TC楽器名物「第5回改造ギターコンテスト」、結果発表
TC楽器主催「改造ギターコンテスト」の受賞作品が公開された。
第5回目となる2024年の「改造ギターコンテスト」は、初回2014年の開催から10周年となる記念すべき年となり、例年に勝るとも劣らないとびっきりの逸品・珍品・名品・絶品が寄せられた。
改造の余地を大いに残すギターという楽器は、ギタリストにとって宝の地図を携えて探検するようなワクワクと自由を堪能させてくれる最高のおもちゃにもなる。改造の趣旨やそのやりこみ具合には、持ち主の指向性やこだわり度合いが色濃く反映され、どんな改造であれ、それが成功であれ失敗であれ、そこにはいろんなドラマが刻まれていることだろう。もちろんたっぷりの愛情をほとばしらせて。
今回も100を超える応募作品から上位23作品がセレクトされ、そこからグランプリ及び協賛14社による各賞が選出されることとなった。
2024年グランプリに輝いたのは、KAIZO Guitar Channel氏による「ペラアコ」だ。「インテリア用として売られていたセミアコのトップ板」を利用したとのことだけれど、そんなモノがどこに売っていたのでしょうか。それに出会った時点で勝ち組です。スケートボーダーであればウィールを付け、シェフであればまな板にし、DIYマニアであればテーブルに仕立て、ギタリストであれば当然ギターにするのが正義。スタインバーガーのような鳴りという理解でよろしいでしょうか。
他14協賛各社の受賞作品は以下の通り。なかでもBARKS賞は、10年にわたる「改造ギターコンテスト」の歴史をもってしても、似たような作品はまったくないという画期的すぎる1本。こちらは制作者に直接インタビューを敢行し、そのギターの本質を浮き彫りにしている。是非ともチェックを。
【グランプリ】
KAIZO Guitar Channel 氏作「ペラアコ」
正面から見るとセミアコですが見る角度を変えた瞬間に”セミ・アコースティック”とは真逆の構造をしており、色々な意味で衝撃が走りました。またインテリア用のセミアコのトップ材を使用してエレキギターにしちゃおうという、考えても実践することが中々出来ないことに着目し、実行してしまうというところに驚きました。ホームセンターで買ってきた木材にネックを取り付ける発想は、Les Paul氏が4x4の角材にEpiphoneのボディを繋ぎ合わせて制作した実験的なギターを思い出しました。制作時間よりも「どのパーツをどのように付けるか」「色はどうするか」などの着想を得るのに時間が掛かり、最初の想定とはかなり変わってしまったとのことですが、完成した作品を見ると、突飛な作りではあるもののデザインとしてはとても整っていて不思議な気持ちにさせてくれる作品でした。(TC楽器)
【荒井貿易賞】
鉄オタNAO 氏作「SG90っぽいFUTURE」
個人的にSGが好きなのもあるのですが、少しレトロなイメージがものすごくマッチしていました。ボディカラーと新造のPGの相性も抜群で目を引かれた作品でした。(荒井貿易)
【Alembic/Sleek Elite賞】
いきすぎたdiy 氏作「スプリングリバーブギター」
改造には色々な種類、目的などがありますが、先人の知恵と工夫にきっちり敬意を払いつつも、可能性の最大限に追求されようとしている姿勢や、新しいことに対する探究心は本当に素晴らしいと感じました。この“楽器“そのもので完結することなく、その先にあるものを見据えておられる感じや、どうなるんだろうという楽しさを垣間見ることができるところにも感銘を受けましたし、非常に豊富なアイディアと経験をお持ちの方かとおもいますので、次回もまた楽しみにしております。ご参加いただきまして本当にありがとうございます。(Alembic/Sleek Elite)
【モリダイラ楽器賞】
いしかわ ひさし 氏作「大人の森高モデル」
TC楽器さんで3年前に購入されたギターをもとにしたTC楽器さんとのご縁、弊社製品であるビルローレンスギターを改造のもとに選んでもらったご縁で選ばせていただきました。再塗装、セットネック化、トレモロ化などなどしっかりと改造も施されており素晴らしいです。ゴージャスな姿となったギターで、ぜひかっこよく「私がオバさんになっても」弾いてください!(モリダイラ楽器)
【スタジオペンタ賞】
Johnny・E・K 氏作「マシンガンギター」
見た目のインパクトで選ばせてもらいました!改造ってこういうこと!天国のウィルコ・ジョンソンにライブでぶっ放してもらいたいですね。(スタジオペンタ)
【TMC/SIT賞】
Lin's Worx 氏作「ビールケース・アコースティックギター」
見た目のインパクト!デザイン力の勝利の一言ですが、背景を辿って行くと木製のビールケースっていつの時代の物?なのか何処から来た桜井酒店なのか?謎は深まるばかりです。木材にヴィンテージの風格も纏っており、この素材をギターに変身させるセンスに脱帽です。(TMC/SIT)
【バードランド賞】
よっくん【Guitar】 氏作「そろりソロり、そろそろソロギター?~ソロギターは孤独とちゃうで~」
選考のポイントはまず見た目のインパクトでした。増設されたハープ部分にパーカッション部分とまさに“改造“感が溢れていたので説明分を見る前からほとんど決めていました(笑)。6~4弦のペグが増設したハープ部分についていたりペグ自体も在りものを使用する点も面白いですね。後ヘッドにしれっとグライダーカポがセットされている点も好きですね(笑)。ご本人様もおっしゃっていますが只者では無い感が十分に出ているのと“改造“感に溢れていた点で選考とさせていただきました。(バードランド)
