【速報】対米同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.20
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【速報】同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.20 大変、痛ましい事件が起こりました。それに伴い、現在アメリカでのコンサート・イベント等のほとんどは、中止、あるいは延期となっています。日本来日公演などに関しましても、情報が入り次第、掲載いたします。 ※ニュースが入り次第、リアルタイムに更新いたします |
●ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー、ザ・フーら出演の“Concert For New York City”開催 |
10月20日(土)、ニューヨークのMadison Suare Gardenにおいて、へッドライナーのPaul McCartneyをはじめ、Who、Rolling StonesのMick JaggerとKeith Richards、Elton Johnなどの超大物アーティストたちが一堂に会し、チャリティ・コンサート“Concert For New York City”が開催された。 20組以上のアーティストが参加した6時間あまりのコンサートは、全米にTV放送された。このイベントは、9月11日の同時多発テロからの復活を目指すと同時に、米国最大の都市であるニューヨークの回復力の強さ、そして世界貿易センターの惨劇で危険に身をさらしながら活動した消防士、警官、救助隊員たちを称えるために行なわれた。 この日のアリーナの特等席は、6000人以上の消防、警察、救助隊員たちとその家族らで埋められていた。これらのチケットは企業スポンサーにより提供されたものだ。この夜の彼らの存在は終始、会場全体で感じられていた。その思いは、ステージ上で英雄たちの勇気ある行動について語る著名人たちにとっても、また犠牲となった同僚たちの写真が誇らしげに掲げられている観客席にいる人々にとっても同じだった。 Whoはこの夜のために再結成し、ヒット曲(“Who Are You”“Baba O'Riley”“Behind Blue Eyes”“Won't Get Fooled Again”)で綴るワイルドで短いライヴを披露してくれた。Jaggerは、事前に出演が発表されていなかった相棒のRichardsと共に、Stonesの“Salt Of The Earth”と“Miss You”を聴かせた。“Salt Of The Earth”は、“I raise a glass to the hard working people(一生懸命働くものたちに乾杯)”というフレーズが印象的な、元気の出る労働者賛歌の曲だ。 Richardsの「この町はちゃんと立ち直れるみたいだな」との言葉を受けて、Jaggerはこう言った。「今回のことで学んだことがあるとすれば、それは“ニューヨークには太刀打ちできない”ってことだ」 この日ライヴを披露したその他のアーティストは、ロック/ポップ界の大御所たちからEric Clapton、Billy Joel、David Bowie、James Tayler。ベテラン勢のJohn Mellencamp、Melissa Etheridge、Bon Jovi。最近の人気アーティストたちであるBackstreet Boys、Jay-Z、Goo Goo Dolls、Destiny's Child、Macy Gray、Five For Fighting。そしてJanet Jacksonがピッツバーグのコンサート会場から中継で参加した。出演が予定されていたU2のBonoとEdgeは参加しなかった。 その他の著名人としてはビリー・クリスタル、ジム・キャリー、スーザン・サランドンらの俳優たち、ビル・クリントン前大統領、ニューヨーク州のヒラリー・クリントン上院議員、ジョージ・パタキ州知事、ニューヨーク市のルドルフ・ジュリアーニ市長、ニューヨークの球団、ヤンキースのジョー・トーレ監督などが参加した。 イベントの最後にはMcCartneyが登場し、昔の曲(“I'm Down”“Yesterday”“Let It Be”)から新しい曲(“Lonely Road”“From A Lover To A Friend”“Freedom”)まで取り混ぜた、意気の揚がるステージを観せてくれた。そして日付が日曜日に変わった頃、ステージ上のMcCartneyとほとんどの出演者や著名人、その他のゲストたちが加わり、エンディングに“Let It Be”と“Freedom”を演奏して幕を閉じた。 McCartneyは観客に向かい、自分の父親は第2次世界大戦のときにリバプールで消防士をしていたと語った。 「私は今夜、父を誇りに感じています。そして、みなさん全員を誇りに思っています」 ロイター通信によれば、“Concert For New York City”によって集まった救済基金額は、先月のテレソン『America: A tribute To Heroes』による1億2500万から1億5000万ドルと同等、もしくはそれを超えると見込まれている。 |
●“Concert For New York City”のセット・リスト |
10月20日(土)、ニューヨークのMadison Suare Gardenで行なわれた“Concert For New York City”のセット・リストは以下のとおり。 