアルバムたる条件について「人間が演奏している意味があることですかね。不完全さというか」と語っていたが、精緻であることよりも本能的な歓びに天秤が傾く神々のゴライコーズのステージは、代替不可能であり、紛れもなくロックバンドなのだ。

いつもよりもローに寄ったNikoんのマナミオーガキ(B, Vo)のゲスト歌唱がミステリアスな手触りを加えた1曲目「Just city」や、最前を張るグレート橋本(Dr, Vo)のアーシーな歌声の背後で和田地球のサックスとアンサンブルが複雑に連動した「レインボーロード」で、誰を迎え入れようとも崩壊しない懐の深さを顕示したのち、エンディング直前にプレイされた「らりたった」はお見事の一言だった。

背中から差すオレンジ色の柔らかな光に乗せて、3人の快調なアカペラが響き渡っていく。「みんな一緒に!」とアジテートしたように、民謡的なフィールさえ備えた親しみやすいメロディーなのに、一切の迎合なし。「またどこか、Nikoんのツアーでお会いしましょう!」と舞台を降りた彼らに再会する日は、そう遠くない気がした。
Nikoん

Nikoん、覚醒の瞬間を目撃した。彼らが重ねているライブ本数を思えば、その瞬間が訪れることは必然なのだけれど、マナミオーガキが「節目ですね」と口にした通り、この日はここまで蓄えてきた経験値が結実する、幾つもレベルアップを果たす一夜だったのだ。

神聖な響きを湛えたオオスカのギターがふわりと鳴り出すと、「fragile report」で幕が切って落とされる。マナミのスイートスポットとも呼べるミドルハイの音域よりも僅かに低い旋律は、《布団に入ると浮かんでくるのは くだらん昨日の嫌な言葉》と脳裏にこびりついたささくれた記憶の影を濃く際立たせていく。ただ、彼らは現実を放り投げているのではなく、《私が決めたの 私の約束を》と凛とした佇まいで言い切って見せるのだ。挑発的な表情でマナミの手元を見つめたり、フルテンの音量で歌声を補強するオオスカの姿も、その燃えたぎる静かな誓いに火を焚べている。

「Nikoんです。よろしく」と挨拶も手短に、「bend」「nai-わ」とアルバム『fragile Report』を踏襲した形でライブが進んでいく。結論から述べてしまえばこの日のセットリストは全曲がマナミ歌唱、つまりは『fragile Report』の全てと新曲だけで組み上げられたものだった。「(2ndアルバムは)コイツが歌ってんのね」とマナミを指差したことからも読み取れるように、慣れないMCやフロントマンとしての責務に翻弄され、もがいてきた彼女を間近で見る中で膨らんでいったリスペクトを象徴していたのではないか。
そんな全幅の信頼がありありと示されたのが、「さまpake」から「グバマイ!!」「とぅ~ばっど」とアルバムの中でもポップな作品を連ねた中盤戦。《サンデー》の数音で一気に軽やかなムードを創造する一方、オオスカは「オォイ!」と咆え、2人して腕をぶん回してサビへと突入していく。これまでゲームチェンジャーとしての役割を担っていた楽曲が、ファルセットとがなりのミキシングによって、Nikoんの作品としてぐうの音も出ないほどに馴染んでいく。それは冒頭のアカペラにフロアから両腕が掲げられた「グバマイ!!」も、「もっと頂戴!」と叫んだ「とぅ~ばっど」も同様。歪み切った凶暴なサウンドはまろやかに、スッと明るく響く歌声はダーティに聞こえてくる。振り返ってみれば、オオスカ歌唱の作品はオルタナティブと言われるような鋭さを、マナミが歌い上げる楽曲は親しみやすい手触りを含有しており、そこには役割分担のようなものがあった。しかし、今やその境界線は瓦解し、2人はカラフルかつモノクロという矛盾を孕んだステージを展開できるようになったのである。

では、Nikoんはなぜ、こうしたステップアップを果たすことができたのか。残すところも1曲となり、オオスカが語ったこんな言葉はその理由を示してくれた。
「このツアーをやって、俺は凄く変わりました。(ツアーを発表した)クアトロで自分に自信がないって話をしたんですけど、47都道府県を回って、俺じゃなくてバンドに自信が付きました。俺たちを取り巻いている人とか、俺たちとか、多分大丈夫です。日本で1番格好良いバンドだって、胸を張って言えると思います」

そう、彼らは全国各地に挨拶をする中で、「Nikoんの音楽が最高に格好良い」という何よりも尊い事実に気付いたのである。もしかすると2人は、自信のなさゆえに、他者からの痛烈な否定や批判を求めていたのかもしれない。虚ろな心を埋めるために、劇薬を欲していたのかもしれない。しかし、もうその必要はない。Nikoんというバンドに自信を持ったからこそ、真の意味で正々堂々と目の前の君に向かい合えるようになったのだ。

