| ――ついに、1stマキシ・シングル“カクシゴト”を発売し、デビュ-を飾りましたね。 「はい。だけど私自身は、インディ-ズ盤として出した1枚目デビュ-作であり。今回が、2枚目の作品という感覚なんです」 ――慎子さん自身の表現してる音楽には、インディ-ズ/メジャ-という境界線など、まったく関係ないですもんね。 「そう。『こういうの作って』と言われても器用じゃないぶん、そんなの作れないし。だから周りが何を言おうが関係ないって言うか。私の場合、楽曲と言うのは、自分の身を削っていかないと出てこないものだから」 ――確かに作品を聴くと、血肉を削って書いてる想いは、しっかり伝わってきます。 「(本気の)想いなんて、そうそう簡単には浮かんでこないものですよね。だからこそ、1g 300円でグラム売りしてるんです(笑)」 ―― 100gで30,000円、かなり上質な肉じゃないですか(笑) 「けっこういい肉だよね(笑)。でも、値段がどうこうじゃなくて、それくらい身を削って書いてるものってことだから」――慎子さんって、女性の赤裸々な本音の感情を、真正面からド-ンと記してくるじゃないですか。その強烈な想いの塊には、正直圧倒されました。 「きっと男性側から見た場合、『こういう重い(感情の)女とは付き合いたくないな』とか、『もっとサラッと流してよ』と、思ってしまうかも知れないですね(笑)。逆に女性のほうが、感情をえぐってる分だけ入り込んで聴いてくれる比重は高いみたい。ただね、自分でも詞や曲を作ってる時の姿は、目を伏せてしまいたいくらい凄まじいんですよ」
――えっ、それってどういうこと? 「妙な言い方ですけど、楽曲を作ってる時の私って、何かが取り憑いちゃってますってくらい、感情的にも。白目を剥いて作ったりという表情的にも、かなりイッちゃってるんです(笑)。だから、一度作り終えた楽曲だって、多少時間を置き、冷静になった自分が、熱くなってる時の自分の感情を客観的に見つめ直してく形で、作り直してる。それこそ鶴のハタ織りじゃないけど、『作ってる最中は誰も覗かないで』って感じ(笑)」 ――ライヴでも、歌ってる時はイッちゃってるんですか? 「はい(笑)。歌ってる時は、もう完全に入り込んでるから、怖い表情をしてるらしいんだけど。MCになると、素のおしゃべりな私に戻っちゃう。よくTVに、『えいっ!!』とか祈祷し終えた後に、真顔で『こんなん出ましたけど』って言う人が出てくるじゃないですか。ライヴの時の私は、そんな感じ(笑)。そのギャップに、みなさん驚きますけど、あまりギャップのない方が普通はいいんですか?!」 ――いや、その姿が慎子さん自身なんだから、それでいいんじゃないですか?! 「私ね、口数多いほうなんですけど。それも、自分が頭の中で伝えたいことを上手く伝えられないぶん、余計にいろんなことをしゃべっちゃうからなんです。だけど詞にすると、なぜか伝えたい想いをストレ-トに言えたりする。"カクシゴト"は、私の心の中の想いと言うか、私の実体験をそのまま詞にしてるんですけど(笑)。他にも私の場合、架空の主人公を作って、その主人公の行動や想いに、普段の自分じゃ言えなかったり、出来ないことを、すべて投影させて書く場合があるんです。なんか、そうやって言葉に記すことで、ようやく自分の中のモヤモヤとした想いが吐き出せると言うか……。だから私は詞を書いたり歌ったりしてるんでしょうね」 ――もしや慎子さんって、恋愛に関しても自分の想いを素直に言葉や行動に表せないほう? 「そう。言いたくても、相手のことを考えて言えなくなっちゃう場合と。自分が話べたなので、上手く伝わっていかないどころか、何を考えてるのかわからないと思われちゃうという、二つの原因がありますけど(笑)」 ――それって、内心とっても熱い感情を持ってるんだけど、それを上手く発揮出来ず、逆に表情の見えにくい人に思われてしまったりということ? 「かも知れないですね。中身は熱いんだけど、皮は冷たい。なんか"天ぷらアイスの逆"みたいなものかも(笑)」 ――天ぷらアイスの逆……なるほどなぁ(笑) 「私、けっこう弱い人間なんですよ。ちっゃい頃から、友達どころか、親に対しても、相手の顔色を気にしてしまい、本当のことが言えなくなってしまう性格だったんです。だって小学生の時なんか、通知表に『慎子さんは、日向陰のある性格です』って先生に書かれ、親に怒られたこともあるんですよ(笑)。だけど、その出せなかった気持ちを、歌にする手段を覚えてからは、気持ちを発散する術を得られたおかげで、精神的には本当に楽になれた。とくに今までは、無責任なほど自分の願望のみを歌に込めて、自分を押し出してた。だけどこれからは、そうもいかないような気がしてるんです」 ――と言うと? ……to be continued(第二弾インタヴューに続く!) 取材・文●長澤智典 |