【ライブレポート】the GazettE、「また新しい証跡を刻んで」

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the GazettEが23周年を記念した東名阪ツアー<LIVE 2025 23rd ANNIVERSARY TOUR 証跡>を、1月から3月にかけて行った。

◆ライブ写真

the GazettEにとって約2年ぶりのツアーであり、ファイナルの東京公演は久しぶりのアリーナライブなど、“特別”という言葉が似つかわしいアニバーサリーとなった。

3公演揃ってチケットが瞬く間に完売したことからは、多くのファンが今回のツアーを心待ちにしていたことがうかがえる。ツアーを締め括った東京ガーデンシアターはアリーナからスタンド最上段までオーディエンスでビッシリと埋め尽くされた状態になり、場内は開演前から熱気に包まれていた。


the GazettEのライブでは常例の男性スタッフによる前説が始まると同時にオーディエンスは総立ちになり、アッパーなオープニングSEに合わせて熱い手拍子が湧き起こる。場内が暗転してダークなSEに移り変わった後、赤く染まったステージにメンバー達がゆっくりとした足取りで姿を現した。客席が騒然となる中、麗が奏でるシャープなギターサウンドと力強いRUKIの歌声が響き渡り、ライブはレトロフレイバーが香る「貴女ノ為ノ此ノ命。」で幕を開けた。 “尖り”を感じさせるAメロからせつないBメロに移り、サビは高速で疾走するというスピーディーな展開を配したナンバーを1曲目に持ってきて、それをしっかり聴かせる辺りは実に見事。麗のヒステリックなギターソロや静と動の対比を活かした構成なども相まってオーディエンスの感情は一気に高まり、場内は1曲目から大合唱が起こる盛り上がりを見せた。

その後はパワフルな「舐~zetsu~」やハードネスと憂いを巧みにブレンドした「Sugar Pain」などを続けてプレイ。華やかな存在感を放ちながら、曲調や曲中の展開に合わせて多重人格者を思わせるほど多彩な歌声を聴かせるRUKI(Vo)。アクティブにステージを行き来して、荒々しさとエモさを両立させたギターワークを展開する麗(G)。退廃的なオーラや激しいステージング、シュアなギタープレイなどでオーディエンスを強く魅了する葵(G)。重厚さとキレの良さを兼ね備えた上質なリズムを猛々しく刻んでいく姿が最高にカッコいい戒(Dr)。個性を押し出したメンバーが並び立ってパフォームする情景に目を奪われずにいられないし、ラウドかつクリアなサウンドは気持ちを引き上げる力に溢れている。ライブが進むに連れてオーディエンスが発するエネルギーの放出量は、さらに高まっていった。


「飼育れた春、変われぬ春」を聴かせた後、RUKIのMCが入った。リラックスした表情で、「会いたかったぜ、東京。今夜も忘れられない夜にしようね。今夜もみんなを暴れさせていきたいと思います」と話した後、激しいアジテーションに続けて「ROLLIN'」や「NINTH ODD SMELL」「裏切る舌」といったデジタルテイストを纏ったヘヴィチューンが相次いで演奏された。会場を揺らす重低音域から煌びやかな高音域までフルに押し出したレンジの広い轟音を生で体感するのは快感の一言に尽きる。

「久しぶりに歌います。聴いてください」というRUKIの言葉と共に届けられた「幸せな日々」から始まったライブ中盤では、強く訴えかけるRUKIのボーカルや麗と葵それぞれの持ち味を打ち出したギターソロなどをフィーチュアした「CALM ENVY」、透明感を湛えた翳りが秋の情景を思い起こさせる「LAST HEAVEN」、内面の痛みを見事に表現するRUKIの歌声や戒の精緻なドラミングとファットにうねるベースが生む良質なグルーブ、麗と葵が奏でる息の合ったツインリードなど聴きどころの多い「PLEDGE」といったバラード数曲を披露。いつもながらこういった楽曲の惹き込み力は圧巻で、客席のあちこちで涙を拭う姿が見受けられることが心に残った。


「久しぶりの曲もありますけど、the GazettEがどれだけ長いことやってきたのか分かるような曲が沢山あるなと思います。この曲はもうやらないだろうなと思っている曲でも久しぶりにやったりすると、今やったら良いじゃんと思うのは凄くない?(笑)。やっぱり音楽というのは、そういう力がある。タイムスリップできるというか、一瞬で作った時に帰らせてくれるパワーを持っている。それが音楽なんだなと思いました」というRUKIの言葉に客席から温かみに溢れた拍手が湧き起こる。そして、「自分達の結成から今までやってきたことを全部見せれたかなと思いますが、the GazettEはまだまだ違う部分が沢山あるので。暴れていきましょう。ここから先は、首がもげます(笑)。覚悟できているか、東京!」というRUKIの力強い言葉からライブは後半に入っていった。

