新世紀を迎えるニュー・マドンナ
新世紀を迎えるニュー・マドンナ |
Madonnaという名で知られるアーティストは近ごろ、いわゆる“飛ぶ鳥を落す勢い”という状態を楽しんでいるようだ。 ことの始まりは、'94年の『Bedtime Stories』以来4年ぶりのオリジナル作品で、マルチプラチナセールスを記録した、文字どおりの“カムバック”アルバム『Ray Of Light』のリリースであった。 このアルバムが'99年のグラミーでベストポップアルバム賞を獲得すると、まもなくして彼女は同作品で参謀役を務めたWilliam Orbitと再び手を組み、映画『Austin Powers: The Spy Who Shagged Me』のサウンドトラックに「Beautiful Stranger」を提供、この曲もまた今年のグラミー賞にノミネートされた。 そして今まさに、41歳になるこのシンガーは、長年の友人でもあるRupert Everettを共演者に迎え、'95年の『Evita』以来、初の主演映画となるロマンティックコメディ『The Next Best Thing』で、成功のワンツーパンチを繰り出そうとしている。 そう、あの「American Pie」である。 「あれは私じゃなくて、Rupertのアイディアだったの」。 Don McLeanのアメリカ産フォークロック作品をリメイクするきっかけは何だったのか、という質問にMadonnaはこう答えている。 「あれはなかなか面白い経験だったよ。決して練りに練った企画じゃなくて、突然どこからともなく湧き出てきたものだった。ある日、幾分ねじ曲げた解釈であの曲のカヴァーをやろう、というアイディアの種が蒔かれて、次の瞬間にはもう出来上がってたという感じでね。本当に、それに近い感覚だったんだ。全てがちょっとした遊びだったのさ」 「こんなに難しいなんて、思ってもみなかった。自分が個人的に好きな音楽で、映画の雰囲気にもピッタリで、(監督の)John Schlesingerにも気に入ってもらえて、しかも世間の注目を集められるものを見つけるってことがね。それが一番大変だったわ。何故って、私自身の趣味はものすごくアヴァンギャルドだと思うから…まあ、音楽に関して言えばってことだけど。正真正銘のメインストリームものに手を出すなんてことはめったにないわ。だから、このアルバムに参加したアーティストも、ほとんどがイギリス人かヨーロッパの人たちで、アメリカ人はあまりいないのよ」 「ダンスミュージックね、絶対に」とMadonnaは言う。 「電子的で未来的。ニューエイジってのはどうかしら。ううん、違うわね」 「最初はスローバラードばかり何曲も録音したんだけど、その後、彼女がそれにことごとくNGを出して、代わりにもっと尖がった曲を入れ始めたんだ。スピード感があって、極めてヨーロッパ風、特にイギリスやフランスっぽいサウンドのアルバムになってきている。まあ、それも当たり前だけどね。だって、彼女以外、レコーディングに参加しているのは全員イギリス人かフランス人なんだから! 抜群にエキサイティングだよ、本当に」 「私が子供のころはあんなじゃなかったと思うんだけど…まあ、私の時は綺麗な洋服を目にする機会なんてそうなかったものね。娘は、私が毎日何を着るかってことに彼女なりの意見を持っているの。何だかとても困惑しちゃうのよね。『ママ、それ素敵よ』とか『その靴、好きじゃない』とか何とか。とにかく、常に意見を持ってるのよ」 by Stephen Peters |