世界一のロックバンドになりたいんだ。レッド・ツェッペリンみたいにね。
3rdアルバム『Follow The Leader』がBillboard Top 200アルバム・チャートに第1位で初登場したことで、コーン(Korn)は自分たちの目標の1つに一歩近づいたと言えるだろう。
世界一のロックバンドになりたいんだ」とリードシンガーでソングライターのジョナサン・デイヴィス(Jonathan Davis)は言う。「レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)みたいにね」
コーンがそのような高い目標を実際に達成できるかどうかは歴史の審判を待つしかないが、各メンバーがその目標に向かって真剣に取り組んでいることは言うまでもない。彼らは最近、インターネット上のプログラミング方式を、Korn TVと呼ばれる“Afterschool Special”の独自のWebバージョンに書き換えた。ここでは、コンピュータ・ユーザーが、バンドのスタジオをナビゲートし、ポルノスターに会い、ほかのハードロッカーと一緒に過ごすことができる。もちろん、クラシックなカルト映画「Up In Smoke」からのカバー曲“Earache My Eye”でKornと共演したCheech Marinもその1人だ。ニューアルバムには、ベテランラッパーのアイス・キューブ(Ice Cube)も“Children of The Korn”のトラックに参加している。
KornのTシャツを着ていた少年が退学。先生だって隠れKornファンなのに!
――あなたは、Kornのスタイルについて「かなりヘヴィな音楽だ」と言っていますね。もう少し詳しく教えてもらえませんか?
JONATHAN:
確かに「かなりヘヴィな音楽だ」と思う。まず、メロディが多い。ヘヴィで、いろいろな影響を受けている。ヒップホップ、ジャジーな新しいもの、テクノロジーなどだ。だが、それを説明しようとしても、何と言ったらいいのかわからない。「かなりヘヴィな音楽だ」という表現を使うことがあるということかな。
――Fieldyはどうですか?
FIELDY:
俺たちの演奏がどんな風に聴こえるかについては、人それぞれに独自の考えがあると思う。エモーショナルなジェットコースターみたいなものだからね。俺は木製ローラーコースターのColossusに乗っているように感じる。笑ったり、泣いたり。似ていると思う。上がったり下がったりのエモーショナルなジェットコースターだ。
――今作『Follow The Leader』とそれ以前のアルバムはどんな違いがあるんでしょうか。
JONATHAN:
まず何よりも、時間を十分にかけたかったんだ。それが最大の目標だった。前のアルバムは大急ぎで作ったからね。今回は、十分に時間をかけることによって、新しいテクノロジーをたくさん盛り込むことができた。新しいペダル、新しいプロデューサー、新しいスタジオを使った。変わったところはたくさんあるよ。
FIELDY:
今回は前のアルバムからクールなアイデアを取り出して、それをもっともっと徹底的にやったからね。
JONATHAN:
それにね、一から作り直したかったんだ。俺たちのサウンドを真似している連中がたくさんいたから、自分たちのサウンドを作り直して、以前のサウンドを時代遅れにする必要があった。誰よりも一歩先を行く必要があると思ったから。
――Ice Cubeとはどんな関係なんですか。“Children Of The Korn”で共演したときはどんな感じでしたか?
JONATHAN:
こわかったよ。本人が現れる2時間前に、仲間が下見にやってきたんだ。こっちはビビッてたんだけど、その後やってきた本人は本当にナイスガイだった。でも、曲については特に用意していなかったんで、Ice Cubeに近づいていって相談しなければならなかった。新鮮な気持ちになることが必要だとわかっていた。バンドのメンバーは俺がストレスにまいっていることを知っていたんだ。ようやくレコーディングが終わったき、彼がこう言った。「君は本当に素晴らしいシンガーだ」とね。ものすごくうれしかったよ。彼は俺のアイドルの1人だったからね。彼が俺のアルバムに参加してくれたなんて、今でも信じられないくらいだ。Ice Cubeが俺のアルバムに参加してくれた! こんなうれしいことはないよ。
FIELDY:
前々から共演したいとは思っていたんだけど、実現するとは夢にも思っていなかった。実にいい感じだった。こんな経験をしたら、ヒップホップやラップの嫌いな人でも好きになるよ。新しいレベルなんだ。
――もう1人のゲスト・アーティストはCheech Marinでしたね。“Earache My Eye”での共演は、どのような経緯で実現したんですか?
