【対談】UA × アイナ・ジ・エンド、コラボライブ開催直前に語る「ギフトそのものだと思ってます」
UA × アイナ・ジ・エンドによるコラボレーションライブ<M bit Live #2 UA × アイナ・ジ・エンド>が10月21日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催される。“ひとりひとりの人生に音楽との出会いを届ける”をテーマに掲げてスタートした『M bit Project』のライブイベントが<M bit Live>だ。様々な入り口が存在する“音楽との出会い”の中でも同イベントが提示するのは、とりわけ世代やジャンルを超えた存在2組を通じたライブの場での出会い。
◆UA × アイナ・ジ・エンド 画像
2024年7月の第1弾“Original Love Jazz Trio × STUTS”によるコラボレーション開催からほどなくして発表された第2弾は、UAとアイナ・ジ・エンドという組み合わせ。片やソウルやR&Bをルーツとし、30年近いキャリアを重ねてきたレジェンドであり、もう一方はBiSH在籍時から類稀な才能とセンスによって多方面で活躍し、2023年に本格的ソロキャリアをスタートさせたばかりの新鋭にして実力者だ。両者は2022年に上演されたミュージカル『ジャニス』での共演から既に親交が生まれていた。
海を越えてカナダのUAとつないだリモート対談では、共演時の思い出も振り返りながら、互いのキャリアやイベントへ向けての思いなどを語り合ってくれた。
◆ ◆ ◆
■懐かしい人に会ったような気がする
■って言われたのがすごく印象的です
──お二人がお話をするのはいつぶりになるんですか。
アイナ:2022年にジャニス・ジョプリンの舞台(ミュージカル『ジャニス』)でご一緒させていただいて。お会いしたのはそのときが最後ですけど、実はそのあと電話もしました。
UA:覚えてる! そうなの、あなたがMステにご出演される楽屋で、メイク中にLINEで話したんだよね。「観てるよー!」みたいな。
アイナ:はい、嬉しかったです!
UA:『ジャニス』の打ち上げも楽しかったねえ。カラオケの個室みたいなところで「ここ、入っていいのか?」みたいな、みんなドキドキしながらさ。
アイナ:いや、間違いなくUAさんがいることが一番浮いてましたよ(笑)。私もあんまりああいう打ち上げ会場に行ったことなかったんで、新鮮でした。
UA:そうだったんだ。もう、あのソウル・シスターズたちのお誘いを断るなんてバチが当たるっていう感じだったから。
アイナ:本当に朗らかな方々でしたね。
UA:素晴らしかった。なんかジーンとくるよね。
アイナ:楽しかったし、私はやっぱりUAさんと一緒にステージに立てたことが夢みたいに嬉しかったです。
UA:本当? ありがとう。思い出したんだけど、あの日私が「なんでアイナ・ジ・エンドっていう名前にしたの?」って聞いて、アイナが「あの…」って話し始めてくれたのに、バーっと割り込まれちゃって、その話題が消え去っていって。たくさんいろんな場所で語られてきたと思うんだけど、私、見ないようにしてきたの。いつかアイナから聞かなきゃと思って。「なんであの時、聞けなかったんだろう」って後から後悔してたのね。
アイナ:BiSHっていうグループに2015年に入った時、カタカナで名前を決めなきゃいけなくて。
UA:カタカナが決まりだったの?
アイナ:そうなんです。で、何にしようかな?と思ってる時に、それまでの人生があんまりうまくいってなかったなという思いがあったので、一回アイナを終わらせて、また始めてリスタートさせようと思ってアイナ・ジ・エンドっていう名前にしました。
UA:そうなんだ。じゃあアイナは一回終わった感じがあるの?
アイナ:…実は地続きな感じでやらせてもらってて(笑)。
UA:アイナ・ジ・ツヅキ(笑)? ウケるなあ。でも私もさ、デビューした時は「UA=花、または殺す」とか言っちゃって、尖ってたんですよ。だけど10年くらいして“殺す”のほうをやめて、今は“花”だけにしてるのね。
アイナ:スワヒリ語?
