『Jump Back The Best Of The Rollong Stones '71-'93 』 東芝EMI TOCP-53227 2002年03月27日発売 ¥1,950(tax in) 1 Start Me Up 2 Brown Sugar 3 Harlem Shuffle 4 It's Only Rock & Roll 5 Mixed Emotions 6 Angie 7 Tumbling Dice 8 Fool To Cry 9 Rock And A Hard Place 10 Miss You 11 Hot Stuff 12 Emotional Rescue 13 Respectable 14 Beast Of Burden 15 Waiting On A Friend 16 Wild Horses 17 Bitch 18 Undercover Of The Night | 『Goddess In The Doorway』 東芝EMI VJCP-68350 2001年11月12日発売 2,548(tax in) 1 Visions Of Paradise 2 Joy 3 Dancing In The Starlight 4 God Gave Me Everything 5 Hide Away 6 Don't Call Me Up 7 Goddess In The Doorway 8 Lucky Day 9 Everybody Getting High 10 Gun 11 Too Far Gone 12 If Things Could Be Different 13 Brand New Set Of Rules | | 「連中とはいつもそんな感じだよ」 Keith Richardsは宣言する。「うまくいってなきゃ、撃ち殺してやるまでさ、ハッハッハッ!」 その表情とほとんど同様に荒々しい彼の笑い声は、まるで薄汚い老人が首を絞められて死にかけているときのように(これが私に表現できる最も近い形容だ)聞こえる空咳へと変化していった。私たちはミュージシャン一般、とりわけ極めて有名なバンド仲間との付き合いについて話していたのだが、途中で誰かがドアをノックしたために中断された。 「ちょいと待っててくれよな」とKeithは正調コックニー訛りで言う。「誰か来たみたいだぜ」 Keithは彼らを中に通すと、ニューヨークのKeith邸の地下にあるスタジオに行くようにと指示して、もう少ししたらそっちへ降りて行くと約束した。 ソロ・アルバムだろうか? Keithは語ろうとしないが、制作が進行中だという噂が昨年の初めから囁かれていた。だが'2001年の秋にリリースされたソロ・アルバムは、バンドメイトのRonnie Wood (このRolling Stonesのギタリストによる6枚目のソロ作品『Not For Beginners』は批評家の絶賛を集めた)とMick Jagger(フロントマンの4枚目のソロ・アルバム『Goddess In The Doorway』は批評家にこき下ろされた)によるものだけで、Keith Richardsは(9月11日のテロ事件後の公式コメント“お互いに思いやりを持とう”を除けば)Hank Williamsのトリビュート・アルバムに参加しただけだった(「俺はカウボーイが好きなんだ!」とKeithは高笑いした)。 実際のところ彼はX-Pensive Winos、Blondie Chaplin、George RoceliそしてStonesの長年の仲間であるBobby Keysといった多彩なミュージシャンと何カ月間も地下スタジオで作業をしていたにもかかわらず、その間もマネージメント側は、Keithが'88年(Mickのソロ活動開始から3年後)にスタートさせたソロ活動に新アルバムを加えることを検討しているという話を否定し続けていた。 Keithは、Rolling Stonesの一員としての自分という点では、これまでと変わらずに自身のことを話し続けてくれる。 「各メンバー個人がどんな演奏をするかはたいして重要じゃない。全員一丸でぶつかることさえできれば、勝利の瞬間は確実なものとなるんだ」とKeith。 これはかつてMickが私に説明してくれた“ギャング集団みたいなバンドのイメージを継続させるもの”と同じことである。何故なら、たとえばKeithと同じく来年には60歳を迎える(信じられない話だが)Mickが「成長するのは本当に重要なんだ。