【ライヴレポート】MERRY、完全燃焼のゾンビツアー・ファイナル「これからも5人で前に進んでいく」

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ここは地獄か、それとも天国へと抜ける手前の燃えたぎった闇の中か? 凄まじいライヴだった。

◆MERRY~拡大画像~

ゾンビメイクを施し、4人だけで廻ったMERRYの全国ツアー<THEZOMBIE~地獄に堕ちた野郎ども~>が5月24日にZepp DiverCityでファイナルを迎えた。

ミラーボールの下、ステージやセンターの花道に幾数もの風車が飾られた異様な空間に集結しているのは、メンバー同様、多くがゾンビに扮したオーディエンスだ。

オープニングナンバーはMERRY初期のナンバーを今回のツアーのためにアレンジした「バイオレットハレンチ」ならぬ「バイオレットゾンビ」。血の色のような照明、緊迫感のカタマリのような演奏、ガラの気迫のこもったヴォーカル。3曲が終わった時点で天国席と称された2階の指定席にも“熱気”が湯気のごとく、たちのぼってくる。上半身、裸になったガラが曲のイントロで背中を向けて舞踏のようなパフォーマンスを披露する。もし、自分が高校生だったら、禁断の空間に来てしまった感覚を覚えただろう。そして、気がついたら、抜け出せなくなっているに違いない。

2013年のツアー中に事故に見舞われたテツの復帰を待つという想いを抱えた上で、このツアーは行なわれた。だから、ステージに立っているのは、ガラ、結生、健一、ネロの4人だけである。バンドの支柱であるベーシスト不在のまま、ライヴを行なうこと自体、挑戦だが、MERRYはその逆境を強靭なパワーへと変えてみせた。ライヴの定番曲「Midnight Shangrila」ではガラ、結生、健一の3人が花道で煽り、さらに場内を沸かせたが、瞬発力とスピード感に身体ごと持っていかれるような演奏は鬼気迫るものがあった。そして、ミラーボールが赤い照明に照らされ、MERRYらしいレトロで哀愁のあるメロディが光る新曲へと──。

このツアーではタイトル未定の新曲が3曲も披露されたが、それが不動のメンバーで結成13年目を迎えたMERRYが前に進んでいくという意志であることは誰よりもファンが痛いほど感じとっていただろう。ネロが激エモーショナルなドラムを叩き、カッティングとフレージングのセンスが素晴らしい結生と健一のギター陣はときにテツの役割を兼ねるようなビートを刻み、ステッキや拡声器などの小道具を巧みに操り、演者とむき出しのヴォーカリストの両方の顔を持つガラは夢に出てきそうなほど刺激的だ。

「ジャパニーズモダニスト」の後で披露された2曲目の新曲はイントロでネロが立ち上がってドラムを叩き、結生が「みんなでゾンビになるぞ! 蘇生するぞ!」と叫んだ楽器陣によるインストゥルメンタル。この時点で天国席もすでに地獄席にのっとられてしまったかのように熱い。どれぐらい灼熱かというと、今すぐプールに飛びこみたい気分だ。ステージ下手からウサギのマスクをかぶったガラがゆらゆらと踊り、“絶望”と叫び続け、桶と柄杓を持って、沸騰寸前のオーディエンスに花道から水をかける。「オイ! 前、もっと行けるだろ!?」と煽り、ネロもドラムから離れて花道で叫び、「オリエンタルBLサーカス」へと突入。容赦ない攻撃的なナンバーがたて続けに放たれ、意識は朦朧としてくるが、いつしか、ゾンビたちによって桃源郷へといざなわれる錯覚に陥るカタルシスの塊のようなライヴだった。本編ラストは、今回はイカれたショーの終わりを告げるポジションとして演奏された「不均衡キネマ」。


