【速報】対米同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.14
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【速報】同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.14 大変、痛ましい事件が起こりました。それに伴い、現在アメリカでのコンサート・イベント等のほとんどは、中止、あるいは延期となっています。日本来日公演などに関しましても、情報が入り次第、掲載いたします。 ※ニュースが入り次第、リアルタイムに更新いたします |
●ジャーメイン・デュプリが新アルバム『Instructions』を発売。テロ被害者へのチャリティを設立 |
アトランタを拠点に活動しているプロデューサー/ラッパーのJermaine Dupriが、10月2日に2ndソロ・アルバム『Instructions』を米国リリースする。アルバムにはDa Brat、Backbone、Ludacris、Nate Dogg、Jadakiss、Freeway、Roc、Boo&Gotti、UGK、Usher、Bilal、Jagged Edgeらが参加。1stシングルの“Ballin' Out Of Control”は現在、Billboard Hot R&B/Hip-Hopシングル・チャートで39位に入っている。 Dupriは9月11日のテロ攻撃の被害者救済に率先して取り組んでいる。U2のBono、Destiny's Child、Jennifer Lopez、*N SYNC、Backstreet Boys、Britney Spears、Alicia Keysらが参加しているチャリティ・シングルで、Marvin Gayeの名曲“What's Going On”のリメイクをプロデュースした。 Dupriはさらにチャリティ、Hip-Hop For Humanityを設立し、10月8日にアトランタで設立記念イベントを開催する。この終日イベントには数種類のブースが設けられ、お金や物資の寄付、献血を受け付ける。Da BratやGoodie Mob、Dallas Austin、Youngbloodzといった地元のアーティストたちもイベントのボランティア・スタッフとして参加。ライヴも行なわれる予定だ。Hip-Hop For Humanityにはアトランタのラジオ局、Hot 97.5 FMが共同スポンサーについており、この活動はUnited Wayの基金、September 11th Fundの管理のもと、米赤十字と提携して行なわれる。 発表されたコメントでDupriは、この試練のときにヒップホップ・コミュニティを迅速にまとめることの必要性を感じたと説明している。 「ヒップホップ・コミュニティは自分たちの発言を行動で表さなければいけない。先週、メディアは、俺たちが世界貿易センターの悲劇のことを気にもかけていないとしてヒップホップに悪評を下した。しかし、それは間違っている。ヒップホップ・コミュニティは他の人たちとまったく同じようにこの悲劇に影響を受けている。ヒップホップは良心を持っているし、Hip-Hop For Humanityは我々のコミュニティが団結し、このひどく打ちひしがれているときに手を差し伸べる手段だ」 |
●ポール・マッカートニー、テロ事件とNYコンサートについて語る |
Paul McCartneyは10月20日、マンハッタンのMadison Square GardenでConcert For New Yorkベネフィットイベントのヘッドライナーを務める。McCartneyは声明の中で開催理由を次のように語っている。 「このベネフィットコンサートの開催を決めたのは、手短に言うとニューヨークを愛してるから。惨劇が起きた日、僕はニューヨークにいた。世界貿易センターのツインタワーが崩壊する瞬間を目撃した。Heatherと僕は空港の飛行機の中で座席に着いて、離陸を待っていた。突然、すべての航空機が離陸を見合わせていると機長からアナウンスがあった。僕たちが乗っていた飛行機から、煙と炎に包まれたタワーが見えた。信じられない光景だったよ」 「全ての人と物がテロの影響を受けた。攻撃から数日後にCanal Street地区に行くと焼け跡の臭いがして、惨劇を肌で感じることができた。人々は呆然と立ちすくんでいた。最初に僕は無力感を感じたよ。“僕に何ができるだろうか?”って思った。何か助けとなることをしなければならないと思って、このコンサートを計画したんだ。テロ攻撃は恐ろしく悲しいことだけど、ある意味、事件の日にニューヨークにいて良かったと思う。