【ライヴレポート】Eins:Vier主催<KATHARSIS>DAY1、メリーとH.U.Gを迎えて3マン初共演「アインス聴いて育ちました」

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2023年12月22日および23日、東京・赤羽ReNYにてEins:Vier主催イベント<Eins:Vier PRESENTS “KATHARSIS 2023”>が開催された。このイベントはもともと2020年のバンド結成30周年のタイミングで企画されていたものだが、コロナウィルス感染拡大の影響で中止になり、同年7月にEins:Vierは単独で無観客配信ライヴを実施。今回は出演者も新たに、満を持しての開催となった。

◆<KATHARSIS>DAY1 画像

2DAYS開催された<Eins:Vier PRESENTS “KATHARSIS 2023”>は、初日12月22日に、Eins:Vierフォロワー世代の代表格メリー、AngeloのKaryuによる新バンドH.U.Gといった2バンドが出演。2日目12月23日は、Eins:Vierのアフターゼロ時代の盟友GargoyleとValentine D.C.といった2バンドが出演。両日、Eins:Vierを加え、ぞれぞれ3バンドが出演する形だ。Eins:Vierと今まで交わらなかった世代との共演、あの時代が令和に蘇る共演。それぞれ趣向の異なる2DAYSずつのスリーマンイベントとして行われた<Eins:Vier PRESENTS “KATHARSIS 2023”>のレポートをお届けしたい。

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▼H.U.G






初日22日のトップバッターを務めたのはH.U.G。ryo(Vo)、Karyu(G)、横山和俊(Mani, Key, Per)に、サポートメンバーのNAOKI(B / FANTASISTA, ex.Kagrra)、TAKEO(Dr / PIERROT, Angelo)を加えた5人は、真っ白な衣装でステージに登場。H.U.Gにとってこの赤羽ReNYは、ちょうど1年前の2022年12月にバンドのデビューを飾った地であり、この日が2023年のライヴ納めということで気合も十分。

ステージ中央で円陣を組み、気合を入れると、幕開けは「HELIOS」。最初の一音からバーストするような勢いで躍動していく。「DROP」は爽快感のある始まりから、どんどんヘヴィに展開していくナンバーで独特の世界観を見せつけ、ヘドバンでフロアを揺らした「WHO IS THE ROMEO」では観客をしゃがませて「3、2、1」でジャンプさせる場面も。イベントのトップバッターでありながら、頭3曲ですっかりフロアを掌握している感があった。

▼H.U.G






その後は、「リリースしていない新曲を」とメロディアスなミディアムナンバー「ロゼ」や、熱を帯びたラブバラード「LOVE THAT NEVER ENDS」をじっくりと聴かせた。

MCでは、ryoがEins:