【速レポ】<中津川ソーラー>土岐麻子×Rei、「自然と共存するということ」
容赦なく照りつける太陽光が少し和らいだ夕暮れ時の17時20分、REALIZE STAGEに登場したのが土岐麻子 × Reiだ。世代と音楽性を越えた2人の女性アーティストによるコラボユニットが、中津川に新たな可能性を描いた。
◆土岐麻子×Rei 画像
同じ音楽事務所に所属する両者の初共演は土岐麻子の台湾ツアーにReiがギタリストとして参加した一昨年のこと。昨年はRei企画イベント<Reiny Friday -Rei & Friends- Vol.6>に、“Friends”としてReiが土岐麻子を招くなど両者の親交は深い。しかし、土岐麻子 × Reiというカタチでのコラボ共演は今回が初。都会的で洗練された土岐麻子の音楽性と、ブルースを基調とするReiのスタイルが、同じステージ上でどのような化学反応を起こすのか。REALIZE STAGEが2人の登場の時を待っている。
オープニングナンバーはThe Chordettesの「Mister Sandman」だった。この'50sの名曲カバーは土岐麻子のライブでもお馴染みであり、美しいツインボーカル・ハーモニーで披露される軽快なPOPアレンジがREALIZE STAGEを華やかに染め上げていく。2人の歌声に誘われるように客席後方まで人の波が押し寄せた。
「ハーイ!エブリバディ!ナカツガワ!」とReiが流暢な英語で挨拶すれば、土岐麻子がそれを「中津川のみなさん、こんにちわ!」と即座に和訳するなどトークのコンビネーションも見事。よく見れば、土岐麻子のパンツとReiのノースリーブシャツは同じ柄だったり、衣装でも2人のコラボが実現していた。
また、確かなギターテクニックに裏付けられたノリのいい「JUMP」をReiが披露した直後、それとは好対照に土岐麻子がゆったりとした「mellow yellow」で芳醇な歌声を響かせるというコントラストもセットリストを色鮮やかなものに。再び土岐麻子とReiが揃ったステージ上で、2人はReiのデビュー前から面識があったことが明かされる。
「一番最初に会ったのは、関西のインストアライブのとき。私の知り合いが“近所のお嬢さん”を連れてきてくれたんですけど、それがReiちゃんだった。たしか、まだ高校生だったよね」──土岐麻子
「「Gift 〜あなたはマドンナ〜」とか大好きで聴いていた頃です。そのライブのときに、素敵な曲だなと思ったのが次の曲で。一緒に演奏できるなんて感慨深いです」──Rei
Reiの言葉を受けて、「お互いのことをもっと知れるように、“好きなものしりとり”でもしますか?」という土岐麻子の返答が導いた楽曲は「私のお気に入り」。“きみどり / りかしつ / つかれてかえったおふろのおんど / どれみふぁ……”といった具合に、短い言葉が2人の掛け合いで矢継ぎ早に展開していく同曲は、まるで、最初から2人のデュエットソングとして存在していたかのように呼吸もピッタリだ。
ジャズアレンジに場内がスウィングした土岐麻子の「SUNNY SIDE」、王道ロックンロールフレーズの応酬がホットなReiの「Route 246」は、トオミヨウ(Key)、玉木正太郎(B)、鈴木浩之(Dr)との一体感がバンドグルーヴを熱量の高いものにしていく。3人は土岐麻子のツアーメンバーであり、玉木がReiとも関わりが深いこともあって5人による演奏は上昇気流を描くばかり。
「楽しいですね」とReiが満面の笑みで土岐に語りかければ、「何日間かリハもやったけど、今日が一番楽しいね」と見つめ合って返す。このゆるやかな空気感も中津川ならではのものだろう。2人だけで奏でられたラストナンバーはマイケル・ジャクソンのカバー「HUMAN NATURE」。「太陽の力を借りて音楽を演るって、自然と共存するということで。<中津川ソーラー>のコンセプトとも合致したこの曲を一緒に演りたかった」と語られた「HUMAN NATURE」のアコースティックアレンジは、ジャンルを超えて2人の共存が実現したコラボの大成功を物語るものでもあったようだ。
取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
撮影◎高橋良平
【土岐麻子×Rei@REALIZE STAGEセットリスト】
02. JUMP
03. mellow yellow
04. 私のお気に入り
05. SUNNY SIDE
06. Route 246
07. COCOA
08. STRIPE
09. HUMAN NATURE
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018>
2018年9月23日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
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