残りの人生をずっと、ポケットにボトルを入れた10代のギャング連中と同じように、ギターを抱えて走り回るなんてことはできないよ。そんなことは50歳を過ぎていればもちろんだが、30歳を過ぎれば誰でも似合わないさ」と言えるような状態になったとしても、彼の相棒は肉体的な外見は別にしても、ギターを抱えて眠り、ツアー生活に明け暮れるエイジレスなロックンローラーの権化として生き続けることだろう。そして彼のお気に入りのロックンロール・ロードバンドがStonesなのだ。 かつてKeithはツアーに出たがらない他のバンドメンバーを説得する側の立場だったが、今回はそれほど長く待つ必要もなさそうだ。というのもMickのソロ・アルバムが(スター総出演の1時間ドキュメンタリー「Being Mick」を含む、大規模な宣伝・広報キャンペーンにもかかわらず)セールス的に大失敗に終わったため、ソロ・ツアーへの需要がそれほど見込めないためである。さらに重要なことに、2002年にはMickとKeithに老齢年金受給資格が与えられるのはもちろん、もうひとつの大きなアニバーサリー('62年7月12日、Rolling StonesがロンドンのクラブMarqueeでデビューを飾ってから40年)を迎えることから、Stonesが盛大な祝宴を催すことは確実視されているのだ。 Keithは、Mickの最新アルバムについての自身の見解に考えが引きずられることはなさそうだ。Mickが3枚目のソロアルバムを作ると決めたときに“どうして自分には友達がいないと思うんだい?/おまえはまわりのみんなを屈服させているんだ/今度もダイスを投げたいのか?/これまでに2回も失敗しているというのに”という辛辣な歌詞を彼に書かせた不和の時代から、すでに長い年月が経過している。2人の関係はKeithの意見では良好である。もちろん彼らは本質の部分では異なっているのだが、パートナーシップは機能しているという。たとえMickが周到な準備とリハーサルを望むのに対して、Keithがもっと成り行きまかせのライヴをやりたがっているとしても。 「そこが論争のタネなんだよな、ハッハッハッ!」とKeithは笑う。 「俺たちはずっとそれに決着を付けようとしているんだ、今でもね! だけど、それがうまくいく秘訣なのかもな。Mickと俺はいまだに頭を悩ませている。だってアイツはいつでも“あれはどこ? これはどこ?”って何でも知りたがるし、こっちは“やってみなくちゃわからんよ!”って感じだからさ。俺は知らないほうが好きなんだ、ひらめきを大事にしたいからね。俺たちが曲を作るときにはたいてい、俺が“ビートはこんな感じで、ウン、ウン、それでサビはフーン、フーン、フーン、フーン、タンブリング・ダイス”って感じだ」 ここでKeithは「Satisfaction」をタイトル部分以外は歌詞なしで歌い始めた。 「そのあとはMickが引き取って完成させてくれる。俺が何を言いたいのかをアイツはわかってるからな。僕は出だしと決めの部分だけ考えて、真ん中のところはみんな彼がやってくれる。Mickは本当に素晴らしい歌詞を書いてくれるよ」 実際のところ、彼らはニューアルバムの曲作りのプロセスをどのようにスタートさせるのだろうか? 「決まったやり方はないよ。朝起きて、お茶を飲んで、朝食をとって、それから“さあ曲を書くぞ!”という感じじゃないね。タバコを吸いながらホラ吹き話をして、誰かが何かを言ったときに、突然テーブルから飛び上がるのさ。みんなは“アイツどうしちゃったんだ?”って驚くけど、急いで駆け出して誰かが言ったことを書き留める。それからその紙切れをなくして、1週間とか1カ月とか経ってから見つけ出して、“うん、悪いアイディアじゃないな”ということになる。曲作りを始めたら、物事の観察者になってしまうんだ。どういうわけだか人の言うことや、言葉のフレーズに耳を傾けることに敏感になっていくのさ。テーマを探して聞き耳を立てているからだろうな。つまり画家やあらゆる物書きも同じだと思うね。知らず知らずのうちに、感覚を鋭く研ぎ澄ませているんだよ」 「アンテナが上がっているかぎり、発信することもできるんだ。いつでもおっ立てて いなくちゃ、姉ちゃん。立派なヤツをな!」 新たな曲作りのために地下のスタジオに向かう準備をしながら、Keithは窒息しそうな声で笑った。「ハッハッハッ!」 By Sylvie Simmons/LAUNCH.com | |