【ボーカル座談会:後編】Eins:Vier × Gargoyle × Valentine D.C. × メリー × H.U.G「楽しい2日間になると思う」
Eins:Vierが12月22日および23日の2日間、主催イベント<Eins:Vier PRESENTS “KATHARSIS 2023”>を東京・赤羽ReNYで開催する。バンド結成30周年のプロジェクト企画として2020年に開催を予定していた<KATHARSIS 2020>だが、コロナウィルス感染拡大の影響で中止に。そしてこのたび、出演者も新たに<KATHARSIS 2023>と題し、改めてイベントを実施する。なお、<KATHARSIS>は1993年に第3回が行われて以来、30年ぶりに復活させるイベントでもある。
◆<KATHARSIS>出演者 画像
BARKSでは、時代や世代を超えてのマッチアップとなる<KATHARSIS>開催に合わせて、主催者Eins:VierからHirofumi、初日出演者にしてEins:Vierとは初対面となるメリーからガラ、元D’ESPAIRSRAYのKaryuの新プロジェクトH.U.Gからryo、そして2日目に出演する大先輩のGargoyleからKIBA、旧知の仲であり同期といって過言でないValentine D.C.からKen-ichiという、出演者5組のボーカリストに集まってもらった。
1980年代、LOUDNESSやEARTHSHAKERや44MAGNUMなど、日本のハードロック/ヘヴィメタルを牽引するバンドを世に送り出してきた大阪の心斎橋BAHAMA。1990年代のヴィジュアル系創世記にはAfter ZEROなるインディーズレーベルを始動、次々とバンドをメジャーシーンへ進出させてきた。その中心であり、今も活動を続けるEins:Vier、Gargoyle、Valentine D.C.の盟友3組。さらには、Eins:Vierのフォロワー世代となるメリーとH.U.G。時を超えた彼らの貴重なクロストークを前編と後編に分けてお届けしたい。
▲Hirofumi (Eins:Vier)
◆ ◆ ◆
■バンドは芸術…自己表現の場だから
■横の人と比較しない。基準は以前の自分
──<KATHARSIS 2023>初日に出演するガラさんとryoさんも大いに参考にしたいところだと思いますが、Eins:Vier、Gargoyle、Valentine D.C.といったバンドが紆余曲折ありながらも、結成から30年以上を経た今もこうして活動を続けられている理由は?
KIBA:Gargoyleは今年で36年目。止まらずに。
Hirofumi:Eins:Vierは途中解散してますけど、結成から33年。これしかないからですよね、再結成して今またやろうと思えるのは。やっぱり自分はEins:Vier中心の音楽人生やから、Eins:Vier脱退後もそれが中心だったんですよ。俺のなかでEins:Vierを超えるものがない。売れる/売れないとかではなくて、“俺の人生を捧げるもの”と思ってやってたのがEins:Vierやから、脱退後もそれ以上のものが現れようがない。再結成後も俺の中心にEins:Vierがあるし、求めてくれる人がいるという事実が分かったから、続けていけてる。
Ken-ichi:Valentine D.C.も途中で解散してるんで、あまり偉そうなことは言えないけど。解散した後、ソロも他のバンドもいろいろやりましたけど、やっぱり自分は青春時代をValentine.D.C.で駆け抜けてきたわけだから、そこに戻っちゃうんですよ。Valentine D.C.解散後に始めたバンドのほうがキャリア的には長いし、こんなこと言うとそのバンドのファンに怒られちゃうから言いたくないんだけど。やっぱりValentine D.C.が自分の中の芯になってるんだと思います。しょうがないですね、こればかりは。みんなそうだよね?