UA:スワヒリ語。
アイナ:自分で決めたんですか?
UA:そうなの。本当は“いちじく”っていう名前で出ようとしたんだけど、友達に「絶対やめとけ」って止められて。本当に言うこと聞いておいてよかった。
アイナ:おもしろい(笑)。
▲UA
UA:それで私は“虹”の意味を付けたくて。スワヒリ語にしたのは、スワヒリ語のプロナンスエーション(発音)が日本語ととても似てるんだって聞いたのと、もちろんアフリカ大陸への憧れもあって、紀伊国屋書店に行ってスワヒリ語の辞書を買ったの。だけど“和英辞典”じゃないけど“和スワヒリ”は売ってなかったので“虹”では調べられなくて、スワヒリ語をAからZまで見なきゃいけないわけ(笑)。で、ずっと探したんだけど“虹”が載ってなくて。
アイナ:えー!
UA:“ないのかな、虹は?”って諦めきれなくて、東京外語大学の教授の方が書かれてる辞書だったんだけど、電話したのね。
アイナ:すごい!
UA:電話して、「私、歌手になろうと思っていて」なんて説明して、虹のスワヒリ語はなんでしょうか?って聞いたら、すごく長かったの! 全然言えもしない感じだったのね。
アイナ:ははは。
UA:その時、AからZまで見てた中のUのところに“UA”があったの。“花、または殺す”って書いてあってもうビックリしちゃった。“UとAだけでそんな!?”と思って、ものすごい衝撃的で。当時から二元的な反対の言葉とかに興味もあったし、“これだ!”と思って。
アイナ:その名前を決めたのって、おいくつくらいの時なんですか?
UA:デビューを決めた時なので23歳でした。
アイナ:めちゃくちゃお若い頃からハイセンスでカッコええ。
UA:はははは!
アイナ:スワヒリ語に辿り着かないですもん、生きていて。めっちゃ素敵です。“UAさん”でよかった。
UA:ありがとうー! うなぎの“U”とあなごの“A”っていう説もあるんだけどね(笑)。
▲アイナ・ジ・エンド
──ははは。世代的には先輩と後輩というか、リスナーとアーティストみたいな関係だった時代も長かったと思うんですが、『ジャニス』で同じステージに立ったことはアイナさんとしては感慨深かったですか?
アイナ:本当にお父さんが車でUAさんのアルバムをずっと流してて、私は当時、幼稚園なんで誰が歌ってるかはわからなかったけど、ずっと口ずさんでいたので。大人になって“あ、あの曲ってUAさんが歌ってたんだ”みたいな。
UA:お父さんはあれかな、同じエリアの出身というか、高校の学区とかが近いかもしれないんじゃない? ひょっとしたら。
アイナ:めっちゃそうですね。UAさんにはすごく親近感があると思います。
UA:うれしい。今度お会いしたいもんだわ。
──逆にUAさんからしたら、小さい頃から自分の音楽を聴いてきてくれた人が同じフィールドに上がってきて、共演するっていうのはどんな気分なんですか?
UA:実は今のお話、初めて聞いたんですよ。だからあんまりそういう、アイナが私の歌を聴いてくれていたという認識が薄かったかもしれない。アイナとは『ジャニス』のちゃんとしたリハーサルが始まる前、小さなスタジオで歌稽古をさせていただいたのが最初の出会いの日だったんだけど、なんか緊張もしなかったし、すごくスムースに出会えた感じがして。アイナは緊張してたかもしれないけど、ものすごく真剣に取り組んでる姿を見て、私も発破かけられたし、いま質問いただいたような感覚ではアイナと向き合ってなかったですね。もちろん、私のほうがどう考えても年上ということは頭ではわかってるんだけど、本当に新しい友達に出会ったような気持ちでいたんです。
アイナ:UAさん、出会った日の夜に「初めて会った感じじゃないね」みたいに言ってくださいました。「懐かしい人に会ったような気がする」って言われたのがすごく印象的です。
UA:ね。
──アーティストやシンガーの感性に、世代や時代はあまり関係がないのかもしれませんね。
UA:そうでありたい、という気はしますね。
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