菊地成孔コンサート 2009、オーチャードホールで2days
12月4日(金)、5(土)の2日間にわたり、菊地成孔が渋谷Bunkamuraオーチャードホールでコンサートを行なった。菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール、菊地成孔DUB SEXTET+special guest:UAというセットで、全く異なる内容の公演が開催となった。菊地成孔3年連続オーチャードホール公演となった最後の2日間。3年間で最も多くの来場者が訪れた日本屈指のオペラハウスは、熱狂に包まれた。
◆菊地成孔コンサート 2009、オーチャードホールで2days ~画像編~
●12月4日(金) 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
「今夏、相次いで急逝したマイケル・ジャクソン、ピナ・バウシュ、マース・カニングハムという3人の舞踏家、そして10月、齢100歳で天寿を全うしたフランスの思想家、クロード・レヴィ=ストロースに、今夜のコンサートを捧げます。彼らなくしてこのオーケストラが着想されることはなかったでしょう。」
菊地はそう語るとサックスを手にとり、カウントを刻む。1曲目はミシェル・ルグラン作曲「はなればなれに」、そして「悲しきワルツ」へとつなぐ。どちらもゴダール作品を彩った円舞曲だ。
2台のアフロ・パーカッション、バンドネオン、ハープ、ストリングス、ピアノ、ベース、そして菊地のサックスが織り成す優美なシアター・ミュージックで幕を開けた二部構成のステージ。
エキゾチシズムと昭和歌謡の余薫交わる官能美に満ちた初期のレパートリー「孔雀」「京マチ子の夜」の濃密な世界から、前作『記憶喪失学』に収められた映画音楽「バターフィールド8のテーマ」、“アントニオ・カルロス・ジョビンを見出した男”ハダメス・ニャターリの佳作「メウ・アミーゴ・トム・ジョビン」、そして一部のラスト「大天使のように」まで、ペペ・トルメント・アスカラールの変遷を息つく暇もなくなぞる。演奏が進むにつれて艶かしさは薄れ、代わりにアフロ・ポリリズムが台頭する。
ウェイン・ショーター作「プラザ・レアル」からスタートした二部のハイライトは、トレーンを引いた漆黒のドレスを纏って現れたオペラ歌手、林正子の圧倒的な歌唱によるアリア「私が土の下に横たわる時」。最新作「New York Hell Sonic Ballet」を象徴する美しいレクイエムは、会場全体に深い慈悲をもたらした。ゼロ年代の終焉、多くを失った2009年に相応しいワンシーンだった。林正子が去ると間髪置かずに「Killing Time」。「New York Hell Sonic Ballet」の冒頭を飾るもうひとつの象徴、80年代NYアンダーグラウンドのアイコンであるダンス・チューンから立て続けに「儀式」「ルペ・ベレスの葬儀」と怒涛のラストへ。
ダンス・フロア仕様に変貌を遂げつつある“第二期ペペ”の緻密なアンサンブルが縦横無尽に躍動し、場内もヒートアップ。コンダクター菊地の意のままにグルーヴするこのバンドのポテンシャルは計り知れない。フェリーニ「8 1/2」で本編終了。
アンコールでは「New York Hell Sonic Ballet」から、いずれも人気の高い菊地のヴォーカル・ナンバー3曲。不穏に渦巻くストリングスの波から突如サルサに転じ、菊地のスキャットが疾走する「嵐が丘」、甘やかなラブ・バラード「時さえ忘れて」、映画「Wait Until Dark」サントラ収録曲のセルフ・カバー「暗くなるまで待って」が披露され、ステージは幕を下ろした。
◆菊地成孔コンサート 2009、オーチャードホールで2days ~画像編~
●12月4日(金) 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
「今夏、相次いで急逝したマイケル・ジャクソン、ピナ・バウシュ、マース・カニングハムという3人の舞踏家、そして10月、齢100歳で天寿を全うしたフランスの思想家、クロード・レヴィ=ストロースに、今夜のコンサートを捧げます。彼らなくしてこのオーケストラが着想されることはなかったでしょう。」
菊地はそう語るとサックスを手にとり、カウントを刻む。1曲目はミシェル・ルグラン作曲「はなればなれに」、そして「悲しきワルツ」へとつなぐ。どちらもゴダール作品を彩った円舞曲だ。
2台のアフロ・パーカッション、バンドネオン、ハープ、ストリングス、ピアノ、ベース、そして菊地のサックスが織り成す優美なシアター・ミュージックで幕を開けた二部構成のステージ。
エキゾチシズムと昭和歌謡の余薫交わる官能美に満ちた初期のレパートリー「孔雀」「京マチ子の夜」の濃密な世界から、前作『記憶喪失学』に収められた映画音楽「バターフィールド8のテーマ」、“アントニオ・カルロス・ジョビンを見出した男”ハダメス・ニャターリの佳作「メウ・アミーゴ・トム・ジョビン」、そして一部のラスト「大天使のように」まで、ペペ・トルメント・アスカラールの変遷を息つく暇もなくなぞる。演奏が進むにつれて艶かしさは薄れ、代わりにアフロ・ポリリズムが台頭する。
ウェイン・ショーター作「プラザ・レアル」からスタートした二部のハイライトは、トレーンを引いた漆黒のドレスを纏って現れたオペラ歌手、林正子の圧倒的な歌唱によるアリア「私が土の下に横たわる時」。最新作「New York Hell Sonic Ballet」を象徴する美しいレクイエムは、会場全体に深い慈悲をもたらした。ゼロ年代の終焉、多くを失った2009年に相応しいワンシーンだった。林正子が去ると間髪置かずに「Killing Time」。「New York Hell Sonic Ballet」の冒頭を飾るもうひとつの象徴、80年代NYアンダーグラウンドのアイコンであるダンス・チューンから立て続けに「儀式」「ルペ・ベレスの葬儀」と怒涛のラストへ。
ダンス・フロア仕様に変貌を遂げつつある“第二期ペペ”の緻密なアンサンブルが縦横無尽に躍動し、場内もヒートアップ。コンダクター菊地の意のままにグルーヴするこのバンドのポテンシャルは計り知れない。フェリーニ「8 1/2」で本編終了。
アンコールでは「New York Hell Sonic Ballet」から、いずれも人気の高い菊地のヴォーカル・ナンバー3曲。不穏に渦巻くストリングスの波から突如サルサに転じ、菊地のスキャットが疾走する「嵐が丘」、甘やかなラブ・バラード「時さえ忘れて」、映画「Wait Until Dark」サントラ収録曲のセルフ・カバー「暗くなるまで待って」が披露され、ステージは幕を下ろした。
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