惨事が起きて、街からすばらしいヒーローたちが出てくるのを見ることができたんだから」 「このコンサートはそういったヒーローを称えるものだ。コンサートができてすごく誇りに思う。これは消防士を含む犠牲者の遺族のためになるだろう。第二次世界大戦中、僕の父がリバプールのボランティア消防士だったこともあって、消防士とはつながりを感じてるんだ」 「だから、連帯感を示すためにこのベネフィットコンサートを開こうと思う。僕たちの生き方に賛成しない人々がいるかもしれないけど、この攻撃は一線を越えている。これは絶対にしてはいけないものだ。テロを行なった者に、僕たちはこのまま我慢するわけにはいかない、というのを見せてやらなければならない。皆が立ち上がって、何かをすべきだ。僕は消防士にはなれないけど、コンサートはできる。つらい夜になるだろうけど、開催する必要があるし、犠牲者の遺族のために資金集めの手助けをしたいと思う」 |
●ビリー・ジョエルが、先週のテレソンに「的はずれな」感じを受けたと語る |
Billy Joelは1週間前、NYとワシントンD.C.を襲ったテロ攻撃の救済活動のために1億5000万ドル以上を集めたテレソン『America: A Tribute To Heroes』に出演した。消防士のヘルメットをピアノに置いて“New York State Of Mind”を演奏したJoelは、その夜は彼と彼の仲間にとって複雑な感情が交じった奇妙な夜だったと語った。 「実を言うと、的はずれな感じがしたんだ。分かるかな?」 「資金を集められたのは嬉しいし、僕も貢献できて良かったけど、あまり満足のいくものではなかった。何かすごく見当違いなことをしてしまった感じなんだ。バックステージでいろいろな人と出会って挨拶してそう感じたんだけど、みんな落胆して肩をすくめ、“ま、少なくとも何かしなければね”って感じだったんだ」 Joelはショウの出番を終えた後、攻撃された世界貿易センターの場所を訪れた。 「実際に事件現場に行って、多くのことが分かった。曲を歌い終えた直後に、警官と一緒にパトカーに乗ってダウンタウンへ向かった。現場を全部まわって見たんだ」 「それで警官や消防士と話しながら、4時間くらいその場にいた。まったく信じられないような光景だったよ。少なくともその場にいた人々とコンタクトをとろうと思ったんだ」 Joelのパフォーマンスは11月半ばにリリース予定のアルバム『America: A Tribute To Heroes』に収録される。また、同テレソンのDVDも発売される予定。 Joelは10月2日(火)、2枚組コレクション『Essential Billy Joel』と、彼にとって初となるクラシック音楽のインストゥルメンタル『Fantasies & Delusions: Music For Solo Piano』の2枚のアルバムをリリースする。 |
●ゴッドスマック、NYの未亡人と孤児のために10万ドルを寄付 |
Godsmackと同グループとビジネスをしている複数のプロモーター・会場が、9月11日のテロ攻撃で命を落とした消防士と警察官の未亡人と孤児を救済するチャリティ、The Solidarity Foundationに10万ドルを寄付した。 Godsmackと共に資金集めに参加した会場はDarien Lakes Amphitheatre、Singer Park (ニューハンプシャー州マンチェスター)、Coors Light at Montage Mountain (ペンシルバニア州スクラントン)、Erie Civic Center (ペンシルバニア州エリー)、Sports Arena (オハイオ州トロント)、Kellogg Arena (ミシガン州バトルクリーク)、Roberts Stadium (インディアナ州エバンズビル)。 Godsmackはまた、つい先日終了したばかりの米国ツアーの収益金をテロの被害者に寄付した。グループは米赤十字社への貢献をファンにも呼びかけている。 Godsmackは9月15日に行なわれたマンチェスターのSinger Parkのショウで、ファンと共にキャンドルライトで夜通しテロ攻撃の犠牲者を追悼した。 |
●サイプレス・ヒル、Smoke Out Tourのオークランド公演をキャンセル |
