【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.107「フジロックと子育て。保育界のカリスマ風雲児、柴田愛子先生のこと」
先日、私の尊敬する保育者の一人、りんごの木子どもクラブ代表の柴田愛子先生と久しぶりにお話をすることができた。
彼女の存在を知ったのはフジロックフェスティバルがきっかけで、【こどもフジロック】という、子連れでフェスに参加するこどもと大人を応援するプロジェクトの活動の一環として、過去に彼女をインタビューした別のライターさんの原稿をリライトする作業を任されたことで、初めて彼女の言葉に触れた。
その仕事を終え、依頼主であった音楽ギョーカイ人に「柴田愛子さんは興味深い人ですね」と話したところ、「いいから読んで」と一冊の本を手渡された。著者名をみると“柴田 愛子”と記されていた。その本により、これほどロックな人が日本の保育の世界に存在することを知り、大変驚かされたのだった。
それから3年が経過した今年の初頭、自分なりに保育界のカリスマ風雲児・柴田愛子氏についての研究も深められたので、とうとう決心して意中の保育界のカリスマ風雲児にフジロックと育児を絡めた内容のインタビューを申し込んだ。というのも、柴田先生はフジロックに足を運ぶ人でもあるからだ。御年70歳の今も尚、フジロックの最奥地にあるストーンド・サークルまで毎年一人で太鼓を叩きに行くというチャーミングな一面も持っている。
とはいえ、保育歴45年のベテラン保育者である以外にも日本絵本大賞を受賞歴のある絵本作家であり作家でもある上、Eテレなどの教育番組メディアや全国の保育現場からの講演会へと引っ張りだこ状態の柴田先生だが、今春、念願叶ってインタビューをさせていただいた。
育児真っ只中である3歳の息子を抱える私にとっては、まさに運命と思わされるタイミングで出逢えた有り難いお人。著書にある言葉からも幾度となくパワーをもらっているが、このときのインタビュー内容もまた素晴らしく、フジロックの枠を超えた育児への信念と哲学へと及んだお話は目から鱗がボロボロと落ちるものだった。私とICレコーダーだけではなく、カメラを回して全国の映画館で上映するべきなんじゃないかと何度も思わされるものだった。
今日はその春のインタビュー以来の半年ぶりにゆっくりとお話をさせていただいたのだけれども、愛子さんのロック・スピリッツと相手の心を瞬時に察知して寄り添う神業にまたしても触れた。大概のことでは震えることも少なくなってきた四十路女の心は半年前と同じようにグワングワン揺さぶられた。これはきっと、息子のみならず、私の心が育てられている証なのだろう。
フジロックと子育て。一見まったく接点がないように見えるものだけれど、何がどう繋がって自分に作用するかなんてわからないほうが人生は面白いし、豊かになるみたいだ。
文・写真=早乙女‘dorami'ゆうこ
■柴田 愛子
1948年東京生まれ。「子どもの心により添う保育」をモットーに設立36周年を迎えた「りんごの木 子どもクラブ」代表。クラブで行う「子ども達のミィーティング」が特色ある保育実践としてテレビ・映画で取り上げられ、子どもの力を最大限に引き出していると評判に。育児書の執筆、雑誌への寄稿、全国各地での講演会、NHK Eテレ「すくすく子育て」出演など、子どもに関わるトータルな仕事でアツい支持を受ける。保育経験に裏打ちされた強い信念とやさしい言葉は「第二の実家」として父母の育ちをも支えている。著書に日本絵本大賞を受賞した「けんかのきもち」や、「それって保育の常識ですか?」など多数。
□著作
絵本
「けんかのきもち」(日本絵本大賞受賞)絵:伊藤秀男
「ありがとうのきもち」 絵:長野ヒデ子 他
著書
「マンガでわかる 今日からしつけをやめてみた」イラスト:あらい ぴろよ
「子どもの『おそい・できない』が気になるとき」
「それって保育の常識ですか?」
「こどものみかた」
「子育てに悩んでいるあなたへ : あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます」他
◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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