【連載】vistlip 海の「裏側の観え方。」#6 インイヤーモニター

いやーツアー＜vistlip 10th Anniversary Tour「Encounter the Phantoms」＞が終わりました。そしてその後にあった怒涛のライブやらなんやらも終わり、やっと少し時間をとれました。遅くなりました。今年も終わりますね。相変わらず早い一年だ。

◆海 ライブ画像

今回の裏側はリクエストというか、これが知りたい、書いて欲しいというご意見を頂きましたので、ライブで使ってるインイヤーモニターについて、です。まず、インイヤーモニター（以降略称、IEM）とは一体なんぞや？って方もいらっしゃる、というか多いと思うのでそこの説明を。

これです。これ僕のです。Westone カスタムIEM ES50。


左右でデザイン変えてあります。片方はwyse月森氏にデザインしてもらったピックのデザインと同じ。内側も左右非対称にしたらどっちが右か左かすぐわかるかなって思ったものの、どっちがどっちだかよく間違える。


それをこの送信機でワイヤレスで飛ばして聴いてます。


すごい簡単に言えばイヤホンなんですが、いわゆる普通のイヤホンとは全くの別物です。これでライブ中に自分が聞きたい音をワイヤレスで飛ばしてもらって聴きながら演奏しています。

まず見た目からして特殊。ちょっと見慣れない形してるでしょ。これは自分の耳の型をとってもらってその形で作ってもらってます。要するに完全にオーダーメイドです。なのですごいぴったりハマって密閉性がかなりあります。外からの音の影響を受けないくらいに。カナル型って言われてる耳に突っ込むタイプのイヤホンも結構耳栓っぽい効果あると思うんだけど、あれの比じゃないくらい聞こえない。付けっ放しだと会話不能。

このWestoneってブランドのイヤホンは、本体から更に伸びて耳の中に突っ込む部分がシリコンで出来ていて、体温で温まって少しだけ柔らかくなります。なので口を開けたり首を動かしたりして少しだけ出来る耳の内部の変化も全然平気です。これが本当にすごい。つけ心地が全然違う。

WestoneのIEMを使うまでは正直IEMは好きじゃなかったし、作る気も起きなかった一つの大きい要因が着け心地の違和感、不快さでした。マイクも使うし結構激しく動き回るので、割とそれによって生じる耳の中の変化に、今まで試した他の製品は対応してくれないなって印象を持っていたんだけどね。こいつは違うんだよねー。


そして違うのは見た目もなんだけど何より中身です。まずなんというか根本的に構造が違います。ドライバってのが違うんだけど、ドライバってのはいわゆるスピーカーの事です。普通の市販されてる一般的なイヤホンはダイナミックドライバって方式で、簡単に言えばその一つのスピーカードライバで全部の音鳴らすぜ！って物です。厳密に言うとちょっと違うんだけど。

大きい方が音が良いから、イヤホンよりヘッドホンの方が音が良い事が多いし高い物も多い。

で、カスタムIEMは大体がバランスドアーマチュアドライバというドライバ方式の物が入っててこれが凄い繊細に音を再現してくれてます。でもこのバランスドアーマチュアってのは苦手な物もあって音域が狭いらしいんですね。なので一つのイヤホンに複数の違うチューニングされたものが入ってて一つは低音域、一つ中音域、もう一つ高音域、みたいな感じになってます。

因みに使ってるES50は5個入ってますね。贅沢。これはパートにもよるしその人が聴きたい音像によって数も種類も好みが別れると思います。僕もYuhも5個のモデルが一番しっくり来たけど瑠伊は6個モデルが一番良いって言ってたな。BAROQUEのサポートとかやってるケンゾは3個のモデル使ってたんじゃなかったかな。


かなりクリアに聞こえるけど臨場感も凄いあるんだよねこれ。篭ってもいないけど硬い音でもなくて。これだけはなんて伝えれば伝わるのかわかんないなあ。でもそれがWestoneで作ろうと思えた一番の理由。6個ドライバのと迷ったけど6個の方が音の明瞭度が高くて必要以上に感じられて、5個ドライバを使ってるけど8個ドライバのモデルをちょっと試したいなって最近思ってます。

で、そのイヤホンの中で自分がやりやすい状況、それこそステージのどこにいても欲しい音がある状況を作ってもらってます。自分の耳に貰ってる音は、スタッフいわく割とまんべんなく聴きやすいらしいです。内訳はこんな感じ。

・右耳から自分のギター
・左耳からYuhのギターとクリック（メトロノームみたいなもんです）
・真ん中より少し左寄りにベース
・真ん中の奥の方にドラムと智の声
・更に少し奥に会場の声を集音してるマイクの音
・真ん中の手前側に自分の声

ざっくりこんな感じにしてもらってます。満遍なく聴ける様にリハーサルで音の調整しても、会場に人が入ってくると音が変わってきたりするので、その時はMC中とかにスタッフに頼んで都度調整。たまにMC中スタッフと話してたり袖にいなくなる時はその微調整の話しをしてたりします。

こんな感じで伝わるかなー。裏側ってより中身って感じの内容だったな今回。次回はね、作曲に関して書いてくれってリクエストがあったんですが…実は今作曲しておりまして。丁度良いからそれかなー。それでは良いお年を。






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