圧倒的な濃密さとスピード感―前作、そして時代を超える待望の2nd『メテオラ』!

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圧倒的な濃密さとスピード感
前作、そして時代を超える待望の2nd『メテオラ』!


まさにすべてのロック・ファン待望。全世界で1500万枚を超えるセールスを記録したデビュー作『ハイブリッド・セオリー』から2年半、リンキン・パークのニューアルバムが到着した。タイトルは『メテオラ』。この耳慣れない言葉が意味するのはギリシャに実在する神聖な場所だ。岩山の上に修道院が散在するというその地に息づく長い歴史になぞらえながら、“時代を超越したアルバム”にしたいというメンバーたちの願望がこのタイトルに反映されている。

そして実際に聴こえてくるのも、時代を、ジャンルを、そしてあの超パーフェクトな前作をも超越したサウンドである。第1弾シングルの「サムホエア・アイ・ビロング」をはじめ、コンパクトでインパクトの強烈な楽曲ばかりがギッシリと詰まったこのアルバムについて、そしてバンドの“今”について、チェスター・ベニントン(Vo)とジョー・ハーン(DJ)が語ってくれた。ちなみに取材が行なわれたのは1月下旬、シンガポールでのこと。彼らは欧米や日本のみならず、アジア全域においても超ビッグなのである。

取材/文●増田勇一

「尺八の音色はマイクが思いついたんだ。日本の血が流れてるよなあ(笑)」 

最新アルバム

METEORA
ワーナーミュージック・ジャパン
2003年3月26日発売
WPCR-11440 2,520(tax in)

1 FOREWARD(INTRO)
2 DON'T STAY
3 SOMEWHERE I BELONG
4 LYING FROM YOU
5 HIT THE FLOOR
6 EASIER TO RUN
7 FAINT
8 FIGURE.09
9 BREAKING THE HABIT
10 FROM THE INSIDE
11 NOBODY'S LISTENING
12 SESSION
13 NUMB


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ワーナーミュージック・ジャパン

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などコンテンツ満載。またトップページにある「LPTV」へアクセスすると、『メテオラ』制作の舞台裏を追ったスペシャル・ビデオのほか、最新シングル「SOMEWHERE I BELONG」のPV、アルバムの中から4曲の試聴ができる

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――待望の新作完成ですね。『ハイブリッド・セオリー』の実績のすさまじさを考えると、相当なプレッシャーを感じながらのアルバム制作だったんじゃないかと想像するんですが。

チェスター:プレッシャーは確かにあったな。だけどそれは、言ってみれば敢えてみずから自分たちに課した類いのものだったっていうか。

――つまり、自分たちを満足させるのがいちばんタイヘンだったということ?

チェスター:
そう。僕らは要するに、これを自分たちのフェイヴァリット・アルバムにしたかったわけだからね。僕らは音楽をクリエイトするうえでの誠意を持ち続けていたいし、自分たち自身が聴く価値があるって確信できるものだけをカタチにしていきたい。つまり、ファンを完全に満足させたいのと同時に、自分たちでも繰り返し聴きたくなるようなものにしたかったんだ。

ジョー:何より自分たちの成長をカタチにしたかったね。基本的にアルバムそのものの成り立ちは、前回と同じ性質のものだと思う。自分たちの持ってるいろんな音楽的要素を合体させて、そこにメンバー全員に共通する感情を反映させるっていう意味においてね。結果、個々のミュージシャンシップの向上も投影されてると思うし、自分でいうのもヘンだけど、顕著な成長の跡が確認できる作品になってると思う。


左からジョー・ハーン(DJ)、フェニックス(B)、ロブ・ボードン(Dr)、マイク・シノダ(Vo)、ブラッド・デルソン(G)、チェスター・ベニントン(Vo)

――アルバムタイトルの『メテオラ』はギリシャに実在する地名で、あなたがたの「時代を超越したアルバムにしたい」という願望が込められているそうですが。

ジョー:
うん。実際、言葉そのものは誰にとっても耳慣れない感じのものだろうし、つまりは意味もないに等しいと思うんだけど、この単語の特定の意味を限定しない響きとかダイナミックさがすごく気に入ったんだ。意味なんか、あとからついてくればいいと思うんだよ。それこそみんながこのアルバムを聴いたときの印象が、そのままこの言葉の意味になればね。なにしろリンキン・パークってバンド名自体、意味なんてないんだから(笑)。

――今作に向けての曲作りには、ツアー中からすでに着手し始めてたんですか?

