『ライヴ・イン・デトロイト 2001』(DVD/VHS) Warner Reprise/Warner Music Japan DVD: WPBR-90061 4,935(tax in) 2001年11月28日発売 VHS: WPVR-90061 3,780(tax in) 2001年11月21日発売 1 ドラウンド・ワールド/サブスティテュート・フォー・ラヴ 2 インプレッシヴ・インスタント 3 キャンディ・パフューム・ガール 4 ビューティフル・ストレンジャー 5 レイ・オブ・ライト 6 パラダイス (ノット・フォー・ミー) 7 フローズン 8 イントロ:オープン・ユア・ハート 9 ~ノーバディーズ・パーフェクト 10 マー・ガール(パート1) 11 ~スカイ・フィッツ・ヘヴン 12 マー・ガール(パート2) 13 ホワット・イット・フィールズ・ライク・フォー・ア・ガール 14 アイ・ディザーヴ・イット 15 ドント・テル・ミー 16 ヒューマン・ネーチャー 17 ファニーソング 18 シークレット 19 ゴーン 20 ドント・クライ・フォー・ミー・アルゼンチーノ(インストゥルメンタル) 21 ホワット・イット・フィールズ・ライク・フォー・ア・ガール 22 ラ・イスラ・ボニータ 23 ホリデイ <DVD>
<VHS> | | つい先日、「グレーテスト・ヒッツ2」が発売されたばかりのマドンナだが、それに歩調をあわせる形で、アルバム「Music」の際のライブ・ツアーの模様を収めたライブ盤もドロップされた。 実は僕自身に関して言えば、まだ彼女のライブを生で拝見したことはない。しかし、デビュー当時から、もう何度となくブラウン管を通じて彼女のステージでの勇姿は見させてはもらっていたりするので、こうした映像を見せられると、自分の脳裏で去来してくるものが随分と多いものだ。セクシーなダンス・アイコンとして、性的魅力で男を挑発し凌駕する“女王さま”として、そして敏腕の女性起業家として…。
この15年間、マドンナは女性の持つ多面性を一つの肉体に宿し続けて来たが、ここで見られる彼女は、以前のような一挙手一投足が全て注目される“時代のド真ん中のカリスマ”という、ある種の“虚像”にも映りかねないイメージからは少し離れて、ド派手に作り上げたコスチュームとは違う、この人なりの普段着感覚(あくまで、“この人なりの”だが)に基づいた、マドンナなりのマイ・ペースを貫いているように映った。
しかし、「エロティカ」あたりの頃のムキになりすぎた幾分過剰な時期や、その後の方向性が今ひとつ見えにくかった頃に比べると、「レイ・オブ・ライト」から現在に繋がるマドンナというのは、そんな過激なメッセージはなくとも、地に足の着いた“ミュージシャンとしてのマドンナ”の姿を、これまでの彼女のキャリア史上もっと最上な姿で提示出来るようになってきた。 このツアーでは、いわゆる「レイ・オブ・ライト」以降のヨーロッパの先鋭的なエレクトロ・サウンドに乗りながら、この人の昔ながらのライブらしい、目まぐるしいダンサーたちの乱舞や艶やかなお色直しの数々こそは見受けられはするものの、必要以上に刺激的なコスチュームや仕種などは特になく、ときには何と、以前の彼女では考えられなかった自らのギター・プレイまでも披露(上手い下手かは別として)するなど、改めて“ミュージシャン・マドンナ”をアピールしている。 落ち着いた印象こそ残るも、しかし、だからと言って決して大人しくなったわけではない。齢40を超えた今の彼女だからできる、若々しさを保ちながらも、実年齢としての自分を決して否定するわけでもない。
等身大の“今”こそを思いきりエンジョイしている今のマドンナも、やはり素敵である。 ただのオバサンにも、永遠美にとりつかれた醜いモンスターにも、年がいを忘れた見苦しい少女ぶりっこにも、絶対になりはしない。この映像の中のマドンナの姿を見て、僕は確信した次第だ。 文●沢田太陽(01/12/14) | |