【レポート】vistlip、FC限定公演＜secret ballot 〜君に頼まれたもの〜＞で怒涛の2024年ライヴ納め

vistlipが12月19日、池袋EDGEにてファンクラブ“V.I.P. LiST”限定ライヴ＜secret ballot〜君に頼まれたもの〜＞を開催した。2024年のライヴ納めとなった同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆vistlip 動画 / 画像

2024年は、初頭からさまざまなコンセプトを設けたライヴを企画し、9月から10月にかけて約1年半ぶりのワンマンツアーほか、対バンイベントにたびたび出演するなど多くの公演を行ってきたvistlipだが、その1年を締めくくるものがファンクラブ限定スペシャルライヴだ。

“ファンクラブ限定”と名のつく催し物は、バンドのコアなファンが集う場だからこそ、通常のライヴやイベントに比べてマニアックな内容に特化したものとなる傾向が強い。例えば、直近に行ったファンクラブ旅行は＜びすとり学園 林間学校＞というタイトル通り“学園”をコンセプトとしたものとなっていたが、このように普段とは違うメンバーの一面を見られることも醍醐味だ。

そこで今回のファンクラブ限定ライヴは、間近に迫ったクリスマス要素に加え、ファンからのリクエストをもとにしたセットリストを用意。公演タイトルの＜secret ballot〜君に頼まれたもの〜＞は過去にZONEの楽曲「secret base〜君がくれたもの〜」のカヴァーを行ったことがあるのをきっかけに、リクエスト＝頼まれたものということから名付けられたという。

ライヴは、クリスマス感満載で幕を開けた。イルミネーションさながらに装飾が施されたステージへ、メンバーカラーのサンタ服に身を包んだ智、Yuh、海、瑠伊、トナカイ姿のTohyaが、ステージへ登場するやいなや、オーディエンスは歓喜に沸き、オープニングを飾ったのは「Merry Bell」。これは2013年12月25日に行ったクリスマスライヴにて配布されたCDに収録されており、メンバー全員が代わる代わるボーカルを取るという特別な楽曲からスタートすれば、早くもvistlipが演出するクリスマスが完成した。

しかし、当初クリスマス要素については想定外だったそうで、智曰く「今年最後のライヴだから、クリスマスにちなんだ曲もやってあげたかった」ということもあり、結果ファンにとっては嬉しい演出となった。以降、リクエストセクションで披露された楽曲はシーズナブルなものを交えながら、リクエストならではの演奏される機会が少ないレア曲が多数登場した。

通常よりも多めに用意されていたMCタイムでは各曲にまつわるエピソードトークを挟みつつ、ファンクラブ限定ライヴ特有のアットホームな雰囲気でライヴは進行。リクエストセクションにて披露された曲は一際歓声が上がった「Arrythmia」まで全13曲に及び、その後のラストスパートはvistlipのライヴにおけるキラーチューンを盛りだくさんに畳み掛けるという、なんとも贅沢な一夜となった。なお、本公演は当初のチケット応募の段階から予定枚数をバーストしていたこともあり、ファンクラブ会員の中でもプレミアムチケットと化していた。

先述した通り2024年はさまざまなライヴを行ってきたvistlipだが、ファンクラブ限定ライヴといえどライヴのアプローチにはまさに1年の集大成といった見応え聴き応えを存分に発揮。そして、それを作品として昇華させたのが、年明け早々の1月8日にリリースされる2年10ヶ月ぶりのフルアルバム「THESEUS」である。

さらにフルアルバムを引っ提げた＜ONE MAN TOUR［Ship of Theseus］＞を東名阪にて開催することも決定している。これに触れていた海のMCによると、「大阪、名古屋公演はライヴハウスならではのもの。東京は、会場常設のLEDも駆使して一味違うものになる」ということと、東京公演は1月に誕生日を迎える智とTohya(通称：センターライン)のバースデーも込めた内容を考案しているということもあり、3公演それぞれに見どころがあるライヴとなることは必至。フルアルバムの発売、そしてワンマンツアーを通し、新たな年を迎えるvistlipが“テセウスの船”というテーマをいかにバンドとして展開していくのか、期待が高まるところだ。

取材・文◎平井綾子