【インタビュー】Psycho le Cému、結成記念日に<理想郷旅行Z>完全復活「新たなスタートを一緒にお祝いできたら」

ポスト

■衣装や演出にファンタジー要素がありつつ
■根底にリアルなメッセージ性があるのが僕ら

──では、オンラインライブに限らず、20周年プロジェクトで立てていた計画を軌道修正した面はありますか?

DAISHI:僕ら、オンラインではお芝居をしてないんですよ。映像を使ったり、MCのときに換気をしているからなんですけど、お芝居がないことによって演奏だけで納得させないといけないという気持ちが芽生えましたね。Psycho le Cémuの武器が使えなかったからこそバンドとして強くなれたし、さらに自分たちらしいエンターテイメントが加わったら、今後はもっといいものを見せられるんじゃないかって思いました。

seek:気持ち的なところで言うとファンの方々と会いたいし、同じ空間でライブができたらという想いはすごく強かったんですが、叶わなかったことによって僕らがファンのことを考えたり、ファンの方がPsycho le Cémuのことを考える時間になったんだったら、絆がより強くなったんじゃないかなと思います。

──その大きい経験を経て、2021年に入って新宿BLAZEやZepp Yokohamaで開催された有観客ライブ<LIVE 2021 NEW BEGINNING>に移行したんですね?

seek:本当はもう少し早い段階で有観客ライブをやる予定だったんですよね。最初にお客さんを入れてやろうと思ったのが、2020年10月2日のデビュー記念日。<勇者物語〜神伝〜再逢いを探す旅 at Zepp Tokyo>というタイトルを冠して、Zepp Tokyoでファンの方々に会えると思っていたんですけど、ギリギリの段階でやはり難しいということになって、無観客配信ライブに切り替えたんです。2021年2月5日の新宿BLAZE公演はDAISHIさんの誕生日ライブでもあったんですが、それも思い出深いライブになりましたね。その日も板付きだったんですけど、幕が開いた時にPsycho le Cémuのファンのみなさんがサイリウムを点けてくださって、その景色がすごくきれいで、“ああ、サイコのライブやってるな”っていう感覚になりましたね。嬉しかったですね。

▲DAISHI [Vo]

──DAISHIさんはリアルにお客さんを前にしてどうでした?

DAISHI:やっぱりお客さんを目の前にして歌うのは楽しかったですよ。あと、やってみて思ったのは、コロナ対策をしっかりしたら安全にライブができるんじゃないか?ということで。もっと“密”になる感じかなと思っていたんですけど、マスク外して飲食するより、マスクしてライブを観るほうがリスクが少ない印象を受けましたね。

──歓声や笑いはないけれど、その代わりに拍手の大きさがあって。制限のある中で、お客さんが一生懸命に盛り上がっている。有観客ライブを観ると感動するんですよね。お互いに想いが伝わっているんだなと。

seek:そうですね。マスクはつけているものの、目は口ほどにものを言うじゃないですけど、目を見たらそういう想いは伝わってきましたし、ありがたいなと思いました。その反面、まだまだ限られた方しかライブに来られていないので。さっきDAISHIさんが言っていたように、ライブを続けていくことで生まれる安心感があって、今はライブに来られない人もまた来られるようになる状況を僕たちが作っていかないといけないとすごく感じたんです。特に2月のライブには両方の気持ちがありました。ライブができて、観に来てくれる方がいてすごく嬉しい反面、圧倒的な数の人たちが会場に来られないし、幸せな状況に至っていないことを痛感しました。なので、5月3日の渋谷公会堂公演もそうですが、ホールということで行きやすいと思う方もいらっしゃるだろうし、できるだけ、そういう場所を作っていって、安心安全を繋げていきたいと強く思いますね。

──機会を積み重ねていくことによって?

seek:ええ。同時にすごく時間がかかることだと思いましたけどね。僕たちが思っている以上にたくさんの人たちがライブを楽しめる状況下にないんだなって。家庭や会社の事情もあるでしょうし、まだ時間は必要だけど、Psycho le Cémuが率先して取り組んでいくべきなのかなって。

DAISHI:こういう時期を逆手にとって、よりPsycho le Cémuを広められたらと思っているんですけどね。ミュージシャンの友達としゃべっているとみんな同じ状況で。ボーカリスト4人ぐらいで話をしたんですけど、「ゼロから頑張ろうよ」っていうのが共通の意識でしたね。みんな最初はお客さんが少ないところからバンドを始めていますから。


──仲のいいボーカリスト同士でそんな話をしていたんですね。ちなみに、Psycho le Cémuは全員が白い衣装にしたことにもメッセージが込められているんですか?