10月13日に予定されていたCypress HillのSmoke Out Tour、カリフォルニア州オークランド公演がキャンセルされた。これはOakland Coliseumでメジャーリーグの試合が先に組まれているためで、米テロ攻撃の影響で数多くのOakland Athleticsのゲーム日程が変更となったからだ。 Smoke Out TourはCypress Hillが過去にロサンゼルスで1日だけ開いたフェスティヴァルの延長となるもの。Guerilla Union Eventsのプロモーター、Chang Weisbergは声明の中で次のように語っている。 「Cypress Hill Smoke Out TourとGuerilla Unionの関係者を代表し、私たちはオークランドでツアーができなくなり非常に悲しく思っています。もちろん、その悲しみは米国を苦しめている嘆きや悲痛とは比べものにはならないものです。ショウに同情してくれたすべてのファン、バンド、マネージメント、メディアに感謝します。この偉大なイベントを後日、改めてベイエリアで開催できることを願っています」 10月6日のL.A.のショウにはMachine head、Fear Factory、Chimaira、Ill Ninoらが追加され、ラインアップが強化された。このショウでメインとなるのはCypress Hill、Deftones、Busta Rhymes、Redman、Method Man、Long Beach Dub Allstars、Erick Sermon & Keith Murray、NoFX、Afromanなど。 オーガナイザーは9月29日に予定されていたニュージャージー州PNC Bank Arts Centerの会場が使用できなくなったため、NY地区で別の会場を探している。Smoke Outは同地区で別の日程も組まれている。確認がとれているものではSmoke Outハワイ公演が10月21日に開催予定。 |
●ポール・マッカートニーのNYベネフィットコンサートの詳細が明らかになる |
Paul McCartneyは10月20日にニューヨークのMadison Square Gardenで、消防士のためのオールスター・コンサートを計画している。コンサートには元Beatlesの仲間Ringo Starrに加え、James Taylor、John Mellencamp、Jon Bon Jovi、Mick Jagger、Jerry Seinfeld、Gwyneth Paltrowらが出演すると言われているが、現時点で出演確認がとれたグループはWhoのみ。LAUNCHはコンサートに参加すると噂されていたSting、Santana、Led Zeppelinら、数名のアーティストが同コンサートには出演しないとの情報を入手した。後日、さらに多くのアーティストがラインアップに追加される見込み。 McCartneyのスポークスパーソンは次のようにBBCに語っている。 「彼は惨劇が起きた日、ニューヨークにいました。皆さんと同じように事件によって深く心を痛めています」 McCartneyは、彼の父Jim McCartneyが第二次世界大戦中、リバプールのボランティア消防士だったこともあり、消防士に特別な賞賛を抱いている。 McCartneyはMiramax、Cablevisionと共にショウを行なう。ショウの模様はコンサート後、すぐに放送される予定。 |
●オジー・オズボーンのツアーがテロ攻撃の影響でタイトルを変更。多額の寄付を計画 |
Ozzy OsbourneとRob Zombieは最近、ハロウィンの日にスタートし'02年初めまで続く次のツアーの新名称を考えている。ツアーのオリジナルタイトルはBlack Christmas(黒いクリスマス)だったが、9月11日にNYとワシントンD.C.を襲ったテロ攻撃の影響を受け、2人のアーティストはその名称は適切でないと感じている。 Osbourneは、新しいツアー名はまだ決まってないが、彼とZombieは何らかの形で救済活動のための資金を集めたいと語った。 「NYでプレイして、ギグの収益金はすべてNYの消防士と警察、それに何かのチャリティーに寄付しようと思う」「皆が少しずつ、何かをすべき時だと思うんだ。俺の国では人々が不満を言っている。おまえの国でもみんなが文句を言っている。けど、そうやってどんどんクソ悪くなるんだ。今ならアフガニスタンに住めるかもよ。住宅がすごく安いからな」 テロ攻撃があった9月11日、Osbourneは10月16日発売の次期ソロアルバム『Down To Earth』のキャンペーンのためNYにいた。皆と同じように彼もまた、事件に深く影響を受けたという。 「テロ攻撃があった日、NYにいたんだ。まったく、ぶったまげたぜ。日曜日になってはじめてその影響がどれほどのものか分かった。“奴らは本当にやっちまったんだ”って。だからさ、つまり、1日中ニュースに釘付けで、毎日観てたんだ。気が狂ったようだった。分かるだろ? 人生でこんな目に遭うなんて思ってもみなかった。全くそんなこと考えもしなかった。あんなクソ恐ろしい事件を目撃するなんて、思ってもみなかったよ」 |
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