【今さら聞けない楽器のア・ソ・コ】お題「モリンホール」
“楽器”と一口に言っても、多種多様さまざまな部品から構成されているのはご存知の通り。え、そんなの知ってるわい!的なものから、古楽器のレアなところまで、今さら人には聞けない“楽器のア・ソ・コ”、ご紹介します。第71回のお題は「モリンホール」です。
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モンゴル民族の伝統的な擦弦楽器。8世紀にはすでに存在していたという記録が残っている。モリンホールとは“馬の楽器”を意味しており、棹の先端に馬の頭部の彫刻が施してあることから、中国では馬頭琴と呼ばれ、それにならい、日本でも同様に呼ばれることもある。
箱型のボディ(共鳴箱、琴箱と呼ばれる)に棹(ネック)をつけ、そこに2本の弦を張り、弓を使って演奏する。もともとは共鳴箱に馬や牛の皮を張っていたが、現在ではすべて木製のものが一般的。弦と弓には馬の尻尾の毛が使われているが、現在はナイロン弦も使われている。なお、弦は100本ほどの毛、もしくはナイロンを束ねて1本の弦に仕立てている。弓も同様で、弓は150~180本ほどが使われている。
モンゴル国で使われるモリンホールと、内モンゴル自治区で使われているものでは、異なる部分が多い。モンゴル国内で使われているもの。材にはシラカバが使われることが多く、内モンゴルではエゾマツやシロマツが主流。さらに、共鳴箱の形状や音孔、糸巻部分の構造などにも違いがみられる。
形状の違いから、音にも差異があり、一般的に内モンゴル製の方が音域が高いとされる。
文:竹内伸一
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