【今さら聞けない楽器のア・ソ・コ】お題「トラスロッド」
“楽器”と一口に言っても、多種多様さまざまな部品から構成されているのはご存知の通り。え、そんなの知ってるわい!的なものから、古楽器のレアなところまで、今さら人には聞けない“楽器のア・ソ・コ”、ご紹介します。第70回のお題は「トラスロッド」です。
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Image by Cornelia Schneider-Frank from Pixabay
ギターやベースのネックの中に仕込まれた金属の棒。木製のネックは、気温や湿度の変化や、弦の張力の影響によって、反りが生じてしまうが、ネックの強度を上げて、反りを防ぐ役割を果たす。
当初は、ネックに埋め込まれたままで、調整はできない仕様(ノンアジャスタブルトラスロッド)だった。しかし、1920年にギブソンが、トラスロッドの調整ネジをまわすことで、トラスロッドを動かし、ネックの反り具合を調整できるアジャスタブルトラスロッドを開発。一度反ってしまうと直すことが難しかったネックが、一定の調整ができるようになった。
アジャスタブルトラスロッドにも大別して2種類がある。1つは、2ウェイとも呼ばれるデュアルアクションロッド(ダブルアクションロッド)で、順反り(ギター本体に対してネックが上向きに反る)、逆反り(ギター本体に対してネックが下向きに反る)のどちらにも対応。一方、1ウェイとも呼ばれるシングルアクションロッドは、順反りのみ調整が可能なタイプとなっている。
反りを調整するという意味では、デュアルアクションロッドの方が機能性が高いが、トラスロッドの動く幅が大きくなるため、ネックに組み込むための溝も大きくなり、ロッド自体も太く重いものになってしまうため、音への影響も大きいと言われている。そのため、シングルロッドを好むプレイヤーも多い。
文:竹内伸一
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