▲KIBA (Gargoyle)
Hirofumi:20代の全てを捧げてたものって唯一無二なんですよ。その次に始めたバンドとかが売れて職業になってたら、また価値観は変わってたのかもしれへんけど……でも、そういうのでバンドをやってないですからね。生きるためとか生活のためにEins:Vierをやってるわけじゃない。
Ken-ichi:そう。逆に、生活を切り崩してやってきたのがValentine D.C.だから。
Hirofumi:音楽をやる以上、お金って掛かるんだけど、メジャーを経験すると生活のすべてを音楽に注げる充実感を得ることができる。お金の心配がないからね。そういう経験を通して、お金の重要性はもちろん知ってるけど、生活のためにバンドをやれるのかっていったらそれはできない。だから、余計にできるのかもしれないね、今でもEins:Vierを。
Ken-ichi:エヴァンゲリオンに例えると、エヴァはバンドなんですよ。そこに搭乗しないと俺自身は何もできないし、何者でもない。主人公のシンジ君と同じように、自分も逃げ出しちゃうようなダメ人間なんです。だけど、エヴァに搭乗することで戦えてたわけで。で、あるときに一回搭乗するのを辞める…つまりバンドを解散したんですけど、その後、もう一回乗ってみたら、心地いいわけです。しかも、そこに乗ることで自分が周りから存在を評価されるんですよ、ソロでやってるときよりも。評価されると人間ってやっぱり嬉しいんですよね、単純に。
Hirofumi:あぁ、それ分かるわ。
▲Ken-ichi (Valentine D.C.)
Ken-ichi:Valentine D.C.を今も続けている理由のひとつはそこにあるんだろうなと。Gargoyleもメンバーは変わってるんですよ。でもKIBAさんがいい意味で化け物というか、KIBAさんという生き物だから、Gargoyleはまったく変わらないんですよ。
KIBA:それって僕、褒められてる(笑)?
Ken-ichi:褒めてますよ。出会ったときからKIBAさんは変わってない。そこがすごいんです。
Hirofumi:変わったのは、しゃべるようになったぐらいで。
KIBA:最初はまったくしゃべってなかったからね。さすがにそこは大人になりました。ちゃんと約束の時間も守るし。
Hirofumi:そう! 今日のこの座談会も1階のロビー集合だったんですけど、“KIBAさん、まだ来おへんな。遅れて来るかな”って思いながらこの取材部屋に入ったら、先に到着していたというね。
KIBA:そういうところはちゃんとするようになった。
▲ガラ(メリー)
ガラ:一番年下の僕は、一番最初に集合場所へ到着してなきゃいけないと思って、取材開始20分前には建物前に着いたんですよ。ところが外からロビーを見たら、すでにKIBAさんがイスに座ってらっしゃってて。“もうこれはダメだ…”と思って引き返しました(笑)。
Hirofumi:なぜ引き返したの(笑)?
ガラ:今入ったらKIBAさんの後になってしまうので。それならば入り口の外でみなさんの到着を待って、一緒に入ったほうがいいかなと考えたんです。だから、一度コンビニに行って時間を調整しつつ、入り口で待機してました。
KIBA:早く来すぎちゃってすみません(笑)。ロビーのデジタルサイネージを見てたら、このビルに日本コロムビア(レコード会社)も入っていることに気づいたんですけど、Gargoyleのメジャーデビューはコロムビアからだったんですよ。最初、コロムビアの会議に連れて行かれたんですけど、当時のディレクターから「この人(KIBA)に音楽的な才能はない」って言われたことを思い出しました。
Hirofumi:契約前から分かってもらえてたわけですね、KIBAさんのスタイルを。
▲ryo (H.U.G)
KIBA:そう、僕に音楽的なことを期待されても困るからね。自分のなかでバンドは芸術なんですよ、自己表現の場だから。横の人と比較はしないし、基準は縦…つまり以前の自分なんです。以前の自分よりも的確に自分を表現できてるかどうか? それだけを基準として常に考えてる感じ。それを表現できるのが僕にとってのGargoyleだから、“こんなに面白ことはない”ってワクワク楽しんでやってる感じです、今も昔も。
ガラ:今も昔も変わらず、ですか…すごい。俺ももっと頑張ろう、楽しまなきゃいけないと思いました。
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