アンコールではメイクを落としたメンバーがステージに登場し、ネロは「ハロウィンでもないのに、とんでもない企画につき合ってくれてありがとう。最高です。(ゾンビメイクのファンに向かって)白い目で見られなかった?」と問いかけ、「大丈夫」と元気に答えるみんなに「メンタル強いね」と笑い、「今日もテツさんからの贈り物です」と、テツ作曲のメロディアスかつ棘がある突き抜けたダンスチューン(新曲3曲目)を披露。「やさしさキッド」ではコール&レスポンスで盛り上がり、最高のパンクチューン「消毒」ではガラが「オマエらみたいな腐ったゾンビは消毒だ!!」と叫び、派手にCO2を巻き散らし、最後はステージが真っ白になり、ガラの姿が見えなくなるほど。この後に披露された「陽の当たらない場所」はいつも以上に沁みてきた。

そして、ダブルアンコールはガラが名古屋でテツから預かったという手紙を読むところから始まった。

「待っていてくれてホントにありがとう。今日のライヴを目標としていたのですが、間にあいませんでした。俺がMERRYの一員としてライヴ映像を見ていて思うことは未来への道は確実に開けているということです。また、再会できるのを楽しみにしているよ」

すすり泣く声も聞こえる中、ガラは「今年は俺ら、止まらずにガンガンやっていきたいと思う。テツさんが帰ってきたら、どんだけすげえバンドになるのかって思うので、期待していてほしいと思います」と力強く宣言。リハビリ中のテツがMERRYに戻ってくる意志を確認したことにも言及し、ネロも「ファイナルの今、この時点で光は見えてる。答えは見え始めてるから」と伝えた。そして、演奏されたのは“灼熱の太陽目指し 無限地獄から這い上がれ”と歌う「ZERO -ゼロ-」。「ラスト!!」と叫んだ「梟」の曲中でガラは「MERRYはこれからも5人で前に進みます。どうかしっかり見ておいてください。このツアーでバンドの楽しさを知りました。ありがとう!」と叫んだ。


メンバーがステージを去っても鳴りやまないアンコール。その熱い歓声に応えて再びステージにあらわれたMERRYは、冬にアルバムを出すこと、7月5日に東京キネマ倶楽部で、7月14日に東京・下北沢GARDENでファンクラブ限定ライヴを行なうことを報告し、「愛国行進曲」で最高の野郎ども&オーディエンスによる完全燃焼の一夜は幕を閉じた。立つのがやっとなぐらいにフラフラになったネロは、「13年間の中で最高の儀式でした。絶対、5人で戻ってくるからな」と言い残し、ステージを去った。

取材・文●山本弘子
撮影●中村卓

<THE ZOMBIE ~地獄に堕ちた野郎ども~>
2014/5/24(sat) Zepp DiverCity -【D・D・D】-★ZOMBIE NIGHT
01 バイオレットゾンビ
02 ビニ本2丁目八千代館
03【collector】
04 青年秘密倶楽部
05 センチメンタル・ニューポップ
06 Midnight Shangrila
07 新曲01
08 東京テレホン
09 罪
10 ジャパニーズモダニスト
11 新曲02
12 絶望
13 オリエンタルBLサーカス
14【human farm】
15 妄想rendez-vous
16 不均衡キネマ
ENCORE I
01 新曲03
02 やさしさキッド
03 消毒
04 陽の当たらない場所
ENCORE II
05 ZERO -ゼロ-
06 梟
ENCORE III
07 愛国行進曲

MERRY
NEW ALBUM 今冬リリース決定

ガラ誕生日記念興行 第一回『自作自演』
7月5日(土) 東京キネマ倶楽部
[開場/開演] 17:00/17:30
[チケット料金] スタンディング ¥4,700 ※税込/ドリンク代別
[一般チケット発売日] 6/21(土)
[総合問合せ] NEXTROAD 03-5712-5232(平日14:00~18:00)
※COREチケットをお持ちのCORE会員の方には特典が付きます。

CORE限定 健一BIRTHDAY企画 『PREMIUM LIVE』
7月14日(月) 下北沢GARDEN
[開場/開演] 18:30/19:00
[チケット料金] スタンディング ¥4,200 ※税込/ドリンク代別
[総合問合せ] NEXTROAD 03-5712-5232(平日14:00~18:00)
※MERRY MEMBERS' CLUB CORE会員のみご購入が可能です。一般発売はございません。

◆MERRYオフィシャルサイト
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