【AKIMA&NEOS賞】
くます 氏作「park in クワガタ」
パッ見た時、カッコいいと思いました。よく見たら結構、かなり雑だけどアイデアが良いです。近年モノでなく、ゼマイティス本人が製作していたパールフロントに近い感じですね、ホンモノも作りは荒い感じです。シェルを貼ると重くなると思うのでSGタイプの軽量でボディーが薄いモノをベースに使ったという点もポイント高いですね。自分もゼマイティスに憧れてステンドグラスを製作したので気持ちは良くわかります。とても良い改造だと思います。(アキマツネオ)
【エフェボー賞】
谷村 尚紀 氏作「最高傑作2号 究極のCosmic Black」
毎年必ず応募があるエフェクター内蔵ギター!今年はさらにぶっ飛んだ内容で楽しませて頂きました。勝手に名付けたのは『カオスなギター』(^^)ポイントは①エフェクターがなんと3台も内蔵されている!ZVEX Fuzz FactorytKoG Mini GlitchAnalog.man Mod ehx Small Stoneこれは実際のサウンドを聴いてみたい!②見た目のスイッチの多さはこれまでで最多!おそらく作った本人にしか分からない操作方法(笑)。実際のサウンドを聴いてみたい!と思いながらも私に操作出来るだろうか?といざ持って心配になるほどのスイッチ類の多さ。更に解説によると、サスティナーも内蔵し、そして手元でワーミーペダルやカオスパッドをコントロール出来るMIDI STRIPまで内蔵してるということで一体どんなジャンルの曲とどんなニーズに対応しているか、さらにカオスな内容もポイントです。眺めるだけでも想像をかき立てるスイッチ沢山のカオスギター!店頭に展示されたら、是非鳴らしてみたい、操作してみたい、そんな一本ですね。エフェボーTシャツを着て弾いている姿を想像して微笑んでおります。受賞おめでとうございました。(エフェボー)
【キョーリツ/ダダリオ賞】
Yuichi 氏作「ちょいワル」
G&Lのオイルフィニッシュって、ありそうでないですよね。自作ピックガードで大きく変わった印象評価ポイントです!(キョーリツ/ダダリオ)
【キクタニミュージック/MUSIC NOMAD賞】
Salty guitars 氏作「ケルべノオロチ」
まず、見た目のインパクトにやられてしまいました。。アイデアに溢れた作品でとても素晴らしいです。ぜひとも、実機を弾いている姿を見てみたいです。(笑)(キクタニミュージック/MUSIC NOMAD)
【フリーダムカスタムギターリサーチ賞】
otoya 氏作「フォールディングギター」
このネックを折りたたむ方式に非常にやられてしまいました。まいりました!ネックをこの位置でこの方法で反転させコンパクト化させるという発想が、目的に対する道のりとして、この方法で具現化してしまった事に拍手です。(フリーダムカスタムギターリサーチ)
【BARKS賞】
宮崎 政史 氏作「ギター絵画」
真面目なのかふざけているのか、本気なのかお遊びなのか、私の知見では測りかねるということで、これは取材をせねばなるまいという謎の使命感によりBARKS賞を強制的に授与させていただいました。かなりヤバめな作品だということしかわかりません。お話を聞かせてください。(BARKS)
↓
◆【インタビュー】音楽のためではなく、絵を描くためのギターとは?
【SOLID BOND賞】
山田 邦男 氏作「ベンダーレスポール」
手作り感にあふれた作業が感じられ、いいですね!テレキャスターでなく、レスポールの厚いボディーを貫通させるには大変だったと思います。その分、達成感も熱かったのではないでしょうか!久々に、アルバートリーのベンダー奏法を聞きたくなりますね!(SOLID BOND)
【ギターマガジン賞】
Page-Barrett ESQ 氏作「Page-Barrett Mirror ESQ
ジミー・ペイジとシド・バレットのミラー・ギターから着想を得たということですが、2本の伝説的ギターを融合させるという発想は、ありそうでなかったように思います。単純にミラーを貼り付けるのではなく、ボディに落とし込んでいる点も手が込んでいますし、さらにBベンダーも装着されているなど、是非一度手にしてみたいギターだと感じました。実際のシド・バレットの愛器のように、1PU仕様であることも、先人へのリスペクトが感じられて好印象です。(ギターマガジン)
取材・文◎烏丸哲也(BARKS)
<第5回 改造ギターコンテスト10th>
●グランプリにはTC楽器で使える「三万円のお買い物券」
応募締め切り:2024年8月31日まで
一次審査:写真選考
二次審査:実物審査
11月13日 結果発表(入賞作品は11月13日発売のギターマガジン12月号で発表!BARKS及びTC楽器楽器ホームページにも掲載されます)
一次審査を通過された作品は二次審査にお進み頂きます。2022年9月20日までに作品をTC楽器までお持ち込み、もしくはお送り頂くことができ、結果発表までお預かりさせて頂けることが条件となります(入賞された場合はその後1ヶ月間TC楽器に展示させて頂きます)。
協賛
・ギターマガジン
・BARKS
・AKIMA&NEOS
・荒井貿易
・エフェボー
・キクタニミュージック
・キョーリツコーポレーション
・スタジオペンタ
・SOLID BOND
・バードランド
・フリーダムカスタムギターリサーチ
・モリダイラ楽器
And more!
◆改造ギターコンテスト2024オフィシャルサイト