【速レポ】＜LuckyFes'24＞杉山清貴&オメガトライブ、40年前と変わらないキラキラとした輝き

WING STAGEへ向かうと、先ほどまで雨だったのが信じられないくらい、いつの間にか上空は晴天に。陽射しは強いが、芝生の上の駆け抜ける風は涼しげで心地よい。やっぱり彼らに、雨や曇り空は似合わない。最高のシチュエーションで、杉山清貴＆オメガトライブの出番がやってきた。

◆ライブ写真

本番前のサウンドチェックが終わると、もうこのまま始めちゃおうよと言わんばかりにメンバー全員がスタンバイ完了の状態で＜LuckyFes＞のジングルが鳴らされ、ドラムがカウントを刻む。大歓声の中で始まった曲は、今年の春から初夏にかけて開催されたバンドデビュー40周年記念ツアーでもオープニングを飾った「Route134」だ。


1980年代、まだ日本のポップスが"J-POP"なんて呼ばれるようになる以前から、数々のヒットソングを連発してきた杉山清貴＆オメガトライブ。その頃からの爽やかなイメージは今も変わることなく、この日もメンバー全員が白いパンツにアロハシャツ姿で大ヒット曲「ふたりの夏物語」を歌い、＜LuckyFes＞に夏を呼び込んでくれた。この会場は青空と緑に囲まれた自然溢れる公園だが、杉山清貴＆オメガトライブの音楽を聴いていると、さらに少し離れた海の気配さえも感じ始めてくる。やはり、夏のバンドだ。

そんなことを考えながら杉山清貴のボーカルを堪能していると、この曲の「オンリー・ユー！」というフレーズで上がるフレンズの手が、曲が進むにつれてどんどんと増えていくことに気が付いた。よく見れば、リアルタイムでこの曲に親しんできたであろう世代だけでなく、おそらく2世代、3世代であろう若いファンの姿も目立つ。






1970～1980年代の音楽が"シティポップ"と言われて注目を集めて久しいが、当時のレコードや映像を振り返って見聴きするのではなく、本家本元・杉山清貴＆オメガトライブの楽曲を今、ライブで体験できるなんて、このうえなく贅沢なひと時。もちろん、今回初めて彼らの生演奏を聴いたという若いフレンズは多かっただろうが、杉山清貴を含めたフロントの4人はイヤモニをせずに演奏し、キーも歌い方も当時のまま。現役バリバリの歌とプレイ、ハーモニーの素晴らしさ、確かな技術と大人の余裕には、思わず脱帽だ。

しかも今回歌われた6曲のうち、先に紹介した2曲が1985年の作品で、残りの「Midnight downtown」「Alone again」「海風通信」「Summer suspicion」は1983年のリリース。つまり、すべて約40年前の楽曲だったのだが、それらが懐メロではなく、今の音楽として、＜LuckyFes＞に出演する若いアーティストの楽曲と対等に、世代を超えたフレンズたちに受け入れられているという事実が、何よりもこのうえなく素晴らしい。


「まさかオメガトライブでフェスに出るなんて、想像もしていませんでした。僕らは解散しているんです。しかも再結成していないんです。でも、仲がいいんです（笑）」

ユーモアたっぷりに語る杉山清貴だが、今回のMCは極力短め。それはおそらく、喋りではなく、できるだけたくさんの曲をフェスで届けたいという想いからだったのではないだろうか。そう感じてしまうほどの見事なステージングで、40年前と変わらないキラキラとした輝きをもつ歌、音楽を、自然に囲まれた＜LuckyFes＞の会場で爽やかに響き渡らせてくれた。


文◎布施雄一郎
写真◎樋口隆宏/team SOUND SHOOTER