DAISHI:AYAくんが「有観客ライブをやるときは正装したい」って言ってて、白い衣装のイメージが漠然とあったみたいですね。

seek:「自分たちにはカラフルなイメージがあるけど、何色にも染まっていないPsycho le Cémuを表現したかった」ってカッコいいことを言ってましたね(笑)。

DAISHI:「髪の色まで白くしたい」と言ってて(笑)。

seek:その衣装のお披露目が10月のデビュー記念日のライブだったんです。

DAISHI:メンバーの髪の色と衣装が派手なのが僕らのひとつの売りだけど、その売りを全てとっぱらった状態でライブするっていう。結果、より音楽に集中できましたけどね。

──そのAYAさんのアイディアが21年目だったり、ライブタイトルの<NEW BEGINNING>とリンクしているわけですね。

seek:そうですね。

──「あきらめないDAYS」や「愛の唄」に代表されるように、Psycho le Cémuは聴く人や観る人を笑顔にさせるバンドであり、現実世界から逃避できるファンタジーな要素も持っていると思います。今回改めてPsycho le Cémuの存在意義について感じたことはありましたか?

seek:Psycho le Cémuってすごく不思議なバンドで、ファンタジーとリアルが混在していると思うんです。衣装や演出にはファンタジー要素がありつつ、その根底の部分はおっしゃっていただいた「あきらめないDAYS」のメッセージ性のようにリアルな部分もある。コロナ禍で、そういう曲たちの意味がさらに増している気がしますね。ライブに関していうと、ファンのみなさんも僕たちもこういう状況下でライブができることが、すごく大きな喜びであって楽しまなきゃっていう空気になっていると思うんです。でも、本来ライブは何も考えずに楽しむものじゃないですか。手放しに“楽しかった”ってできるだけ早く思えるようなものを作っていきたい。「楽しまなきゃ」っていうんじゃなく、どっぷり、その世界観に浸かっていただけるように。

DAISHI:嫌なことを忘れられるような非現実的な世界観の中にメッセージ性があるのがPsycho le Cémuなので、「明日から頑張ってまた生きよう」と思ってもらえたり……。それは僕らも同じで、ライブが終わった後は「明日から頑張ろう」と思いますよね。

──DAISHIさん自身もパワーをチャージできる。

DAISHI:はい。そういうメッセージを込めた曲が多いですよね。


──メンバーとは長年の付き合いですが、こういう日々の中、頼もしいなと思ったことはありました?

DAISHI:みんな頼もしいですよ。阿吽の呼吸というか、“この部分はこのメンバー”とか“ここは俺だな”と思って頑張る時もありますし、バランスがいいですね。AYAくんに関しては何を言い出すかわからないから読めないですけどね(笑)。

seek:阿吽の呼吸で全部いけそうな気がしたんですけど、2月のDAISHIさんの誕生日ライブのサプライズはビックリするぐらいグズグズでしたね(笑)。20数年バンドやってて、こんなにひどいサプライズがあるんや!?と思ったぐらい。

DAISHI:「ハッピーバースデー」が全く歌えなくて、演奏もグシャグシャっていうね(笑)。

seek:あれはステージで腹抱えて笑いました(笑)。

DAISHI:3月のライブ<LIVE 2021 NEW BEGINNING>3月12日(金)@KT Zepp YokohamaがAYAくんの誕生日だったので、あの失敗を繰り返さないように、今までにないぐらい打ち合わせを細かくやった上で歌いました(笑)。

──ははは。LidaさんやYURAサマのエピソードも教えてください。

seek:YURAサマは本当に配信向きの人で、水を得た魚のようですね。通常のライブよりパフォーマンスが良くなるんですよ。

DAISHI:「いつも自分がカメラに抜かれているイメージがあるから、配信はすごく好き」って言ってました。いつでもカッコよく見られるようにいたいって。カメラの向こうのファンにすごくアピールするんですよ。普通のライブなら、出しゃばり過ぎですけど、オンラインライブだとちょうどいい(笑)。けっこうなベテランなのに、あんなにカメラに向かってしゃべる人はいないと思いますね(笑)。

seek:そのあたり、YURAサマはさすがやと思いましたね。

DAISHI:Lidaさんはふだんから練習大好きですけど、初のオンラインライブのアーカイブ配信後は、さらにだいぶ練習したと思います。ギターにかなり触ったんやろうなって。難易度の高いフレーズでも明らかにピッキングミスが減ってますし、意識が変わった気がしました。

seek:あとはコロナ禍の中、いちばん判断が慎重でしたね。ちゃんと対策をとるということに関しても。

DAISHI:今でもそうですね。普段からゴーグルみたいなメガネしてますから(笑)。アルコール風呂に入っているんじゃないでしょうか(笑)?

◆インタビュー【3】へ
◆インタビュー【1】へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報