過去と今をつなぐプログレバンド、ポーキュパイン・ツリー来日決定
すでに15年のキャリアを持ち、卓越したセンスと演奏力を武器にアメリカ、ヨーロッパで絶大な人気を誇るプログレッシブ・ヘヴィ・ロックバンド、ポーキュパイン・ツリーのライヴDVD『Arriving Somewhere...』が発売された。これは2005年にシカゴで行われたアルバム『DEADWING』のツアーライヴを収録したもの。キング・クリムゾンのロバート・フリップも認める本格的なプログレッシブ・ロックで、ヘヴィなエッセンスと洗練されたメロディが絡み合い、独自の音楽世界を形作っている。
7月にウドー・ミュージック・フェスティバルでパフォーマンスを行ったが、11月には単独での来日公演が決定。なおかつ、ロバート・フリップがスペシャルゲストとして参加するという。プログレ・ファンには見逃せない公演になりそうだ。
そのポーキュパイン・ツリーを率いるスティーヴン・ウィルソンにインタヴューを敢行。じっくり読んでみてほしい。
――日本の初ライヴ(ウドー・ミュージック・フェスティバル)はどうだった?
スティーヴン・ウィルソン(以下スティーヴン):僕たちポーキュパイン・ツリー(以下PT)を観るために来てくれた人もずいぶんいたようで感動したよ。曲を覚えていて一緒に歌ってくれていたのもわかったし。これがPTの日本でのスタートになったわけだけど、これなら今後にも期待が持てると思ったよ。
――日本でのデビュー・アルバムとなる『DEADWING』を紹介して。
スティーヴン:友人と一緒に作った映画の脚本をもとに、そのストーリーから歌詞を書くことを思いついて、それでこのアルバムができた。この映画は精神を病んだ男が主人公で、ストーリーが進むにつれ、どういう経緯で彼がそうなってしまったのかを過去に遡って解き明かしていくんだ。アルバム・タイトルの『DEADWING』というのは「死の翼」とか「飛べない鳥」という意味で、この映画の中で主人公を象徴する言葉として出てくるものなんだ。すべて映画のイメージからインスパイアされて生まれたアルバムだよ。
――前半がパワフルでストレートなロック、大曲の5曲目を挟んで後半は重くダークな色合いという構成は、映画のイメージの反映?
スティーヴン:これは映画のストーリーとは関係なくて、単にアルバムの中での曲順の配置を考えた結果だ。前半にはわかりやすい曲を持ってきたほうが“ツカミ”としていいというのが僕の考え方の基本。今回はダイナミックでパワフルな「DEADWING」を1曲目に持ってきた。これが10分ある大曲だから、次はキャッチーで短い曲を3曲。短いのが続いたからその次はアルバム中一番の大曲、これを真ん中の5曲目に入れた。この時点でリスナーの心をつかんでいれば、ここから先も聴いてくれるだろう? だから後半はPTらしい曲、僕らのホントにやりたいことを詰め込んだ曲を並べたってわけ。
――超ビッグネームのエイドリアン・ブリューもゲスト参加してるね。
スティーヴン:このバンドは色々なミュージシャンからも支持されているんだ。とくに僕らが子供の頃から聴いて育ってきたような偉大なミュージシャンからもリスペクトされているのが誇りだね。エイドリアンもその一人。エイドリアンが参加してくれたのは、お互いのマネージャーが偶然空港で会ったのがきっかけ。エイドリアンが僕らを大変気に入っているという話が出たので、それならぜひPTのアルバムで演奏してほしいと頼んだんだ。
――PT以外にも多数のプロジェクトをやっていますが、それぞれどう違う?
