| '99年のアルバム『カリフォルニケーション』が大ベスト&ロングセラーを記録し、現在につらなる“ミクスチャー・ロック”のパイオニアとしての意地と貫禄を見事に示したレッド・ホット・チリ・ペッパーズ。全世界に熱狂をもって迎えられたこの<カリフォルニケーション・ツアー>の模様を生々しく収録したのが本作。 これはワールド・ツアーもそろそろ大詰めを迎えた2000年9月21日にアメリカはポートランド・メモリアル・コロシアムでのライヴとなっている。 内容よりも先にまず驚かされるのが、この日のメンバーの出で立ちそのもの。なんと、メンバー4人が全員揃ってモヒカン刈りで登場! 長年腰まである長髪がトレードマークだったヴォーカルのアンソニー・キーディスまでもがそのような姿に変貌を遂げているのには正直腰が抜けそうになった(あの爽やかブロンドの時代が良かったなあ、個人的には)が、まあ、そういう異様な姿の彼らが見れるだけでもかなり貴重なものではある。 そして、ライヴの内容そのものであるのだが、こちらはこのライヴからさかのぼること半年前に実現したあの待望の日本公演のときとほぼ同じ内容で、『カリフォルニケーション』からの曲からごく初期の楽曲までをうまく網羅する形で聴かせてくれているが、やはり『カリフォルニケーション』が枯れた味わいと渋さをアピールした、“聴かせる”アルバムであったがゆえに、メンバー全員上半身裸でステージ上を野人のように駆け回っていてもどこか余裕と大人っぽさを感じさせずにはいられない出来となっている。 それにしても来日公演のときもそうであったが、ギタリストのジョン・フルシアンテの元気な姿での復帰はファンとしては相当に嬉しい。
類い稀な才能がありながら、心身を病んだことで8年もこのバンドを離れていたジョン。その不在時を埋めたデイヴ・ナヴァロのガッツある骨太ギターもそれはそれで魅力であったが、やはりレッチリをレッチリたらしめているのはやはり、ハードロック風のパワー・コードに一切頼らずとも、ギターの弦の一本一本を大事にしたキメの細かい繊細なフレーズを奏でるジョンの存在があってこそ。 このジョンと、まさにノミが弦の上を飛び跳ねているかのようなフリーの変幻自在のベース・プレイがぶつかることによってうまれるケミストリーは、ロック史上でも稀な名演の一つと言っても決して過言ではない。
ハードロックやヒップホップやパンクロック的であるだけでなく、ジミ・ヘンのメロウ・バラードにも通じる熟成した苦味のある味わいも、JBやP-ファンク直系の細やかで複雑なビートも表現することができる。近年のバッドボーイを気取るだけの表層的なラップ・メタル・バンドなどにはとうてい表現不可能なこの深み。
これはやはりレッチリでないと味わえない。そのことをこのビデオを見て改めて感じ取ってもらいたい。 文●沢田太陽(01/12/08) | |