大爆音とともに復活した王者の来日公演ルポ PART2

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お待たせしました! 後半のライヴレポです。

直前の混乱のおかげで、生のメタリカを眼前にすることに特別な感慨があった今回の来日公演。
南米ツアーのキャンセルの原因ともなった肩の怪我を微塵も感じさせなかったラーズ・ウルリッヒ(Dr)、
完全に病気から復活しファンを安心させてくれたジェイムズ・ヘッドフィールド(Vo&G)、
バンド参加後まだ日が浅いのに完璧なプレイを見せたロバート・トゥルージロ(B)、
ヒゲを剃りまたまた髪を伸ばし始めたカーク・ハメット(G)。
それぞれが再び一つになり、あのヘヴィでタフなメタリカが復活したのだ。
札幌、東京、名古屋、大阪を爆音とともに駆け抜け、
王者のあるべき姿を強くそして深く刻んでいった。

その感動感涙のライヴ写真が到着した!
ここでステージの模様を再現してみるので、あの日のように背筋に走る戦慄を感じてほしい。

18曲を演奏し終えた彼らは立ち去りがたく大量のピックを客席に投げ込んだ 

ーセットリストー
<11.06 @代々木第一体育館>
1.BATTERY
2.MASTER OF PUPPETS
3.HARVESTER OF SORROW
4.WELCOME HOME (SANITARIUM)
5.FOR WHOM THE BELL TOLLS
6.FRANTIC
7.SAD BUT TRUE
8.ST. ANGER
9.NO REMORSE
10.SEEK & DESTROY
11.BLACKEND
アンコール
12.FUEL
13.NOTHING ELSE MATTER
14.CREEPING DEATH
15.ONE
16.ENTER SANDMAN
17.LAST CARESS (MISFITS COVER SONG)
18.MOTORBREATH
最新アルバム

『ST.ANGER』
2003年6月9日発売
SICP-373~4 3,150(tax in)
「ST.ANGER」全曲のライヴ映像DVD付


1.FRANTIC
2.ST. ANGER
3.SOME KIND OF MONSTER
4.DIRTY WINDOW
5.INVISIBLE KID
6.MY WORLD
7.SHOOT ME AGAIN
8.SWEET AMBER
9.THE UNNAMED FEELING
10.PURIFY
11.ALL WITHIN MY HANDS

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2003年の主なニュースと来日までの顛末
その後のニュース
2003/2/26
メタリカのベーシストが、オジー・オズボーンのバック・メンバーだったロバート・トゥルージロに正式決定。

2003/6/3
アルバム『St.Anger』の発売日が、当初の6月10日から6月5日へと繰り上がった(日本発売日は6月9日)。

2003/6/12
アルバム『St.Anger』がビルボード初登場ぶっちぎり1位を獲得。日本でも発売以来5日連続でオリコン・デイリー・チャート1位。

2003/6/16
メタリカ、約6年振りの来日公演が決定。

2003/10/23
南米と日本ツアー急遽キャンセル。
ジェームズ・ヘットフィールド「レコーディングとツアーをノンストップで18ヶ月間続けてきたことで、バンドは体もマインドも疲れ果ててしまった」
カーク・ハメット「ツアーをキャンセルするのは、メタリカの22年の歴史でも初めての経験で、バンドも深く失望しています。4人で共通して持った認識としては、いま自分たちのケアをしなければ今後誰にもよい結果をもたらさないだろうというということが顕著だったから」

2003/10/27
日本公演正式決定
バンドメンバーの極度な精神的、及び肉体的疲労により、南米及び日本公演を中止と発表するも、「メタリカは公演を5年以上も待ち続けている日本のファンの期待を裏切る事はできない。メタリカは自己の精神的過度の疲労に打ち勝ち、身体的損傷は日本公演までに癒される」とのことで、当初のスケジュール通り公演を実施することが決定。

2003/11/6
東京・代々木第一体育館で日本公演がスタート。

200311/17
11/6代々木体育館で行なわれた来日公演初日のライヴ映像、メッセージ・ビデオ、新着PV「FRANTIC」をフル・コーラスで配信。
配信期間:11/17-12/25
詳細はメタリカ特集サイトhttp://www.sonymusic.co.jp/metallica/トップ・ページにアクセス。

2003/11/23
2004年年明けにオーストラリア最大のフェスティバル<BIG DAY OUT>にヘッドライナーとして出演が決定。
全ての画像と文章の無断転用を禁止します

アンコールはアルバム『Reload』からの「FUEL」で幕を開けた。そして「NOTHING ELSE MATTER」「CREEPING DEATH」と続く。コンサートの途中から感じていたが、アンコールになって猛烈な酸欠状態を覚える。この広い代々木第一体育館が、1万人の観客の興奮で埋め尽くされているのだ。そんな中で怒涛の演奏を繰り広げ、そしてそれに応えて咆哮する観客の実力も大したもの。すでに鼓膜は感覚を失い、平衡感覚がおかしくなっている。でも一瞬たりともステージから目を外すことはできない。ここには後世にも語り継がれるであろう歴史的な事件が展開しているのだから。



観客の目を惹いたのは、'80年代に戻ったかのようなカーク・ハメットのルックスもその一つ。
黒のスリムパンツにスニーカー、そしてタンクトップ、すべてが黒で統一され、髪を再び伸ばしヒゲもない! そして抱えるのは当然ブラックのESPレスポールとフライングV。ステージの右から左へと動き回り、汗だくになりながらあの手癖全開の高速ソロを弾きまくる。フットワークの軽さとワウを多用したヒステリックな音が、これぞカーク、という魅力で迫ってくる。予定調和を求めるわけじゃないが、やはり「こうでなくちゃ」というシーンに遭遇すると、身体全体が反応して自分の顔がほころんでくるのがわかる。


新加入のロバート・トゥルージロの存在感にも目を見張るものがあった。長いドレッドヘアーにアゴヒゲ、そして低く構えるは5弦ベース。前任者のジェイソン・ニューステッドとは違い、どっしりと腰を落として構え、ほとんどの曲を指で弾ききる。メタリカの真骨頂である重低音を完全に支配している姿にはすでに貫禄が感じられた。古いアルバムの曲でのラーズとのコンビネーションも全く問題なく、というより今まで以上に充実しており、彼の加入が今後のメタリカの大きなポイントになることは自明であろう。

アンコール4曲目は「ONE」。そしてメタリカ最大のヒットアルバム『METALLICA』のオープニングナンバーである「ENTER SANDMAN」につながる。ここでコンサートはもう一つのピークを迎えた。タイトでヘヴィなミドルテンポのリズムの繰り返しは、ヘッドバンギングで反応する観客の時間感覚を奪い去り、一種のトランス状態に陥いらせる。そして観客を興奮の坩堝に叩き込んだコンサートは「MOTORBREATH」で幕を閉じる。左のセットリストに注目してほしい。11月6日の公演では最新アルバム『ST.ANGER』からの曲は2曲。他は『LOAD』を除くすべてのアルバムから曲がピックアップされており、メタリカのヒットパレードといった感がある。やはり耳に馴染んでいる曲はコンサートでの盛り上がりも違うし、観客それぞれの思い入れもひとしお。6年振りの日本での公演、ジェイムズの元気な姿、新加入のロバート、最新アルバムのナンバー、昔のヒットナンバー、そして何よりも4人のパフォーマンス、すべてが素晴らしく充実していて、無敵の王者メタリカを堪能した公演だった。耳は破壊され、頭の中で延々演奏を続ける彼らを感じながら、笑顔を浮かべたファンは家路についた。

 

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取材・文●森本智

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