スティーヴン:僕の音楽的な好みはとても幅広いから、色々な音楽をやるために多くのプロジェクトをやっている。たとえばNo-Manというプロジェクトはオーケストレーションやエレクトロニクスなど多くの要素を含んでいる。雰囲気はロマンティックで、僕からロックの部分を排除したのがこの形。メロディもリズムもなく、アンビエントなものを追求するプロジェクトがBass Communion。そして少しはコマーシャル性があって3分のコンパクトなポップソングって感じなのがBlackfield。これらのプロジェクトはすべて僕の中でポジティブにクロスオーバーしていて、あるプロジェクトで見つけたサウンドを別のプロジェクトで使ったりすることもあるよ。
――9/27リリースのライヴDVDの演奏はすごいね。
スティーヴン:本編は2時間くらいのライヴ映像なんだ。これは去年のツアーのシカゴでのライヴを収録したもの。従来のライヴDVDとはちょっと違った編集になっていて、映像はカラーとモノクロの両方が出てくるし、音もハイファイな部分とローファイな部分がある。ここでも映画的なアプローチをしたというわけ。もちろんサラウンドミックスも使った。そのほかにボーナスディスクもあって、こっちはプロモーション用の映像とか、ドイツのTVに出たときの映像とかフォトギャラリーとか。あと、僕らはライヴではプロジェクターを使って映像を流しながら演奏するんだけど、そのとき使う映像も入ってる。
――今後の予定は?
スティーヴン:9月からはDVDのリリースに合わせたツアーに出るんだけど、そこでは次のアルバムの曲もやる。アルバムを作ってからツアーで演奏するのが普通なんだろうけど、そうするとツアーしていくうちにいろいろ直したくなったりするし、ライヴで演奏すると曲に新たな可能性が見つかったりすることがあるんだ。そういうライヴの経験を生かせば、もっといいものが作れるはずだ。だからレコーディングの前に新曲を演奏するんだ。新作のレコーディングは10月から始めるから、来年の春にはリリースできると思うよ。
●ライヴ・インフォメーション
キング・クリムゾンのロバート・フリップがサポートするジョイント・ツアー
11/27(月)名古屋 ダイアモンドホール
[問]キョードー東海 052-972-7466
11/28(火)大阪 Zepp Osaka
[問]キョードー大阪 06-6233-8888
11/29(水)東京 昭和女子大学人見記念講堂
[問]Creativeman 03-5466-0777
http://www.creativeman.co.jp/
●オフィシャルサイト
http://www.whd.co.jp/
7月にウドー・ミュージック・フェスティバルでパフォーマンスを行ったが、11月には単独での来日公演が決定。なおかつ、ロバート・フリップがスペシャルゲストとして参加するという。プログレ・ファンには見逃せない公演になりそうだ。
そのポーキュパイン・ツリーを率いるスティーヴン・ウィルソンにインタヴューを敢行。じっくり読んでみてほしい。
――日本の初ライヴ(ウドー・ミュージック・フェスティバル)はどうだった?
スティーヴン・ウィルソン(以下スティーヴン):僕たちポーキュパイン・ツリー(以下PT)を観るために来てくれた人もずいぶんいたようで感動したよ。曲を覚えていて一緒に歌ってくれていたのもわかったし。これがPTの日本でのスタートになったわけだけど、これなら今後にも期待が持てると思ったよ。
――日本でのデビュー・アルバムとなる『DEADWING』を紹介して。
スティーヴン:友人と一緒に作った映画の脚本をもとに、そのストーリーから歌詞を書くことを思いついて、それでこのアルバムができた。この映画は精神を病んだ男が主人公で、ストーリーが進むにつれ、どういう経緯で彼がそうなってしまったのかを過去に遡って解き明かしていくんだ。アルバム・タイトルの『DEADWING』というのは「死の翼」とか「飛べない鳥」という意味で、この映画の中で主人公を象徴する言葉として出てくるものなんだ。すべて映画のイメージからインスパイアされて生まれたアルバムだよ。
――前半がパワフルでストレートなロック、大曲の5曲目を挟んで後半は重くダークな色合いという構成は、映画のイメージの反映?