David Bowie:“America(Simon & Garfunkelのカヴァー)”“Heroes” Bon Jovi:“Living On A Prayer”“Dead Or Alive”“It's My Life” Jay-Z:“Izzo (H.O.V.A.)” Goo Goo Dolls:“Iris”“American Girl(Tom Pettyのカヴァー)” Billy Joel:“Miami 2017”“New York State Of Mind” Destiny's Child:“Emotion(Bee Geesのカヴァー)”“Walk With Me” Eric Clapton&Buddy Guy:“Hoochie Coochie Man”“Crossroads” Backstreet Boys:ヒット曲メドレー、“Quit Playing Games With My Heart” Melissa Etheridge:“Come To My Window”“Born To Run(Bruce Springsteenのカヴァー)” The Who:“Who Are You”“Baba O'Riley”“Behind Blue Eyes”“Won't Get Fooled Again” Mick Jagger & Keith Richards:“Salt Of The Earth”“Miss You” Macy Gray:“With A Little Help From My Friends(Beatlesのカヴァー)” James Taylor:“Fire And Rain”“Up On The Roof” John Mellencamp:“Peaceful World” John Mellencamp & Kid Rock:“Pink Houses” Five For Fighting:“Superman” Janet Jackson:“Together Again” Elton John:“I Want Love”“Mona Lisas And Mad Hatters” Elton John&Billy Joel:“Your Song” Paul McCartney:“I'm Down”“Lonely Road”“From A Lover To A Friend”“Yesterday”“Freedom”“Let It Be”、“Freedom(リプライズ)” |
●ポール・マッカートニー企画のConcert For New York City、ソングリストが発表 |
LAUNCHは10月20日(土)にMadison Square Gardenで行なわれるオールスター・ベネフィットショウ、Concert For New York Cityの仮のソングリストを入手した。リストには予想外のことがいくつか書かれている。当初、U2はBonoとEdgeだけが参加すると発表されていたが、メンバー全員が出演することになった。またU2とDestiny's Child、Billy JoelとElton Johnの組み合わせといったデュエットもいくつかある。 他にこの概要から目に付くのは、Whoが個別のセットとしては最長の4曲を演奏し、Paul McCartneyが3曲の持ち歌を含む計5曲をステージで披露することだ。また、アンコールも2曲用意されている。 ソングリスト(変更の可能性あり): David Bowie:“This Is Not America”“Heroes” Bon Jovi:“It's My Life”“Keep The Faith”(ハーレムの聖歌隊と共演) U2:“Stuck In A Moment You Can't Get Out Of” The Goo Goo Dolls:“American Girl”“Iris” Billy Joe:“New York State Of Mind”“Miami 2017” Destiny's Child:未公表のゴスペルソング、“Emotion”“What's Going On”with U2 Eric Clapton:“Hoochie Coochie Man”“Crossroads” Backstreet Boys:メドレー、未発表曲 Marc Anthony:“You Sang To Me” Melissa Etheridge:“Come To My Window”“Born To Run” The Who:“Behind Blue Eyes”“Who Are You”“Baba O'Riley”“Won't Get Fooled Again” Mick Jagger:“Salt Of The Earth”“Miss You” Macy Gray:“Help From My Friends” James Taylor:“Fire And Rain”“Up On The Roof” Jay-Z:“Izzo (H.O.V.A.)” John Mellencamp:“Peaceful World”“Pink Houses” Five For Fighting:“Superman” Elton John:“I Want Love” Elton John & Billy Joel:未定 Janet Jackson:未定(ビデオ出演) Paul McCartney:“I'm Down” “Lonely Road(新曲)”“From A Lover To A Friend(新曲)” 1stアンコール:“Yesterday” 2ndアンコール:“Let It Be” |
●スリップノットが日本を含む海外公演を延期。年末まで米国ツアーを続行 |
Slipknotは「米国が関与する国際的な緊張、現在行なわれている争い、安全性の問題」などを考慮し、11月初めからスタートする予定だった英国、日本、オーストラリアの各ツアーを延期した。 彼らはそのぶん、米国内でさらに多くのショウをこなす予定だ。 「米国の日程は発表されてないが……Slipknotは年末まで米国ツアーを続ける」とグループのレーベル、Roadrunner Recordsのサイトに書かれている。 Slipknotは海外公演を「キャンセルしたわけではなく、延期した」と強調している。 「'02年に日程の埋め合わせをする予定で、購入済みのチケットはそのまま有効です。現在、メンバーは緊急時のために米国内に留まり、家族とすぐに連絡がつく範囲に身を置いています」と彼らは声明で述べている。 「延期になったことを心からお詫びします。公演のほうはすぐに再開されるでしょう。しかし、今は愛する人のために情勢を見守る時です。皆さんもそうしてください」 彼らは現在、Pledge Of Allegianceツアーの一環としてSystem Of A Downと共にロードに出ている。そのツアーで10月26日のペンシルバニア州State Collegeのショウが11月2日に変更された。また、新しい日程が追加され、11月4日にミシガン州サギノーのSaginaw Event Centerでコンサートが行なわれる予定。 |
●エアロスミスがテロ攻撃の影響でワールドツアーを変更 |