ラストに選ばれた「(^o^)// ハイ」の晴れやかな音色と《何気ない誰かの何気ない言葉が 積み重なってく 積み重なってハイになる》という最終行。それは、各地のライブハウスで貰った言葉と思い出たちをバンドワゴンに詰め、Nikoんが頂点まで駆け上がっていくのだと告げていた。
『fragile Report』の封入特典としてプレゼントしたツアー<アウトストアで47>を終え、3月21日(土)に東京・渋谷O-EASTにて開催される2ndワンマンライブの足音も大きくなっている今。このワンマンライブでは、会場限定CDとして『自身初のLive Album』を発売することも決定している。彼らの手渡しとフィジカルを核とする活動はまだまだ続きそうだ。
神々のゴライコーズも帯同するツアー<fragile Report RELEASE TOUR>を経て、Nikoんはここからどんな飛躍を遂げるのだろう。早速公開されたこの日のライブ映像を見ながら、次なる奇跡を待ちたい。
文◎横堀つばさ
写真◎稲垣ルリコ
■hitomiとNikoん / LIVE TOUR 2026>
2026年3月04日(水) / 愛知県・名古屋 RAD HALL
2026年3月10日(火) / 大阪府・難波 Yogibo META VALLEY
2026年3月18日(水) / 東京都・新代田 LIVE HOUSE FEVER
出演:hitomi(BAND SET)、Nikoん
前売り:¥3,900
イープラス:https://eplus.jp/hitomi_niko-n/
ぴあ:https://w.pia.jp/t/hitomi-nikon-o/
ローソン:https://l-tike.com/hitomi-nikon/
※ 3/28(土)に開催されるhitomiのワンマン公演、あるいは、3/21(土)に開催されるNikoんのワンマン公演、いずれかのチケットをお持ちの方は、当日会場にて1,000円キャッシュバック
■Nikoん / 初のライブアルバム『Nikoん at SHIBUYA WWW」』(CD ONLY)
3月21日(土)に東京/渋谷Spotify O-EASTで開催されるfragile Report RELEASE TOUR FINAL / Nikoん単独公演「ふたり。」にて会場限定販売
【収録曲】
※2026年2月15日(日)に渋谷WWWで行われた「アウトストアで47 / 東京FINAL」にて録音
01. fragile report
02. bend
03. nai-わ
04. dried
05. さまpake
06. グバマイ!!
07. とぅ~ばっど
08. 靴
09. Tokey-Dokey
10. (^。^)// ハイ
■Nikoん / 最新アルバム『fragile Report』
(CDのみ)発売中
各ECリンク:https://nikon.lnk.to/fragile_report
■Nikoん / <fragile Report RELEASE TOUR>
・2026年2月22日(日) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK
w/ FINLANDS、神々のゴライコーズ
・2026年2月23日(月•祝) 宮城/仙台 enn 2nd
w/ ポップしなないで、神々のゴライコーズ
・2026年2月28日(土) 広島 ALMIGHTY
w/ LIGHTERS、神々のゴライコーズ
・2026年3月01日(日) 香川/高松 TOONICE
w/ BUGY CRAXONE、神々のゴライコーズ
・2026年3月07日(土) 北海道/札幌 SPiCE
w/ iVy、神々のゴライコーズ
・2026年3月11日(水) 愛知/名古屋 CLUB UPSET
w/ 板歯目、神々のゴライコーズ
・2026年3月13日(金) 福岡 Queblick
w/ Etranger、神々のゴライコーズ
・2026年3月15日(日) 鹿児島 SR HALL
w/ チリヌルヲワカ、神々のゴライコーズ
・2026年3月20日(金•祝) 大阪/心斎橋 ANIMA
w/ レイラ、MIGHTY HOPE、神々のゴライコーズ
・2026年3月21日(土) 東京/渋谷 Spotify O-EAST(ワンマン)
前売り:¥3,500(ファイナル東京/ワンマンのみ:¥2,500)
イープラス:https://eplus.jp/nikon/
ぴあ:https://w.pia.jp/t/nikon2026/
ローソン:https://l-tike.com/niko-n/
■神々のゴライコーズ / 1st フルアルバム『KO-GO-NO GORAIKO-Z』
2026年2月11日リリース
各配信リンク:https://friendship.lnk.to/KO-GO-NOGORAIKO-Z
■Fallsheeps / 最新アルバム『Eureka』発売中
各配信リンク:https://linkco.re/mhTzThvY







