【インタビュー】REITA × 戒、『MASS』ツアーを終えて。「the GazettEを信じて待ってくれた人がたくさんいた」

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4月初旬、BARKSでは<MASS TOUR>のファイナルを飾った日本武道館公演の模様とツアーの裏側を追ったドキュメントを収めたBlu-ray&DVD『LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL" LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN』がリリースされることを受けて、REITA(B)と戒(Dr)にインタビューを行っていた。

2021年リリースのアルバム『MASS』を、22年5月から23年7月にかけたロングツアーで表現。その間にはコロナ禍があり、バンドを取り巻く環境も大きく変わった。しかしthe GazettEは、いかにも“彼ららしい”スタイルでライブを行い、日本武道館という地で『MASS』を締め括った。そんなツアーの全貌を知ることができるBlu-ray&DVDを観た上で、このロングツアーで感じたことや得たものなどを2人にじっくり聴かせてもらうことができた。

the GazettEがツアーを通して感じていた思い、REITAと戒が語るファンへの感謝、ライブへの熱い情熱。それを取材当時の空気感のまま、ここに掲載する。REITAへの追悼の意を込めて──。

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■ファンがライブを作ってくれた

──アルバム『MASS』を携えたツアーは14ヵ月に及ぶロングツアーになりました。ツアーを始めるにあたって、長いツアーにしようということは決めていたのでしょうか?

REITA:長くなることは想定していたというか、<the GazettE LIVE TOUR2022 -MASS- / PHASE 02-"The Unknown">くらいでは終わらないよなと思っていました。ただ、いくつのPHASEまでやるかは決めていなかったんです。決まっていなかったよね?

戒:うん。<the GazettE LIVE TOUR2022 -MASS- / PHASE 02-"The Unknown">(以下、“02”)までは決まっていたけど、そこから先は未定だった。最初の時点で、“02”のコンセプトも案として出ていたんです。そういう状態でツアーを始めて、<the GazettE LIVE TOUR2023 -MASS- / PHASE 03 "LAST MILE">(以下、“03”)はツアーをやっていく流れの中で決めました。

──数年ぶりのツアーでいながらコンセプトの異なるライブをしようと考える辺りは、さすがです。それに、“02”は『MASS』と過去のアルバムを掛け合わせるということで、発信する側としては大変さがあったかと思います。

戒:the GazettEがひとつのツアーの中でコンセプトの違うライブをするというのはいつものことだけど、今回の“02”みたいなところまで突き詰めたのは初めてかもしれない。今までの“01”と“02”はホールとライブハウスくらいの違いだったけど、今回はコンセプトが色濃く出たライブをしたいというのがあって、そこで出た案がすごく面白かったんです。『MASS』はthe GazettEの10枚目のアルバムということで、過去の作品と掛け合わせるというのは意味があるし、ぜひやろうということになりました。それが大変なことは、楽器陣はすぐに分かりましたけど(笑)。

REITA:今回の“02”は、本当に大変だった。もうね、二度とできないんじゃないか……というくらい(笑)。一番キツいのがリハでしたね。“02”が始まる前にリハがあって、それまでの短期間で全曲弾けるようにしておかないといけなかったから。ツアーの後半で掛け合わせた『NINTH』(2018年6月)とかになるとリハから2ヵ月くらい経っていて、リハした意味ないじゃん……みたいな感じだったし(笑)。ツアーが始まってからは次のライブで演奏する曲だけを集中して練習すればいいから楽だったけど、最初のリハに臨むまでの準備が一番大変でした。

戒:たしかに昔の曲を思い出して覚えるという物理的な大変さはあったけど、“02”は楽しかったです。『MASS』の曲だけでツアーをするというのと違って、言い方は良くないけど、飽きがこなかったというか。すごくいい刺激になったし、“02”があったことで“03”、そしてファイナルの武道館と糸を切らずにいけたような印象がありますね。もちろん当時はメチャメチャ大変だったけど、大変さを楽しむ……みたいなところもあったし。


──やりますね。昔の楽曲を演奏する場合、昔の形を再現するのか、今の自分の解釈で変えるのかという選択肢が生まれると思いますが、その辺りはいかがでしたか?

REITA:僕は“できる限り再現したい派”です。昔の曲をみんなで合わせてみると、全員が違うところを弾いている場所があったりするんですよ。そういうところだけは擦り合わせをしましたけど、曲のイメージは変えたくなかったので、なるべく当時のフレーズを弾くように心がけていました。中にはめっちゃ変えちゃう人とかも、いるじゃないですか。それは、リスナーとしての自分は嫌なんです。“だったら、やらないでほしい”と思ってしまう。楽曲というのは、自分の思い出みたいなものも入っているんですよね。だから、演奏するなら変えないでほしいというのがあって、今回の“02”も今の解釈で変えたりする気は一切なかったです。

戒:大幅に変えてしまうのは良くないですね。ファンの気持ちになると、すごく残念だなと思う。だから、俺も昔の曲は忠実に再現するようにしました。最近は最終ゲネプロの前に楽器陣の4人だけでリハに入ってるんですが、そこでREITAが言ったように合っていないところが出てくると修正したけど、変えようと思って変えるわけではなくて。たとえば、ここはリズム的に合わないから合わせようとか、そういう修正をかけるくらいで基本はみんなオリジナルに忠実でした。そうじゃないと、『MASS』と掛け合わせる意味があまりないと思ったんです。

──たしかに、過去曲をそのまま演奏することで『MASS』というアルバムがより浮き彫りになりましたし、the GazettEはいつの時代も魅力的だなと、あらためて感じました。話が前後しますが、<MASS TOUR>が始まった当時はコロナ禍の影響で規制が多く、お客さんは声を出せない状態でしたね。

戒:正直『MASS』を作り終えて、リリースし終わった頃は不安でした。声を出せないということで、どういうライブになるか想像できなかったから。だから、デモンストレーション的なライブをマンスリーで1本ずつ、東名阪でやることにして、そこで結構安心できたというか。全然問題なくできるものなんだなということが分かったので、<MASS TOUR>に関してそれほど不安はなかったです。

REITA:ライブをするまでは、かなり不安でした。拍手はできるといっても、どういう感じなのか分からないじゃないですか。みんなマスクをしていて顔が見えないし、大丈夫かなというのはありましたね。モチベーションが下がったら嫌だなと思いながらライブ当日を迎えて、SEが鳴ってステージに出ていったら、もうみんな手が腫れるんじゃないかというくらい拍手してくれて。ライブ自体のノリもすごく良くて、曲間とかも声を出せないことは一回も気にならなかった。ファンが一生懸命暴れてくれて、曲の間も拍手でつないでくれたというのがあったから。だから、本当にファンがライブを作ってくれたな……と感じましたね。

──ファンの皆さんは本当に熱くて、the GazettEのライブを待ち望んでいたことをメンバーに伝えたいという強い思いを感じました。ファンといえば、今回リリースされる『LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL" LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN』のドキュメント・ディスクにはファンの方の姿もたくさん収められていて、ここからもファン思いなthe GazettEの姿が伝わってきます。

REITA:コロナ禍が起こってから僕らは2年間全くライブをしなかったじゃないですか。その間もthe GazettEを信じて、ずっと待ってくれた人が沢山いたんです。だから、ファンへの思いというのは溢れてしまいますよね。

戒:ファンは、本当に愛しいです。本当に、助けられていますね。バンドを始めた頃はファンというと“大勢の人達”というイメージだったけど、活動を重ねていく中で、いろいろな人生を歩んでいる個の集まりだということに気づいたというのがあって。だから、本当にひとりひとりに愛しさを感じています。

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