多くのツアーアクトと同様に9月11日のテロ攻撃によってAerosmithの活動日程にも大きな影響が出ている。惨劇の直後にキャンセルされたり、延期となったショウの他に、ギタリストのBrad Whitfordは、バンドは最新作『Just Push Play』をサポートした国際ツアーの計画をいくつか縮小するとLAUNCHに語った。 「この先しばらくの間、とりあえず海外ツアーはあまり行わないようにする」 「だけど、2、3年の内に見ておこうと思ってる世界の地域があるんだ。それは、おそらく一生見ることができないかもしれないから。ここ数年、行ったことのない場所でプレイしたいとみんなでよく話し合っていた。事件が起きて、そういった場所に行けなくなって、世界がこんなふうに変わってしまったので二度と行けないかもしれないんだ。運が悪いよ」 |
●イン・シンクがM.ジャクソン、エアロスミスらと共にチャリティ・コンサートに出演 |
*N SYNCは、その他の大勢のアーティストたちと共にチャリティ・コンサート「United We Stand What More Can I Give?」に出演する。この8時間あまりのコンサートは、10月21日(日)にワシントンD.C.にあるRFK Stadiumで開催され、その収益はすべて、9月11日の米同時多発テロの被害者救済に充てられる。 *N SYNCのメンバー、Chris Kirkpatrickは、グループがこの大規模なコンサートに協力できるのは光栄だとLAUNCHに語った。 「巨大なショウが行なわれるんだ。Michael JacksonやAerosmith、その他の参加アーティストたちと同じステージに立てるのは光栄だよ。でも、なによりも大事なのは、出演者たち全員の人気が大きな救済資金をもたらしてくれること。それが一番の目的なんだ」 すでにチケット完売のこのイベントは、午後1時(米東部標準時)から開始される。出演はMichael Jackson、Mariah Carey、Destiny's Child、Usher、Rod Stewart、Aerosmith、Backstreet Boys、Ricky Martin、Train、Sean "P. Diddy" Combs、Goo Goo Dolls、James Brown、Al Green、Huey Lewis & The News、Carole King、Faith Evans、Bette Midler、Pink、Americaなど。収益金はAmerican Red Cross Liberty Relief Fund、Salvation Army Relief Fund、Pentagon Relief Fundの各救済基金に寄付される。 |
●ビースティー・ボーイズ主催のNYでのチャリティ・イベントが2日に拡大。モス・デフ、ルーツ、ジョンスペらも出演 |
Beastie Boysが世界貿易センターのテロ被害者救済のために主催するチャリティ・コンサートが2日間のイベントに拡大された。2日目にはRoots、Mos Def、Jon Spencer Blues Explosion、DJ Afrika Bambaata、Rahat Fateh Ali Khanなどが出演する。イベントのタイトルは“New Yorkers Against Violence”で、10月28日・29日にニューヨークのHammerstein Ballroomで開催される。 Beastie Boysは両日ともヘッドライナーとして、長年のパートナー、DJ Mixmaster Mikeと共に“ヒップホップの短いライヴ”を披露する。10月28日のライヴは、'99年の夏以来、初めてのBeastie Boysとしてのステージになる。 1日目の10月28日の出演者は、B-52's、Strokes、Cibo Matto、Rival Schools、Saul Williams、DJ Stretch Armstrong、Rahat Fateh Ali Khanなど。 Beastie BoysのMike Dがコメントを発表している。 「ニューヨーク市の消防士、警察官、救助隊員たちがすでに行なってくれていることを考えると、このイベント開催は僕たちにできるせめてものことだ。彼らの犠牲と真に勇気ある行動は、世界中に大きな刺激を与えている」 チケットはTicketmasterおよびHammerstein Ballroomで発売されている。コンサートの収益はニューヨーク救済資金として、New York Women's Foundation Disaster Relief FundとNew York Association For New Americans September 11 Fundに全額寄付される。両団体についての詳しい情報は、Beastie Boysの公式ウェブサイト(beastieboys.com)に掲載されている。 |
●U2のBonoが「Concert For New York City」に恩寵をもたらすことを計画 |
U2のBonoはギタリストのEdgeと共に10月20日(土)「Concert For New York City」に出演する。彼はバンドのキャリアにとって辛い時期にこのショウが行なわれると言う。グループのアルバム『All That You Can't Leave Behind』発売から1年が過ぎ、10年近く「自分たち自身の悪魔にロックを投げ続けてきた」バンドが政治/社会的批判の立場に戻ったとBonoは語る。 彼は今、U2にとって鍵となる考えは、達成することが困難な世界の恩寵を探し求めることだとLAUNCHに語る。 「恩寵というのはパワフルなアイデアだ。本当にそう思うよ。カルマのことはよく耳にするけど、恩寵というのはあまり聞かない。どの宗教にもカルマの教えはある。つまり、良いことをすれば良いことが返ってくる、悪いことをすれば天罰が下るってこと。恩寵を施すはずのキリスト教でさえ、良い行ないや正しい言葉、いい仕事、そういったものが救済になってしまっている。恩寵を抜きに語ることはできないよ。でも、それは見つけ出すのがすごく難しいんだ」 9月21日のテレソン『America: A Tribute To Heroes』にも出演したU2はConcert For New York Cityのあと、4日間の休暇を取り、10月24日(水)からMadison Square Gardenで3日間の公演を行なう予定。 |
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