依存する愛か、自己中心の恋なのか。

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依存する愛か、自己中心の恋なのか。

一度惚れてしまったが最後、嫌われようが何だろうが、相手へとことんまで依存していく女性。
でもその反面、彼女は自己中心/自己完結型の性格も内包していた……。

依存/主張という相反する性格を、自身の心の中へ囲っている、“精神的二重人格者、勝野慎子”。

彼女の3rdマキシシングル「いやな予感」には、そんな純情/屈折した“"勝野慎子の恋愛観”が、赤裸々なまでに描かれている…



3rdマキシシングル「いやな予感」

日本クラウン CRCP-55 1,050(tax in)発売中

1.いやな予感
2.大人になること










何事も前向きに考えないタイプなんですよ





“いやな予感”ほど強い女性じゃないんです





勝野慎子本人からロンチメンバーへ
コメントが届いています

――「いやな予感」には、慎子さんらしいと言うべきか、好きになった相手へとことん依存してしまう、“都合のいい女”風の世界が描かれてますね。

勝野:
前作のシングル「リラ」も、今回の「いやな予感」も、基本的に(歌詞が)後ろ向きですよね。私の場合、日常生活がと言うか、物事を考える根本が後ろ向きだから、自然とそうなってしまうのかも知れないです。

――前向きに考えることはないんですか?

勝野:
何事も前向きに考えないタイプなんですよ。たとえば、スーパーのレジで、叔母さんが勝手に横入り(割り込み)すると、口では何も言わないくせに、心の中で「呪ってやる」とか呪いをかけてますからね(笑)。ある種、紙一重まで行くくらい後ろ向きな性格なぶん、たまに後ろ向きすぎて裏っ返ってしまったり。逆にそれが、前向きな生き方に繋がったりもしてます(笑)。

――慎子さんの歌詞からはいつも、「棄てられても何でもいい。とにかく私はあなたのことが好きなのよ」という、好きになった相手に対する"強い恋愛依存心"、そして依存してる自分を客観的に見て楽しんでる“
自己中心的な性格”との、相反する二面性が見えてくるんですよ。まさに"1曲の中で、前向きさと後ろ向きな自分が交錯"してるような。

勝野:
けっこう“優柔不断”と言うか“移り気”なんで、自然とそうなってしまうんでしょうね。たとえば夜中3時頃に、楽曲のことでアレンジャーやエンジニアの人に相談したいと思うじゃないですか。でも深い時間だから、「寝てるかも知れない、こんな時間にかけちゃ非常識かな」と思いつつも、やっぱり電話したい自分がいるんですよ。本心では電話したいのに、妙に気を遣ってしまうばかりに、「立てた鉛筆が前へ倒れたら“起きてるから電話をする”。後ろへ倒れたら“寝てるから電話をしない”」と決めて、鉛筆倒しとかするわけですよ、夜中に一人で(笑)。それで鉛筆が後ろに倒れた時には、「今のは重心がズレてたから、もう1回」なんて、勝手な理由を付けては、やり直したり(笑)。もぉ~自分の気持ちの中では、「電話をする」と決めてるのに、往生際が悪いですよね(笑)。歌詞にしても、良く言えば“気持ちが揺れてる”ってことなんでしょうけど。根本的には、私の“優柔不断な性格”が詞に反映されてるような気がします。

――そうかぁ、この優柔不断な性格が、「いやな予感」の中での、振り子のように両極端な気持ちへ揺れ動いてしまう姿の原因だったんですね。

勝野:
でも素顔の私の場合、「いやな予感」ほど強い女性じゃないんです。当然、詞というフィルターを通して、自分という人間性を出してる部分はありますけど。同時に、"自分もそうなりたいなぁ"という憧れとして書いてる部分もあるんです。それこそ「リラ」では、<このままあなたを殺してしまおう>と、強気なことを言ってるけど。実際には、(好きな人の前で)ヘラヘラしちゃうタイプなんです。だからこそ“殺してしまうような人にいっそなってみたいな”という、憧れの気持ちで書いているんでしょうし…。

――もしや慎子さんって、相手へ依存すると同時に、勝手な想像や妄想のもと空回りして、自己結論を導き出してしまうタイプ?

勝野:
そう。相手に対して何かを求めるんじゃなくて、自分が勝手に苦しくなる。たとえば、相手に対して、「なんで会ってくれないの?」とか「この間、女の人とご飯を食べてたよね」ということは、あまり気にならない。それよりも、自分で勝手に落ちていき、「なんで私のようなダメな人間を相手にしてくれるんだろう…!?」「きっと何か裏がある!!」とか。「こんなダメな私に対して、こんなに良くしてくれる」「なんか迷惑かけまくってるから、いっそ居なくなった方がいいかな」など、どんどん悪い方向へ考えていっちゃう。普通だったら、「私はダメな人間だから、彼にピッタリ合うように、自分に磨きをかけよう」って頑張るはずなのに、どんどん逆へいっちゃうんです…。しかも、それを楽しんでる自分がいたりもするし(笑)。

――なんか、もの凄い性格してますね。

勝野:
でも、その渦中にいたら、もっともっとワケのわかんないことを書いてしまうと思うんです。この「いやな予感」にしても、今は楽しい状態だからこそ、つらかった当時の自分を冷静に見ながら、こうやって(依存する女性の本音を)書けるんでしょうしね。

取材・文●長澤智典

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