隼人加織、1stアルバム『pluma』特集 インタビュー
隼人加織(以下、隼人):高校の3年間はORHAとして地元の富山で活動してたんですが、2年前に上京して、その間はオールディーズやジャズなど、いろんなジャンルの音楽を歌ってみたりして、自分探しのようなことをしていましたね。
隼人:これからも自分探しは続けていきたいんですけど、少なくとも今の自分がやりたい音楽は見つけられたと思うんです。もちろん、これからどんどん変化していくとは思うんですが、現時点で“こっちの方向なんだな”っていうのは見つかりました。音楽のことだけではなく、無理しないで“自分らしい”っていうことをそのまま出すのが大事なんだなって。ありのままの自分を常に大事にしていこうって。それが私がこの何年かの間で、ひとつわかったことなので、そこをベースにやっていきたいなと。
隼人:はい。私の父は日本人ですが、母はブラジル人なんですね。そのルーツをまず大事にして、その上で自分がどういう風に表現するのか、表現できるのかっていうことを無理せずに出したかったんです。無理矢理ブラジルの要素を入れ込むっていうことではなく、にじみ出た部分だけを使って、ひとつひとつの曲に込める。それをひとつのアルバムとして作ったんです。
隼人:それは嬉しいです。もちろん私も原曲を知ってますが、歌うからには自分のものにまで落とし込んで、そこから歌ってるんで。そうすることで、原曲を知って聴いている人が、原曲に対しても新たな見方ができると思うし、知らない世代の人たちも原曲を知るきっかけになるのかなと思います。そこも一切無理はしてないし、真似しようとも思わず、自然体で歌いました。
隼人:もちろんですね。人に“そのままでいいんだよ”って言われても、自分の実感としてわからないとダメじゃないですか。時間と共に、“そうか、私の色ってもともとないんだ”と。あえて、こういう方向性、こういう生き方って限定するって、すごくくだらないことだと思って。だからあえて、どっちにも転べる、どんな風にも変われる水みたいな多様性がある感じが“ありのままでいる”って言うんじゃないかと。水って、どんな器に入れてもその形に収まりますよね。リラックスしてナチュラルであればあるほど、そういう風にできるんじゃないかなと。
隼人:そうですね。今回カバーをやってみて、改めて自分で気づかされたことでもありました。私が見ても素敵だと思う人や、カッコいいって思う人は、結局無理はしてなかったりするんですね。肩の力が抜けている人が魅力的だし、音楽もそうあるべきだと思うんです。もちろんロックとかは強く主張したり、突っ張ったりするのはカッコいいですが、私がやっていく方向性は飾り付けていくのではなく、服を一枚ずつ脱いで行くような作業なのではないかと思います。