『Goodbye Country (Hello Nightclub)』 2001年9月10発売(輸入盤) 9222192 2.290
1Suntoucher 2Superstylin' 3Drifted 4Little by Little 5Fogma 6My Friend 7Lazy Moon 8Raisin' The Stakes 9Healing 10Edge Hill 11Tuning In -Dub Mix 12Join Hands
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プロモビデオ「Superstylin'」! かっちょええ! |
| オーガニックなサウンドをアピールする新作とツアー…
秀逸なアイデアである。Groove ArmadaがサポートDJに PhotekとOrganic Audioを従えてのヘッドライナーとしてのスペシャルショウの会場に選んだのは、カリフォルニア州サンタモニカにあるMuseum Of Flying(航空博物館)であった。
これはすごいことになるに違いない。
しかし、会場の中に入ってみると何かしっくりこなかったのである。照明が充分な暗さに落とされていないためだろうか? それとも観客が学校の社会見学のような気分でいたからだろうか? あるいは博物館の“企業オフィスでのクリスマスパーティ”的なヴァイブのせいなのだろうか? まあ、気にすることもない。ミュージアムのサイドウォールが開かれて、ついにGroove Armadaが現れてギグをスタートさせた。飛行機に乗って。ワオッ!
セカンドアルバムの『Vertigo』をリリースして以来Groove ArmadaのTom FindlayとAndy Catoは、まるでジェットコースターに乗せられたような勢いで進んできた。
MadonnaやElton Johnといった大物たちが『Vertigo』の米国でのリリース前から賛辞を贈り、Fatboy Slimは彼らを自分の秘蔵っ子のように扱ってくれるなど、FindlayとCatoはアメリカで好スタートを切ったと言えるだろう。さらに三菱自動車が彼らの最もブレークビート的で混沌としたナンバーに注目して、Mobyのときのような大々的な広告キャンペーンに起用したのである。
「環境面や政治面でまったく不健全な作品でないかぎり、割と簡単なことなんだよ」、Groove Armadaの音楽がコマーシャルに使用されることについてCatoは語っている。
「とくにアメリカではラジオの性格もあって、僕らのように多様な音楽を作っているアーティストは、レコードの内容がラジオで正確に反映されるのがとっても難しいんだ。それじゃ他に何か伝達手段はないのか? 映画とテレビがあるというわけさ。なんだかんだで僕らの曲は自動車のCMにはかなり使われてきたけど、ついに優れたアイデアを持って来てくれる人が現れたんだ。僕らだっていつも車を乗り回しているわけだし、断るほうがずっと偽善的だという気がしてね。それに音楽だけじゃなくて、僕らの姿も露出されるんだよ」
だが、実際のところFindlayとCatoはもちろん他の楽器も演奏できるが、それぞれがトランペットとトロンボーンといった具合に伝統的な楽器の演奏方法も熟知しているナイスボーイなのである。彼らの本心は腰を揺さぶる嵐のようなダンスフロア向け音楽よりも、ソウル、ヒップホップ、レゲエ、ハウス、ジャズといった多彩な影響のすべてがハッピーに共存できるミッドテンポの分野にあるようだ。『Vertigo』の他の曲すべてやArmadaの最新アルバム『Goodbye Country (Hello Nightclub)』にわざわざ耳を傾けた人ならば、誰でもそのことは理解できるだろう。Jeru The Damaja、Criminal、Nile Rodgers、Richie Havens、M.A.D.といったゲストをフィーチャーした『Goodbye Country (Hello Nightclub)』は、そうした要素をすべてカヴァーした作品となっている。
「Basement JaxxやDaft Punkといった類いの連中のニューアルバムも聞いたよ。僕らはそれぞれがまったく違った道を歩んでいるということがますます明白になってきたね」とCatoは強調する。
「すぐには感じ取れないことかもしれないけど、アーティストに触れることによって理解がずっと深まるということを信じる必要があるね。その辺をちゃんとわかってくれるオーディエンスが来てくれるようになっていると思うな。そうした作業を続けていくことに大きな価値が出てくるのさ。今度のニューアルバムでは、躍動感のある混沌から純粋な至福の時まで幅広く、内容を深く掘り下げることもできれば、マジカルな瞬間に浸ることもできるんだよ」
Armadaの二人は生演奏のミュージシャンをフィーチャーした自分たちのライヴショウに誇りを持っており、ステージでは『Goodbye Country』に収録されたマテリアルも前のツアーのときよりも優れた解釈で披露されるだろうと自信を深めている。
Findlayは説明する。
「前回よりも多少はシークエンサーを多用する可能性もあるよ。ニューアルバムでは生のミュージシャンを大勢使ったからね。もうちょっとクラブ風というかへヴィなサウンドにしたいんだ。今度のレコードの多くの部分は生演奏をベースにしているから、サンプルを使うことも少なくなるだろうし、ずっと簡単になるだろうね。基本的に僕らはミュージシャンに“レコードでやったとおりにしてくれれば、それでクールなサウンドができるはずさ”と言うだけでいいんだよ」
生のミュージシャンを使うことでライヴ演奏が簡単になっただけでなく、『Goodbye Country』における暖かでオーガニックなサウンドも実現した。Catoは言う。
「新作はずっとパーソナルなレコードなんだ。Groove Armadaサウンドの定義が完成したというか、僕らが思い描いたとおりのサウンドをレコードで再現できた初めての作品と言えるね。出来映えには完全に満足しているよ」
「より成熟した内容のレコードだよね」、Findlayも同意する。
「ちょっと分厚くて重たいサウンドになったよ。僕もかなり満足している。前作も気に入っていたけど、今度の方がレコードとしてずっと誇りの持てる作品なのさ。何よりも作っていて前よりもエンジョイできたからね。売れるかどうか楽しみにしているんだ」
きっと三菱自動車が大きく貢献してくれることだろう。 |
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