ジョー:
うん。僕らはライヴの後にパーティするより、クリエイティヴな日常を楽しむほうだから。


チェスター:最終的にアルバムに収められてるのは12曲(厳密にいえば、クレジット上はイントロダクションを含む全13トラック)だけど、これは実に80曲ものなかから絞りこまれたものなんだ。他の68曲に打ち勝った曲たちっていうだけでも、なんか説得力あるだろ(笑)?

――確かに。しかもアルバム全編通しても40分に満たないコンパクトさ。まさに一気に聴けちゃう感じのスピード感と密度の濃さですね。

チェスター:
まさにそういうアルバムにしたかったんだ。2、3曲だけめちゃくちゃカッコ良くて、あとは“つなぎ”みたいなアルバムってあるじゃない? 間違ってもそういうものにはしたくなかった。確かにビートルズピンク・フロイドは“8分間の名曲”みたいなものをいくつかカタチにしてたと思う。でも人間の集中力なんて、そんなに持続性の高いもんじゃないと思うんだ。僕らはすべての曲にインパクトとパワーがあって、何かひとつ終わった瞬間にもう次の何かが始まってるような、そんなアルバムを作りたかった。聴いてて“あ、次の曲は早送り”なんて気分にならないやつををね(笑)。でも、まさか自分でも『ハイブリッド・セオリー』以上に短いアルバムになるとは思ってなかったけど(笑)。

――楽曲がすごくヴァラエティに富んでいて、ラップ・パートやヘヴィなギター・サウンドのない曲すらあるのに、どれもが“リンキン・パークらしく”聴こえること。その事実に僕は驚かされたんですが。

ジョー:
いいとこに気が付いたね(笑)。

チェスター:ああ、嬉しい指摘だね。僕らは『ハイブリッド・セオリー』と同じアルバムを作りたかったわけじゃないからね。いろいろと手を広げながら、なおかつ焦点を絞ってみたかった。だからきみの言ったようにマイク(・シノダ)のラップがない曲もあればギター・リフが主導権を握ってない曲もある。ストリングスも導入したし、ピアノも、アコースティック・ギターも、尺八のサンプリングも……メロディを際立たせるために有効だと思えるものはなんでも使ってみた。アルバム作りって、バンドにとって常に“挑戦”であるべきものだと思ってるしね。

――ちなみに尺八の音色を使ったのは誰の発案?

ジョー:
アルバムにまつわるすべてのアイディアは、この俺サマのなかから出てきたものさ……というのは嘘で(笑)、ホントはマイクが思いついたんだ。日本の血が流れてるよなあ(笑)。

――日本といえば次の来日公演はいつ頃になるでしょう?

チェスター:
まだなんとも言えないけど、1日も早く帰りたいな。日本での経験はホントに素晴らしかったからね。

ジョー:そういえば、俺たちのオープニングに出てくれた宇頭巻は元気にやってる?

――ええ、もちろん。それにしても、アルバム発表後は、またまたエンドレスなツアーの始まりってことになりそうですね。パパになったばかりのチェスターは家庭が恋しくなっちゃうんじゃないですか?

チェスター:
そこは心配ご無用。すごくありがたい話なんだけど、次のツアーでは、アメリカ国内に限っては僕の家族専用のバスを同行させることになってるんだ。さすがに国外まで連れまわすにはまだうちの息子は小さすぎるけど、少なくとも全米ツアーの間は寂しい思いをしなくて済むってわけ。ある意味、『ハイブリッド・セオリー』の成功が僕にもたらしてくれた最高のものがそれってことになるかもな(笑)。

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