FIELDY:
“Up In Smoke”という映画を見ていたら、その曲が使われていたんだ。これがヘヴィなノリを持った曲でね。
JONATHAN:
スタジオで飲んでいるときに、その曲で遊び始めたんだ。俺がドラムをやって、Fieldyがベースを弾きながら歌った。楽器を全部取り替えてさ。
FIELDY:
ジャムってたんだ。それで俺が歌ったんだけど、俺の歌がCheechに似ていたんで皆笑ったよ。その時に「本当にCheechに来てもらったらどうだろう」と思ったんだ。
JONATHAN:
俺たちはインターネットで「Korn TV」をやっていて、ゲストを探していたんだけど、「Cheech Marinはどうだろう。彼が来て、この曲を歌ってくれたらスゴイのに」と思ったわけ。でも、彼が引き受けてくれるとは思わないだろ? その間ずっと、ただ笑って、「よう、どうした?」とか言い合っていたんだ。そしたら、結局俺たちがCheechといっしょにやるってことだろ? これがアメリカ文化のすごいところだ。俺たちはわけがわからなくなっていた。
――「Korn TV」自体、どういった経緯で始まったのかもう少し話してください。Web上のショーみたいなものなんですよね?
JONATHAN:
ファンをスタジオに入れて、レコーディングのプロセスを見てもらうようにできたらクールだと思ったんだ。どんな風にしてレコーディングが進むのかを見て、聴いてほしかった。それを8つのエピソードのあるテレビショーみたいにして繰り返し放送したんだ。ただし、ネット上でね。ゲストを呼び、音楽をやり、キッズからかけてこられるように電話を用意した。Webには検閲がないから、やりたいことは何でもできたんだ。すごかったよ。ポルノ・スターもやってきた。キッズも喜んでいた。ツアーにも持っていって、ショーの後にまたやりたいね。
――“キッズ”はその体験から何を得たと思います?
JONATHAN:
等身大の俺たちを知ってもらいたかったんだ。くだらないロックンロール・シーンに埋没した俺らじゃなくてね。俺たちは超越した英雄なんかじゃない。つまり、ファンと同じところに立っているんだ。「Korn TV」は、近くに来られるように道を開けたままにしている。自分の14才のころを思い出すと、バンドがそんなことをしてくれたら、最敬礼していただろう。キッズは、バンドのことをもっと知りたいだけだろ? アーティストは、ファンに対して誠実であることはとても大切だ。なぜって、彼らがいなかったら、俺たちもここにいないんだから。
――ファンを本当に大切にしているようですね。心から。
FIELDY:
曲を書いたり、何かをするときには、いつもキッズのことを考え、自分たちが13から15才くらいのときに、バンドを聴いてどんな反応を示したかを思い出しているよ。25から28くらいになると、新しいバンドを聴いたときに、友達に電話をかけたりしなくなる。俺たちはあらゆることをキッズ中心にやっているし、それでうまくいっているよ。
――それにしても、曲名や歌詞が検閲に引っかかって大きなトラブルになっているというのは本当ですか?
JONATHAN:
いや、1stアルバムは風当たりが強かったね。“Faggot”や“C--t”という曲が入っていたから。それにアタマに来てた奴もたくさんいたみたいだね。最大の出来事は、このKornのTシャツを着ていた少年が退学させられたことだった。
FIELDY:
明らかにその先生は、家に帰って素っ裸でKornを聴きながら掃除機をかけているような、隠れKornファンだったのにさ。
JONATHAN:
俺たちはわざと不快感を与えている、と言われたよ。みだらで、意図的に人々を傷つけていると。だが、俺たちはキッズを助けているんだ。彼らは俺たちの音楽を聴いて、いやなことを忘れることができる。彼らに会うと、いつも俺たちに感謝し、救われたと言ってくれる。俺たちは間違ったことなどしていない。罰当りな言葉を使うことで俺たちを判断する親は最悪だ。そんな言葉は誰だって使う。俺は傷みを感じ、罰当りな言葉を吐く。
――誤解されていると思いますか?
