――とてもパワフルなアルバムに仕上がったと思いますが、今回のソング・ライティング/レコーディング・プロセスについて教えてください。
Zakk:ソング・ライティングについては、俺は、まったく無の状態でスタジオに入るんだ。持っていくのは山ほどのビールだけ。すべてはジャム・セッションから始まる。そして自分自身をレッド・ツェッペリンとブラック・サバスの間の場所に置けば、きっとどこからかアイディアが湧いてくる。B.L..S.のアルバムは、どんなに長くても50日ほどしかかからない。この楽器(と言ってギターを指す)をきちんと弾けさえすれば、あとは成り行きだ。それが俺とドラマーのクレイグと、共同プロデューサーのエディ・マップのやりかたというわけさ。
――そうやってさっさと作ったわりには、実はかなりディテールにもこだわっているんですよね。プロデューサーとして、この作品をどう評価していますか?
Zakk:プロデューサーとしては、前のアルバムよりいい物を作りたいというのが希望だ。しかし、細かいミックスとかはエディに任せている。彼はB.L.S.の一員であり、これまでの作品も俺と一緒に作ってきた仲間だ。彼の手腕に負うところも大きい。俺の頭の中には、こういうアルバムにしたいというイメージがあるが、実際にそれを落とし込んでいくのは彼だから。たとえば、ここのキックドラムはこうしてほしい、と俺がリクエストすれば、それを実現するのは彼の仕事だ。
――満足していますか?
Zakk:ああ、エディは今回とてもいい仕事をしてくれたよ。これまでの作品が劣ってるという意味じゃない。特に今回のが抜きんでてるという意味だ。
――ボーナス・トラックの「FUN」について教えてください。
Zakk:文字通りの曲! もしかすると、音楽史に残る最低のレコーディングかもしれないが、あまりに最低さにどうしてもアルバムに入れたかったんだ。知り合いとかは、まさかこんなモノ本当に入れるんじゃないだろうな、と言ったけど、言われれば言われるほど入れたいと思ったね! でもこれがブラック・レーベル流のお遊びさ。この時点ではみんな完全にへべれけ状態だから、笑い出したら止まらなかった。B.L.S.流ユーモアだよ。あまりにシリアスになりすぎるなよってこと。シリアスになりすぎたらこの世界じゃ生きてけないからな。
――新しい流行になるかもしれませんよ。
Zakk:たしかに。これからは、アルバムの最後に最低の曲を入れるのが流行るかもな。ほら、クラッカー・ジャック(蜂蜜ポップコーン)を食べてて最後にサプライズのオマケが入ってるようなものさ。ま、バンドの評判はガタ落ちかもしれないが、楽しけりゃいいだろ、べつに。
――今回は、トータルなコンセプトはあるんですか?
Zakk:あるよ。飲めるだけ酒を飲んだら、ノレるだけノリまくる。まあ、今回だけじゃない、どのアルバムもその同じコンセプトだな。俺たちにコンセプトなんかあるわけないだろ。アホの集まりなんだから。かんべんしてくれよ。しょせんはミュージシャンなんだぜ!
――オジー・オズボーンの参加について教えてください。
Zakk:この件に関しては、うちのカミさんのおかげだ。最初に彼女が、オジーに声をかけてみない? と言った時は、これ以上オジーに頼み事はできないと思ったんだ。つい数週間前まで一緒にツアーしていて、やっとお互い別々になったとたん、また俺のレコーディングに参加してくれなんて、申し訳なくて頼めないと思った。でもカミさんに、もしそこまで良いアイディアだと思うのなら、おまえがシャロン(オジーの奥さん兼マネージャー)に電話してくれ、と言った。すると彼女は本当にシャロンに電話したのさ。そしたらシャロンが、オジーを家から出して音楽をやらせるいいチャンスだ、と喜んでくれてね。オジーはミュージシャンなんだから、音楽をやってなきゃいけないんだ。あのレコーディングはほんの2テイクほどで終わってしまったよ。「ザック、どうだった?」って訊くから「最高だったよ」って言ったら、「じゃあ、ビールはあるか?」ってさ。俺に向かって、あまりにバカバカしい質問だよな! その後は酒を飲みながら、他の曲も試聴してもらったりして楽しい時を過ごしたよ。
――オジーのニュー・アルバムは今どういう状態にあるんですか?
Zakk:ベースにジェーソン・ニューステッドが入ったことは知ってるだろう? 彼はすごくいい人間で、めちゃくちゃいいベーシストだから、いずれオズフェストでは、最高にヘヴィなステージが見せられると思う。でもきっとオズフェストのあとはオジーが休養に入るだろうから、その間はまたB.L.S.のほうをやる。そしてオジーがたっぷり休みを取ったあと、おそらく次のアルバムのレコーディングが始まるだろう。とにかく、オジーが来いと言ったら、俺はすぐに行く。オジーが飛べと言ったら飛ぶさ。
――今回の来日公演はどんな感じに?
Zakk:B.L.S.はB.L..S.さ。みんなに戦いを挑む。鋼鉄の兵士。アルコールとアニマルと鎖とスカルと死と破滅の融合。決して美しいとは言えないかもしれないが、ブラック・レーベル東京支部会員たちとの真剣勝負だ! ま、途中、インシンクみたいにダンス・セクションもあるかもしれないが、それは練習次第だな。
――ギターキッズにメッセージをください。
Zakk:毎日かならず、指から血が出るまで練習しろ。俺は今でも練習してるぜ。あとは、ランディ・ローズやエディ・ヴァン・ヘイレン、アル・ディ・メオラ、イングヴェイ、ポール・ギルバートなどいいギタリストをいっぱい聴け。フランク・マリノ、マホガニー・ラッシュ、ロビン・トロワー、ジミヘン……とにかくいいモノをいっぱい吸収して、自分が一番好きだと思える音楽をプレイしよう。メタリカが好きならメタリカでもいい。誰かにインシンクをプレイしろといわれたら、ひと言、ファック・オフ!と言ってやれ。好きなことをやらなくちゃな。人真似と、影響とは違う。好きなモノに影響されるのは当然だ。ツェッペリンだってサバスだってジミヘンだって様々な音楽に影響されていた。それはひとえに、好きだったからさ。サバスはクリームが好きだったから影響された。影響されながら、独自のスタイルを形成していく。心でプレイすれば必ずできる。俺はそう、オジーに教えられたんだ。愛してる音楽を心でプレイしろ、さもなければアホだ、とね。このアドバイスをそっくりそのまま、キッズに伝えるよ。
――ファンのみなさんにメッセージを。
Zakk:B.L.S.の会員諸君、いつまでもB.L.S.精神を忘れずに、強い意志を持て。そしてこの戦争のために祈りを。
――最後に、今回初めてあなたを知った人々へもお願いします。
Zakk:新会員の諸君、これからもずっと心を強く持て。自分が好きだと思ったら信じろ。カクテルを飲め。俺もそろそろ喉が渇いた!