スティーヴン:これは映画のストーリーとは関係なくて、単にアルバムの中での曲順の配置を考えた結果だ。前半にはわかりやすい曲を持ってきたほうが“ツカミ”としていいというのが僕の考え方の基本。今回はダイナミックでパワフルな「DEADWING」を1曲目に持ってきた。これが10分ある大曲だから、次はキャッチーで短い曲を3曲。短いのが続いたからその次はアルバム中一番の大曲、これを真ん中の5曲目に入れた。この時点でリスナーの心をつかんでいれば、ここから先も聴いてくれるだろう? だから後半はPTらしい曲、僕らのホントにやりたいことを詰め込んだ曲を並べたってわけ。
――超ビッグネームのエイドリアン・ブリューもゲスト参加してるね。
スティーヴン:このバンドは色々なミュージシャンからも支持されているんだ。とくに僕らが子供の頃から聴いて育ってきたような偉大なミュージシャンからもリスペクトされているのが誇りだね。エイドリアンもその一人。エイドリアンが参加してくれたのは、お互いのマネージャーが偶然空港で会ったのがきっかけ。エイドリアンが僕らを大変気に入っているという話が出たので、それならぜひPTのアルバムで演奏してほしいと頼んだんだ。
――PT以外にも多数のプロジェクトをやっていますが、それぞれどう違う?
スティーヴン:僕の音楽的な好みはとても幅広いから、色々な音楽をやるために多くのプロジェクトをやっている。たとえばNo-Manというプロジェクトはオーケストレーションやエレクトロニクスなど多くの要素を含んでいる。雰囲気はロマンティックで、僕からロックの部分を排除したのがこの形。メロディもリズムもなく、アンビエントなものを追求するプロジェクトがBass Communion。そして少しはコマーシャル性があって3分のコンパクトなポップソングって感じなのがBlackfield。これらのプロジェクトはすべて僕の中でポジティブにクロスオーバーしていて、あるプロジェクトで見つけたサウンドを別のプロジェクトで使ったりすることもあるよ。
――9/27リリースのライヴDVDの演奏はすごいね。
スティーヴン:本編は2時間くらいのライヴ映像なんだ。これは去年のツアーのシカゴでのライヴを収録したもの。従来のライヴDVDとはちょっと違った編集になっていて、映像はカラーとモノクロの両方が出てくるし、音もハイファイな部分とローファイな部分がある。ここでも映画的なアプローチをしたというわけ。もちろんサラウンドミックスも使った。そのほかにボーナスディスクもあって、こっちはプロモーション用の映像とか、ドイツのTVに出たときの映像とかフォトギャラリーとか。あと、僕らはライヴではプロジェクターを使って映像を流しながら演奏するんだけど、そのとき使う映像も入ってる。
――今後の予定は?
スティーヴン:9月からはDVDのリリースに合わせたツアーに出るんだけど、そこでは次のアルバムの曲もやる。アルバムを作ってからツアーで演奏するのが普通なんだろうけど、そうするとツアーしていくうちにいろいろ直したくなったりするし、ライヴで演奏すると曲に新たな可能性が見つかったりすることがあるんだ。そういうライヴの経験を生かせば、もっといいものが作れるはずだ。だからレコーディングの前に新曲を演奏するんだ。新作のレコーディングは10月から始めるから、来年の春にはリリースできると思うよ。
●ライヴ・インフォメーション
キング・クリムゾンのロバート・フリップがサポートするジョイント・ツアー
11/27(月)名古屋 ダイアモンドホール
[問]キョードー東海 052-972-7466
11/28(火)大阪 Zepp Osaka
[問]キョードー大阪 06-6233-8888
11/29(水)東京 昭和女子大学人見記念講堂
[問]Creativeman 03-5466-0777
http://www.creativeman.co.jp/
●オフィシャルサイト
http://www.whd.co.jp/
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