FIELDY:
俺たちのことを暗くてヘヴィな、気の滅入るバンドだと思っている人が多い。それは完全な誤解だ。詞は暗いかもしれないが、俺たちはそれに曲をつけて音楽として表現しているんだ。すべてがバランスよくまとめられているから、聴いていて気が滅入ることはない。あらためて聴いてみると、サウンドは思っていたよりノリがよくてヒップホップっぽいと思う。でも、たくさん人がいる部屋で聴くと、ヘヴィで粗野に聴こえる。ファンが聴いているのはこんな感じの粗野でヘヴィな音楽なんだと思う。俺はこう思うんだ。「あなたには、俺に聴こえているようには聴こえていない。そして、俺には、ほかの誰かと同じようには聴こえていない」と。
メタル? ハードロック・パフォーマンス?パリじゃ“フュージョン”って呼ばれているんだぜ!
――聴くほうではどんな音楽が好きですか。初期の頃には誰の影響を受けましたか?
JONATHAN:
俺たちは皆、'80年代のニューウェーブの音楽が好きなんだ。なぜだろうね。キッズたちは、俺がHank Williamsを好きだなんて知ったらギョッとするかもしれないけど、昔ながらのカントリーはパンクだと思うよ。苦痛と苦しみにみちているんだ。でもDuran DuranやA Flock Of Seagullsといった軟弱なバンドも好きだったよ。実際、ヘヴィな音楽をやるようになったのは、Panteraを聴いて「ああこれこれだ、俺はこれをやりたい」と思ったのがただひとつの理由なんだよ。ほかのメンバーは全員がヘア・メタルに夢中だった。奴らは皆ヘア・メタルに夢中の田舎者で(笑)。ヘア・メタル好きが集まったという感じだった。
――初期の頃と今とではバンドは大きく変わったのでしょうね。
FIELDY:
最初は、以前のRed Hot Chili PeppersとSepulturaを合わせたような、もっとスラッシュ風のファンクだったね。あまり考えもせずに、そんなイカレたのをやっていたんだ。何をしたらいいのか、どちらの方向にむかっているのか何もわかっていなかった。ただ楽しくやっていただけだから。
JONATHAN:
俺がバンドに入ったときは、Creepという名前だったんだ。当時から今と同じ雰囲気と、アップビートなノリがあったけど、もっとファンクなところもあってハッピーな感じだった。でも、俺が入ってから、もっと暗くなって、完全に独自のスタイルが出来たと思う。俺には暗い雰囲気があった。それを皆が吸収したんだ。すでに皆の内面にあったものを、俺が引き出しということだ。俺たちにしては素早かった。俺が入ってから2週間後には最初のデモを行ない、1年後には契約していた。1stアルバムに比べれば、今のほうがはるかに成長しているよ。
――ところで、いま気になるバンドはありますか?
JONATHAN:
Limp Bizkitはすごいよ。クールなことをやっている。俺はOrgyが好きだ。このバンドは、俺たちのレーベルと契約している。もう1つのバンド、Dead SeaはElijah Blueのバンドで、恐怖の'80年代ポップをやっている。
FIELDY:
Cradle Of Thornsというバンドとも契約している。俺がプロデュースしているんだ。クレージーなサウンドだ。ダークダンスのようなね。
――Fieldy、あなたはどんなレコードをコレクションしているのですか?
FIELD:
俺のレコードコレクション? ヒップホップばかりさ。ヘヴィなものはいっさい聴かないんだ。ギターが入っているCDは1枚も持っていない。意外なことかもしれないし、そうでもないかもしれない。ま、どっちでもいいや。そんなのばかり聴いているよ。ヘヴィな音楽を聴いていた頃もあったけど、いまは自分がやっているからね。車に乗っているときは、また別のものを聴きたくなるんだ。
――批評家があなた方について言っていることは気になりますか?
JONATHAN:
俺らを嫌っている批評家はたくさんいるね。だが、俺らは若い人たちに認められて、支持されている。あほらしい気取った雑誌なんか全然気にしていない。Jewelか何かが好きなんだろ?
FIELDY:
批評家は俺らをけなすこともあるし、時々はほめることもある。どっちでもいいんじゃない。俺らは街で評判になっている。相当に……ね。ほかのことはどうでもいいんだ。大切なのはキッズさ。彼らがレコードを買ってくれるんだからね。
――でも、アルバムやコンサートの内容が原因でトラブルに巻き込まれることは心配ではありませんか?
JONATHAN:
トラブルになることはないよ。俺はそっちの方面に詳しいんだ。俺らに不満を言ったり、罵倒しようとする連中はいるけど、汚い言葉を使ったり、誰かの悪口を言ったからといって俺らを刑務所に送り込むことはできないからね。でも、気味の悪いことはあったよ。ある殺人を犯した少年がKornのTシャツを着てたんだ。でもそれは俺らの責任じゃない。頭のおかしい少年だったんだ。
――ミュージック・シーン全体を見渡したときに、自分たちをどのように位置付けますか?
