【ライブレポート】the GazettE、不滅の信念

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今年5月27日にREITA(B)の追悼ライブ<HERESY LIMITED「SIX GUN'S」>から3ヵ月。the GazettEは同じく豊洲PITで、単独公演<the GazettE LIVE2024 HERESY LIMITED 【HETERODOXY Vol.3-IMMORTAL CREED-】>を行った。

◆ライブ写真

ファンクラブ会員限定のライブ、さらにウィークデーの開催でいながら、ライブ当日の豊洲PITには多数のファンが集結。広大な豊洲PITのフロア最後方までオーディエンスで埋め尽くされた情景に圧倒されたし、関係者エリアが最小限のスペースに抑えられていたことからも、1人でも多くのファンにライブを観てほしいというthe GazettEの想いが伝わってきた。

開演前から熱気に包まれていた場内にオーケストラを用いた重厚なオープニングSEが流れ、the GazettEのメンバー達がゆったりとした足取りでステージに姿を現した。客席から大歓声が湧き起こる中、ライブは「Filth in the beauty」からスタート。鮮やかなライティングに染められたステージに力強く立ち、獰猛さと洗練感を巧みに融合させたサウンドを鳴り響かせるthe GazettEと、全身全霊の激しいリアクションを見せ大合唱を繰り返すオーディエンス。ライブが始まると同時にステージと客席はひとつになり、豊洲PITは瞬く間にthe GazettEの世界へと化した。


その後はアグレッシブかつスタイリッシュな「VENOMOUS SPIDER'S WEB」とアッパーな「VORTEX」を続けてプレイ。眩いオーラを放ちつつエモーショナルな歌唱からファットなシャウトまで自在に操る表情豊かな歌声を聴かせるRUKI(Vo)。華やかにステージを行き来して、多彩なギタープレイと音色で楽曲を彩る麗(G)。退廃的な貴族を思わせるルックスと激しいステージング、そしてヘヴィなギターサウンドのマッチングが最高にカッコいい葵(G)。強い存在感を発しながら全身のバネを活かしたパワフルかつテクニカルなドラミングでグルーブを牽引していく戒(Dr)。華麗なメンバー達の姿と爽快感に溢れたサウンドが折り重なって生まれる高揚感は圧倒的で、場内のボルテージはどんどん高まっていった。

3曲聴かせたところで、RUKIのMCが入った。「OK、東京! 素直な気持ち、言っていい? 会えて嬉しいです。ライブという場所は、どんな気持ちでも、どんな想いでも吐き出していい場所だから。本当に、自由にやっちゃってください。どんな顔でもいいので、見せてください。心配しなくていいです。引っ張っていくから」彼の温かみに溢れた言葉に、客席からは熱い拍手と歓声が起こっていた。


続くセカンドブロックではクールさと激しさを融合させたRUKIのボーカルをフィーチュアした「GABRIEL ON THE GALLOWS」や、葵が奏でるソリッドなギターと重厚にうねるREITAのベース(今回のライブも彼が遺したベーストラックを流す形が採られていた)の取り合わせが心地いい「FADELESS」、麗のテイスティーなギターソロや曲中の場面転換を一層際立たせるダイナミクスを効かせた戒のドラミングが光る「DRIPPING INSANITY」などが届けられた。

終始いい雰囲気で盛り上がる場内を見ているとthe GazettEとファンの双方が、今日という日を強く待ち望んでいたことが伝わってくる。そして、そこにはただ単にライブをしたい、ライブを観たいという気持ちだけでは収まらない、もっと深い想いがあることが感じられた。おそらく今回のライブを迎えるにあたってthe GazettEも、ファンの方も“確かめたい”という強い想いがあったのだと思う。


the GazettEのメンバーにしてみれば、5月のライブで感じた“REITAと共にある”という感覚を今回も味わうことができるのか、自分達が決めた“5人の想いを抱いて活動していく”という想いはファンに正しく伝わっているのか、伝わっているとしたら、それをどう受け止めているのか……といったことを肌で感じたいという想いがあっただろう。一方のファンの方はthe GazettEとはどういうものなのか、自分にとってthe GazettEとはどういう存在なのか、これからも自分は彼らと共にありたいのか……といったことを確かめたかったと思う。その答えを知るにはライブという場を共有するしかないため、いつも以上に今回のライブを心待ちにしていたことは想像に難くない。

そして、その答えを今回のライブで見つけられた人もいるだろうし、答えを見つけるまで時間がかかる人もいるだろう。それで、いいと思う。そして、そういった人達や、今年に入ってからのthe GazettEにまだ触れることができていない多くのファンのためにも今後のthe GazettEがステージに立つ機会が増えることを強く願う。


ライブ中盤ではラグジュアリーな「QUIET」、透明感を湛えたダークネスを纏った「GODDESS」といったメロディアスなスローチューンが続けて演奏された。メンバー全員が織りなす表現力に富んだ演奏と、どこかシアトリカルなRUKIのパフォーマンスを活かして強固な世界観を構築する辺りは実に見事。いつもながらthe GazettEのスローチューンは心を浄化してくれるような力を持っていて、今回のライブでも深く惹き込まれずにいられなかった。

「とばして行こうぜ、東京!」というRUKIのアジテーションと共に演奏されたラウドな「TWO OF A KIND」からライブは後半に入り、ハイテンションな「VERMIN」や剛と柔のコントラストを活かした「ATTITUDE」、気持ちを駆り立てられる「ABHOR GOD」などが相次いで演奏された。ステージ全体を使ったフィジカルなステージングを見せつつthe GazettEならではの上質な轟音を発するメンバー達と、それに応えて激しくヘッドバンギングし、拳を振り上げ、何度となく大合唱を湧き起こすオーディエンス。豊洲PITは膨大なエネルギーに満たされた空間と化し、場内は怒涛の盛り上がりを見せた。


様々な想いが折り重なる中で自分達を信じ、自らの本質を見せつけるライブを行って、オーディエンスを熱狂させたthe GazettE。5月のライブを経て、随所により磨きがかかったライブを披露したのはさすがの一言に尽きるし、意欲的な彼らがここからさらにブラッシュアップしていくことは確実といえる。それだけに、来年1月から3月にかけて行われる東名阪ツアー<the GazettE LIVE 2025 23rd ANNIVERSARY TOUR 証跡>は本当に楽しみだ。

来春のツアーを皮切りに、各地のthe GazettEのファンの方が“IMMORTAL CREED=不滅の信念”という言葉を掲げた現在の彼らに触れて、それぞれが“答え”を見つけ、the GazettEはより良い形で未来に進んでいくに違いない。それを強く予感させる、素晴らしいライブだった。

取材・文◎村上孝之

<LIVE 2025 23rd ANNIVERSARY TOUR 証跡>

1月16日(木) DIAMOND HALL 【HERESY LIMITED】
2月6日(木)  なんばHatch 【HERESY LIMITED】
3月10日(月) 東京ガーデンシアター
●FC. HERESY・the GazettE MOBILE最速先行受付
申込・受付期間:9月12日(木) 22:00〜10月8日(火) 20:00

◆the GazettEオフィシャルサイト
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