ライブ後半ではエキゾチックかつラウドな「Filth in the beauty」を皮切りにハイエナジーチューンの「COCKROACH」や「HEADACHE MAN」、インダストリアルな雰囲気の「ATTITUDE」などが畳みかけるように演奏された。長年に亘って数多くのアリーナライブを経験してきているバンドならではのステージ全体を使った華麗なパフォーマンスと爽快感を放つ轟音の連続にオーディエンスのボルテージはさらに高まり、客席はヘッドバンギングで埋め尽くされる。本編のラストソングとしてドラマチックさを放つ「TOMORROW NEVER DIES」が演奏されると盛り上がりは最高潮に達し、ガーデンシアターの場内は熱狂と一体感がない交ぜになった楽園のような空間へと化した。


アニバーサリー公演にふさわしく、今回のライブは新旧織り交ぜたセットリスト(ちなみにアンコールでは「赤いワンピース」や「枯詩」なども聴かせてくれた)で楽しめたし、初期の楽曲とここ最近の楽曲は“本当に同じバンドか?”と思うほどテイストが異なっていながら一貫してthe GazettEらしさを纏っていることも印象的だった。音楽性というのは表層的なもので、人間の喜怒哀楽を鮮やかに表現するという彼らの本質に変わりはなく、これからも決して変わることはないだろう。

今回のライブを観てthe GazettEが哀しみや痛み、苦しみなどを乗り越えてより強靭さを増し、さらに眩く輝いていくことを実感できただけに、今後の彼らにも大いに注目していきたい。


最後に、アンコールでメンバー達が語った言葉を記しておこう。

「こうやってみんなと一緒に今この瞬間を一緒に歩めていることに、総てのthe GazettEを愛するファンと支えてくれるスタッフに、本当に感謝しています。ありがとうございます。これからも思いは変わらず、終わりはない未来へみんなと一緒に1歩1歩、共に歩いていきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします。ありがとうございます」(戒)

「“証跡ツアー”ありがとうございました。このツアーはあらためて自分達を見つめ直すためにもあり、the GazettEの歴史をなぞった選曲にもなっていて、10数年ぶりにやった曲もありました。自分達のルーツと向き合うための大切な時間だったと思います。自分達と向き合うことで、次の作品だったり、目標に向かって、また1歩1歩丁寧に積み重ねていけるんじゃないかと思っています。短かいツアーでしたけど、みんなからとてつもなく大きなエネルギーを受け取ることができました。この力が次の活動の原動力になることは間違いなくて、本当に心から感謝しています。ありがとうございました」(麗)

「いろいろ話すことを考えてきたけど、楽しくて、そんなのなんでもいいかなと思っちゃいました(笑)。“証跡ツアー”とthe GazettEの思いを受け取ってくださった皆様、本当にありがとうございます。これからもみんなに憧れてもらえるようなバンドをこの5人で一生懸命作っていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします」(葵)


「本当にみんなのお陰で、the GazettEは23周年を迎えることができました。あらためて、心からありがとうございます。今回のツアーはthe GazettEというバンドがどんなことでも乗り越えていけるという証をライブを通してみんなに示したい、このバンドの持つ力を自分達自身に示したいと思って、“証跡”というタイトルをつけました。

東名阪をまわって感じたのは、みんなが自分達と同じ空気を共にすること……同じ空気を吸って、同じ景色を見ることで、いろんな苦しみや悲しみを俺達と一緒に乗り越えようとしてくれているんだなということでした。だから、思いきり泣く姿も、笑顔もちゃんとこの目に焼きつけてきました。そのどれもが愛おしくて、ありがたい。そんな気持ちに、させてくれました。

このバンドは紛れもなく自分達の力だけで立っているんじゃなくて、みんなで守ってきてくれたものなんだなと思いました。あらためて誇らしいファンであり、大切な仲間でもあると思っています。

本当に心から言うけど、みんなが俺らの宝物です。きっとREITAが言っていた“永遠に続けばいいな”というthe GazettEは、俺らとお前らが好きに暴れて、ただひたすら自由に日々のツラさや鬱憤だったりを思いきり爆発させられる、この場を指しているんだと思う。きっとそれこそが永遠に守りたかった場所であり、the GazettEという存在だったんだと思います。

また新しい証跡を刻んで、もっと強いバンドになれるように、23年目も精一杯the GazettEの最高の時間を届けていきたいです。その幸せな瞬間を、これからもずっと傍で見ていてください。お願いします」(RUKI)

取材・文◎村上孝之
写真◎Keiko Tanabe、Kyoka Uemizo、Takashi Konuma

<LIVE 2025 HERESY LIMITED 「SIX GUN’S」>

5月27日(火) 豊洲PIT
https://the-gazette.com/2025_SIX_GUNS/



<LIVE TOUR 2025 -HERESY LIMITED- EACH MEMBER'S PRODUCE ACT:1 異演>

■第一 「もげる」-PRODUCED BY URUHA-
6月17日(火) Zepp Yokohama
■第二 「妖乱朧狂」-PRODUCED BY AOI-
7月16日(水) 豊洲PIT
■第三 「共喰い」-PRODUCED BY RUKI-
8月25日(月) Zepp Haneda
■第四 「本能は不可侵」-PRODUCED BY KAI-
9月30日(火) CLUB CITTA`

https://the-gazette.com/2025_ACT1_IEN/



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