JONATHAN:
俺たちは独立したバンドだ。俺たちがルールを変えているという気持ちがある。パンクとは呼ばない、何か別のものだ。実に多様なんだよ。そういう意味ではLed Zeppelinに似ている。そうしたバンドは、誰の真似もしていないんだ。
FIELDY:
俺らが何をしようとも、つまり、Ice Cubeやなんかと一緒に何かするっていうことも含めてだけど、“いつもKornのように聴こえる”ということ、それだよ。逃げ道はないんだ。俺らには、昔のBlack Sabbathみたいに独特のサウンドがある。その時々に革新的なバンドが存在したが、今のKornもそうだ。聴けばすぐにわかる、俺らには俺らのサウンドがあるってことがね。
――グラミー賞にノミネートされるとすると、Kornはどのカテゴリーに入るんですかね?
JONATHAN:
メタル? ハードロック・パフォーマンス? フュージョンか何かかもしれない。メタルという言葉だけど、Judas PriestやIron Maidenがメタルだ。パリでは、俺らのことを“フュージョン”と呼んでいるんだぜ。これはちょっとクールだろ? でも、新しい言葉を考える必要がある。何か間抜けなやつをね。“Pimp-rock”みたいな(笑)。でも、メタルバンドというレッテルを貼られるのはいやだな。その辺はメンバー全員が同じ意見だよ。でも、俺らはヘヴィだし、OzzyやDanzigみたいにメタルツアーにしか参加できないから、そのカテゴリーに入れられてしまうんだ。でも、彼らはよくしてくれたよ。それに、メタルの聴衆も好きだ。……だけど、俺らはその範疇には収まりきれないと思う。
――もっと成功すると……つまり金持ちになると、勢いを失うのではないかと心配になることはありませんか?
JONATHAN:
もちろんお金は常に優先課題だ。息子と同じようにね。今になって、多くのことの意味がわかってきた。だけど、俺が勢いを失う? そんなことは決してないね。家ではパパ、ステージでは俺。家ではいいパパだけど、ドアを一歩出るとJonathan Davisにスイッチが入る。俺は完全なピーターパン・コンプレックスだよ。
――父親として、子供がどんな音楽を聴くようになるのか気になりません? Kornの曲を聴かせたいとか。
FIELDY:
俺は娘に何を聴ききなさい、何を聴いてはいけない、と言い聞かせるようなタイプじゃないからね。俺の父親はミュージシャンだったんだ。俺は音楽に囲まれて育った。娘が何を聴こうと俺は気にしない。だって、ただの音楽だもの。悪魔崇拝のようなものを聴いていたら、止めろと言うかもしれないけど、でも、汚い言葉なら俺は気にしない。それは俺らがやっていることだから(笑)。Johnは、非常にエモーショナルな内容の歌を歌っている。誰でも彼の歌っていることに共感できる。娘がMarilyn Mansonを聴いていても、俺は気にしないだろう。Iron Maidenの『Number Of The Beast』だと、ちょっと恐いけど……(笑)
――Kornの最終目的は何なんでしょうね?
FIELDY:
長く続けること。それが目標だ。1枚のレコードが大ヒットして、次の年にはいなくなるというのはいやだな。これは、このビジネスではなかなか実現できない目標だろうね。今でも活躍しているベテランのようになりたい…Ozzyみたいにね。それができるのはほんの一握りのバンドだけど。Ozzyぐらいの年になったときにまだプレイしているかどうかはわからないけれど、そうなればいいと思う。
JONATHAN:
世界一のロックバンドになりたいんだ。Led Zeppelinみたいにね。スーパースターの地位を手に入れて、しかも信頼を失わないようにしたい。Led Zeppelinのようになるということだ。俺らにはそれができる。全力で取り組むつもりだ。
Dave Dimartino(2000.2.22)(C)LAUNCH.com
ESCA-7373 ¥2,520(Tax in)
