「劇的な瞬間」 SPEEDSTAR RECORDS VICL-35282 2001年07月25日発売 1,100 (tax in)
1 劇的な瞬間 2 黄金のサンダル |
斉藤和義さんよりメッセージが届いています!
| ──シングルを出すのは昨年の「アゲハ」以来で、考えてみたらすごく久しぶりでびっくり、みたいな。
斉藤: さぼってたわけでもないし、もともと「HALF」もシングルを出そうって話で録ってたんだけど、やっていくうちに曲が増えていったので“じゃミニ(アルバム)にしちゃえ”って。だからシングルを出さない気はなかったんだけど、気がついたらそうなってて。
──昨年から今年にかけてのいくつかのツアーで、特に今年の3月のツアーは新曲をメインに披露した点が印象的だったんですが。
斉藤: 単純に、アルバムを作ってツアーをするっていう流れに飽きたっていうか。それから、レコーディングをするといっても、曲が当日に完成されているっていうことがなくて、曲のモチーフをスタジオでまとめる作業が多かったんです。だからできたてホヤホヤの曲がCDに収まってて、ツアーをやっていくうち感じが変わってだんだん曲ができあがっていく、みたいな。だから、先にツアーで新曲を固めていきつつ、それをレコーディングしながら進めて、途中でいいテイクがとれたらそれをそのまま使っちゃえ、と。
──ツアーそのものが楽曲の制作過程という?
斉藤: そうですね、半分はそういう理由で。あとは単純にできたから聴かせたい、と。
──今回の新曲もそのツアーでやってた曲ですよね。この曲がシングルになったいきさつは?
斉藤: おまかせですね。何曲かを持っていって、その中からレコード会社の方に決めてもらったんです。あとはツアー中のアンケートで、ファンからの人気の高かった曲っていうことで参考にしたり。
──斉藤さん的にはどれでもいいと?
斉藤: うん。もともと単発でシングル用に曲を作るってことは得意じゃなくて、今までもアルバム制作の流れからこれにしてくれとか言っていましたから。
──今はアルバムを作ってる最中?
斉藤: そうですね。ま、9割方あがって、12月には出せるかなと。
──『HALF』の時は、セッション的な印象を受けたんですけど、今回の曲はバンドっぽい要素を前面に出しつつ、とてもシンプルなサウンドだなって思いました。
斉藤: まずSEVENの3人で成立するアレンジにしたいなと思って。楽器を足していくのは簡単なんだけど、逆に引いて成立させる方が大変だったりするんですよね。最近はそういうシンプルなものにしたいなっていうのがあって、それを目指したんですけど。
──引いて引いて残ったもの、みたいな?
斉藤: いや、このメンバーではちょこちょことやってるんで、最初にこんな感じっていうのがあればそれでできちゃう。
── カップリングの「黄金のサンダル」はどうですか? レゲエな作品で珍しいですよね。
斉藤: あんまり突っ込んだことはわからないし、でき上がったらレゲエ調だったっていうか。でもやるんだったら本場の人にやってもらおうかなって思って、出来上がってきたのがこの形だったんですね。
──ちょっと意外な作り方かも。
斉藤: 前はそういうやり方もたまにしてたんだけど、最近は一人でやることが多かったから。一緒にやったことのない人とやるのも新鮮で楽しかったですね。もっとグチャグチャになるかと思ったけど、王道なものになりましたよね。
──改めて思ったんですが、今回の2作品はサウンド、歌詞ともにシンプルですよね。
斉藤: 今までもそうだったけど、歌詞は何も考えず書いたほうがすんなり歌えるっていうのはありますね。「劇的な瞬間」も5分か10分くらいで書いたし。
──そういうほうが作りやすいと?
斉藤: テーマさえ決まれば。2~3年くらい前までは“もう歌いたいテーマなんかないや”って思った時もあったんだけど、今は歌にすることなんて、なんでもあるはずだって気持ちはあるんですけどね。今まではネガティヴな時に曲を作ることが多くて、あまり楽しい時には曲を作らなかったんだけど、そういう時にばかり作るのが嫌だなって思って、最近はなるべくニュートラルな時に作ろうって思ってはいるかも。
──タイトルを聞いたときに「劇的な瞬間」=ドラマティックなシーンみたいなイメージがあって。でも実際に歌詞を見るとすごく日常的な、些細な瞬間を歌ってますよね。
斉藤: この曲に関しては、めちゃくちゃ劇的なことはないですよね。ドラマティックなことじゃなくても、こっちが心を開いて何かに向かっているときは、些細なことでも劇的になる、みたいなそういう瞬間があるんだよっていうか。
──では、斉藤さんにとっての劇的な瞬間とは?
斉藤: んー、…ライヴをやってる時はそうかも。たまに冷静になって考えると、よく人前で歌えるなって自分で思いますから(笑)。取材・文●市川美奈香 |
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