1 It's On!
2 Freak On A Leash
3 Got The Life
4 Dead Bodies Everywhere
5 Children Of The Korn (with Ice Cube)
6 B.B.K.
7 Pretty
8 All In The Family (with Fred Durst)
9 Reclaim My Place
10 Justin
11 Seed
12 Cameltosis (with Tre Hardson)
13 My Gift To You
世界一のロックバンドになりたいんだ」とリードシンガーでソングライターのジョナサン・デイヴィス(Jonathan Davis)は言う。「レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)みたいにね」
コーンがそのような高い目標を実際に達成できるかどうかは歴史の審判を待つしかないが、各メンバーがその目標に向かって真剣に取り組んでいることは言うまでもない。彼らは最近、インターネット上のプログラミング方式を、Korn TVと呼ばれる“Afterschool Special”の独自のWebバージョンに書き換えた。ここでは、コンピュータ・ユーザーが、バンドのスタジオをナビゲートし、ポルノスターに会い、ほかのハードロッカーと一緒に過ごすことができる。もちろん、クラシックなカルト映画「Up In Smoke」からのカバー曲“Earache My Eye”でKornと共演したCheech Marinもその1人だ。ニューアルバムには、ベテランラッパーのアイス・キューブ(Ice Cube)も“Children of The Korn”のトラックに参加している。
KornのTシャツを着ていた少年が退学。先生だって隠れKornファンなのに!
――あなたは、Kornのスタイルについて「かなりヘヴィな音楽だ」と言っていますね。もう少し詳しく教えてもらえませんか?
JONATHAN:
確かに「かなりヘヴィな音楽だ」と思う。まず、メロディが多い。ヘヴィで、いろいろな影響を受けている。ヒップホップ、ジャジーな新しいもの、テクノロジーなどだ。だが、それを説明しようとしても、何と言ったらいいのかわからない。「かなりヘヴィな音楽だ」という表現を使うことがあるということかな。
――Fieldyはどうですか?
FIELDY:
俺たちの演奏がどんな風に聴こえるかについては、人それぞれに独自の考えがあると思う。エモーショナルなジェットコースターみたいなものだからね。俺は木製ローラーコースターのColossusに乗っているように感じる。笑ったり、泣いたり。似ていると思う。上がったり下がったりのエモーショナルなジェットコースターだ。
――今作『Follow The Leader』とそれ以前のアルバムはどんな違いがあるんでしょうか。
JONATHAN:
まず何よりも、時間を十分にかけたかったんだ。それが最大の目標だった。前のアルバムは大急ぎで作ったからね。今回は、十分に時間をかけることによって、新しいテクノロジーをたくさん盛り込むことができた。新しいペダル、新しいプロデューサー、新しいスタジオを使った。変わったところはたくさんあるよ。
FIELDY:
今回は前のアルバムからクールなアイデアを取り出して、それをもっともっと徹底的にやったからね。
JONATHAN:
それにね、一から作り直したかったんだ。俺たちのサウンドを真似している連中がたくさんいたから、自分たちのサウンドを作り直して、以前のサウンドを時代遅れにする必要があった。誰よりも一歩先を行く必要があると思ったから。
――Ice Cubeとはどんな関係なんですか。“Children Of The Korn”で共演したときはどんな感じでしたか?
JONATHAN:
こわかったよ。本人が現れる2時間前に、仲間が下見にやってきたんだ。こっちはビビッてたんだけど、その後やってきた本人は本当にナイスガイだった。でも、曲については特に用意していなかったんで、Ice Cubeに近づいていって相談しなければならなかった。新鮮な気持ちになることが必要だとわかっていた。バンドのメンバーは俺がストレスにまいっていることを知っていたんだ。ようやくレコーディングが終わったき、彼がこう言った。「君は本当に素晴らしいシンガーだ」とね。ものすごくうれしかったよ。彼は俺のアイドルの1人だったからね。彼が俺のアルバムに参加してくれたなんて、今でも信じられないくらいだ。Ice Cubeが俺のアルバムに参加してくれた! こんなうれしいことはないよ。
FIELDY:
前々から共演したいとは思っていたんだけど、実現するとは夢にも思っていなかった。実にいい感じだった。こんな経験をしたら、ヒップホップやラップの嫌いな人でも好きになるよ。新しいレベルなんだ。
――もう1人のゲスト・アーティストはCheech Marinでしたね。“Earache My Eye”での共演は、どのような経緯で実現したんですか?
FIELDY:
“Up In Smoke”という映画を見ていたら、その曲が使われていたんだ。これがヘヴィなノリを持った曲でね。
JONATHAN:
スタジオで飲んでいるときに、その曲で遊び始めたんだ。俺がドラムをやって、Fieldyがベースを弾きながら歌った。楽器を全部取り替えてさ。
FIELDY:
ジャムってたんだ。それで俺が歌ったんだけど、俺の歌がCheechに似ていたんで皆笑ったよ。その時に「本当にCheechに来てもらったらどうだろう」と思ったんだ。
JONATHAN:
俺たちはインターネットで「Korn TV」をやっていて、ゲストを探していたんだけど、「Cheech Marinはどうだろう。彼が来て、この曲を歌ってくれたらスゴイのに」と思ったわけ。でも、彼が引き受けてくれるとは思わないだろ? その間ずっと、ただ笑って、「よう、どうした?」とか言い合っていたんだ。そしたら、結局俺たちがCheechといっしょにやるってことだろ? これがアメリカ文化のすごいところだ。俺たちはわけがわからなくなっていた。
――「Korn TV」自体、どういった経緯で始まったのかもう少し話してください。Web上のショーみたいなものなんですよね?
JONATHAN:
ファンをスタジオに入れて、レコーディングのプロセスを見てもらうようにできたらクールだと思ったんだ。どんな風にしてレコーディングが進むのかを見て、聴いてほしかった。それを8つのエピソードのあるテレビショーみたいにして繰り返し放送したんだ。ただし、ネット上でね。ゲストを呼び、音楽をやり、キッズからかけてこられるように電話を用意した。Webには検閲がないから、やりたいことは何でもできたんだ。すごかったよ。ポルノ・スターもやってきた。キッズも喜んでいた。ツアーにも持っていって、ショーの後にまたやりたいね。
――“キッズ”はその体験から何を得たと思います?
JONATHAN:
等身大の俺たちを知ってもらいたかったんだ。くだらないロックンロール・シーンに埋没した俺らじゃなくてね。俺たちは超越した英雄なんかじゃない。つまり、ファンと同じところに立っているんだ。「Korn TV」は、近くに来られるように道を開けたままにしている。自分の14才のころを思い出すと、バンドがそんなことをしてくれたら、最敬礼していただろう。キッズは、バンドのことをもっと知りたいだけだろ? アーティストは、ファンに対して誠実であることはとても大切だ。なぜって、彼らがいなかったら、俺たちもここにいないんだから。
――ファンを本当に大切にしているようですね。心から。
FIELDY:
曲を書いたり、何かをするときには、いつもキッズのことを考え、自分たちが13から15才くらいのときに、バンドを聴いてどんな反応を示したかを思い出しているよ。25から28くらいになると、新しいバンドを聴いたときに、友達に電話をかけたりしなくなる。俺たちはあらゆることをキッズ中心にやっているし、それでうまくいっているよ。
――それにしても、曲名や歌詞が検閲に引っかかって大きなトラブルになっているというのは本当ですか?
JONATHAN:
いや、1stアルバムは風当たりが強かったね。“Faggot”や“C--t”という曲が入っていたから。それにアタマに来てた奴もたくさんいたみたいだね。最大の出来事は、このKornのTシャツを着ていた少年が退学させられたことだった。
FIELDY:
明らかにその先生は、家に帰って素っ裸でKornを聴きながら掃除機をかけているような、隠れKornファンだったのにさ。
JONATHAN:
俺たちはわざと不快感を与えている、と言われたよ。みだらで、意図的に人々を傷つけていると。だが、俺たちはキッズを助けているんだ。彼らは俺たちの音楽を聴いて、いやなことを忘れることができる。彼らに会うと、いつも俺たちに感謝し、救われたと言ってくれる。俺たちは間違ったことなどしていない。罰当りな言葉を使うことで俺たちを判断する親は最悪だ。そんな言葉は誰だって使う。俺は傷みを感じ、罰当りな言葉を吐く。
――誤解されていると思いますか?
FIELDY:
俺たちのことを暗くてヘヴィな、気の滅入るバンドだと思っている人が多い。それは完全な誤解だ。詞は暗いかもしれないが、俺たちはそれに曲をつけて音楽として表現しているんだ。すべてがバランスよくまとめられているから、聴いていて気が滅入ることはない。あらためて聴いてみると、サウンドは思っていたよりノリがよくてヒップホップっぽいと思う。でも、たくさん人がいる部屋で聴くと、ヘヴィで粗野に聴こえる。ファンが聴いているのはこんな感じの粗野でヘヴィな音楽なんだと思う。俺はこう思うんだ。「あなたには、俺に聴こえているようには聴こえていない。そして、俺には、ほかの誰かと同じようには聴こえていない」と。
メタル? ハードロック・パフォーマンス?パリじゃ“フュージョン”って呼ばれているんだぜ!
――聴くほうではどんな音楽が好きですか。初期の頃には誰の影響を受けましたか?
JONATHAN:
俺たちは皆、'80年代のニューウェーブの音楽が好きなんだ。なぜだろうね。キッズたちは、俺がHank Williamsを好きだなんて知ったらギョッとするかもしれないけど、昔ながらのカントリーはパンクだと思うよ。苦痛と苦しみにみちているんだ。でもDuran DuranやA Flock Of Seagullsといった軟弱なバンドも好きだったよ。実際、ヘヴィな音楽をやるようになったのは、Panteraを聴いて「ああこれこれだ、俺はこれをやりたい」と思ったのがただひとつの理由なんだよ。ほかのメンバーは全員がヘア・メタルに夢中だった。奴らは皆ヘア・メタルに夢中の田舎者で(笑)。ヘア・メタル好きが集まったという感じだった。
――初期の頃と今とではバンドは大きく変わったのでしょうね。
FIELDY:
最初は、以前のRed Hot Chili PeppersとSepulturaを合わせたような、もっとスラッシュ風のファンクだったね。あまり考えもせずに、そんなイカレたのをやっていたんだ。何をしたらいいのか、どちらの方向にむかっているのか何もわかっていなかった。ただ楽しくやっていただけだから。
JONATHAN:
俺がバンドに入ったときは、Creepという名前だったんだ。当時から今と同じ雰囲気と、アップビートなノリがあったけど、もっとファンクなところもあってハッピーな感じだった。でも、俺が入ってから、もっと暗くなって、完全に独自のスタイルが出来たと思う。俺には暗い雰囲気があった。それを皆が吸収したんだ。すでに皆の内面にあったものを、俺が引き出しということだ。俺たちにしては素早かった。俺が入ってから2週間後には最初のデモを行ない、1年後には契約していた。1stアルバムに比べれば、今のほうがはるかに成長しているよ。
――ところで、いま気になるバンドはありますか?
JONATHAN:
Limp Bizkitはすごいよ。クールなことをやっている。俺はOrgyが好きだ。このバンドは、俺たちのレーベルと契約している。もう1つのバンド、Dead SeaはElijah Blueのバンドで、恐怖の'80年代ポップをやっている。
FIELDY:
Cradle Of Thornsというバンドとも契約している。俺がプロデュースしているんだ。クレージーなサウンドだ。ダークダンスのようなね。
――Fieldy、あなたはどんなレコードをコレクションしているのですか?
FIELD:
俺のレコードコレクション? ヒップホップばかりさ。ヘヴィなものはいっさい聴かないんだ。ギターが入っているCDは1枚も持っていない。意外なことかもしれないし、そうでもないかもしれない。ま、どっちでもいいや。そんなのばかり聴いているよ。ヘヴィな音楽を聴いていた頃もあったけど、いまは自分がやっているからね。車に乗っているときは、また別のものを聴きたくなるんだ。
――批評家があなた方について言っていることは気になりますか?
JONATHAN:
俺らを嫌っている批評家はたくさんいるね。だが、俺らは若い人たちに認められて、支持されている。あほらしい気取った雑誌なんか全然気にしていない。Jewelか何かが好きなんだろ?
FIELDY:
批評家は俺らをけなすこともあるし、時々はほめることもある。どっちでもいいんじゃない。俺らは街で評判になっている。相当に……ね。ほかのことはどうでもいいんだ。大切なのはキッズさ。彼らがレコードを買ってくれるんだからね。
――でも、アルバムやコンサートの内容が原因でトラブルに巻き込まれることは心配ではありませんか?
JONATHAN:
トラブルになることはないよ。俺はそっちの方面に詳しいんだ。俺らに不満を言ったり、罵倒しようとする連中はいるけど、汚い言葉を使ったり、誰かの悪口を言ったからといって俺らを刑務所に送り込むことはできないからね。でも、気味の悪いことはあったよ。ある殺人を犯した少年がKornのTシャツを着てたんだ。でもそれは俺らの責任じゃない。頭のおかしい少年だったんだ。
――ミュージック・シーン全体を見渡したときに、自分たちをどのように位置付けますか?
JONATHAN:
俺たちは独立したバンドだ。俺たちがルールを変えているという気持ちがある。パンクとは呼ばない、何か別のものだ。実に多様なんだよ。そういう意味ではLed Zeppelinに似ている。そうしたバンドは、誰の真似もしていないんだ。
FIELDY:
俺らが何をしようとも、つまり、Ice Cubeやなんかと一緒に何かするっていうことも含めてだけど、“いつもKornのように聴こえる”ということ、それだよ。逃げ道はないんだ。俺らには、昔のBlack Sabbathみたいに独特のサウンドがある。その時々に革新的なバンドが存在したが、今のKornもそうだ。聴けばすぐにわかる、俺らには俺らのサウンドがあるってことがね。
――グラミー賞にノミネートされるとすると、Kornはどのカテゴリーに入るんですかね?
JONATHAN:
メタル? ハードロック・パフォーマンス? フュージョンか何かかもしれない。メタルという言葉だけど、Judas PriestやIron Maidenがメタルだ。パリでは、俺らのことを“フュージョン”と呼んでいるんだぜ。これはちょっとクールだろ? でも、新しい言葉を考える必要がある。何か間抜けなやつをね。“Pimp-rock”みたいな(笑)。でも、メタルバンドというレッテルを貼られるのはいやだな。その辺はメンバー全員が同じ意見だよ。でも、俺らはヘヴィだし、OzzyやDanzigみたいにメタルツアーにしか参加できないから、そのカテゴリーに入れられてしまうんだ。でも、彼らはよくしてくれたよ。それに、メタルの聴衆も好きだ。……だけど、俺らはその範疇には収まりきれないと思う。
――もっと成功すると……つまり金持ちになると、勢いを失うのではないかと心配になることはありませんか?
JONATHAN:
もちろんお金は常に優先課題だ。息子と同じようにね。今になって、多くのことの意味がわかってきた。だけど、俺が勢いを失う? そんなことは決してないね。家ではパパ、ステージでは俺。家ではいいパパだけど、ドアを一歩出るとJonathan Davisにスイッチが入る。俺は完全なピーターパン・コンプレックスだよ。
――父親として、子供がどんな音楽を聴くようになるのか気になりません? Kornの曲を聴かせたいとか。
FIELDY:
俺は娘に何を聴ききなさい、何を聴いてはいけない、と言い聞かせるようなタイプじゃないからね。俺の父親はミュージシャンだったんだ。俺は音楽に囲まれて育った。娘が何を聴こうと俺は気にしない。だって、ただの音楽だもの。悪魔崇拝のようなものを聴いていたら、止めろと言うかもしれないけど、でも、汚い言葉なら俺は気にしない。それは俺らがやっていることだから(笑)。Johnは、非常にエモーショナルな内容の歌を歌っている。誰でも彼の歌っていることに共感できる。娘がMarilyn Mansonを聴いていても、俺は気にしないだろう。Iron Maidenの『Number Of The Beast』だと、ちょっと恐いけど……(笑)
――Kornの最終目的は何なんでしょうね?
FIELDY:
長く続けること。それが目標だ。1枚のレコードが大ヒットして、次の年にはいなくなるというのはいやだな。これは、このビジネスではなかなか実現できない目標だろうね。今でも活躍しているベテランのようになりたい…Ozzyみたいにね。それができるのはほんの一握りのバンドだけど。Ozzyぐらいの年になったときにまだプレイしているかどうかはわからないけれど、そうなればいいと思う。
JONATHAN:
世界一のロックバンドになりたいんだ。Led Zeppelinみたいにね。スーパースターの地位を手に入れて、しかも信頼を失わないようにしたい。Led Zeppelinのようになるということだ。俺らにはそれができる。全力で取り組むつもりだ。
Dave Dimartino(2000.2.22)(C)LAUNCH.com
3rdアルバム「Follow The Leader」
EPICソニー 1998年10月21日発売ESCA-7373 ¥2,520(Tax in)
1 It's On!
2 Freak On A Leash
3 Got The Life
4 Dead Bodies Everywhere
5 Children Of The Korn (with Ice Cube)
6 B.B.K.
7 Pretty
8 All In The Family (with Fred Durst)
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10 Justin
11 Seed
12 Cameltosis (with Tre Hardson)
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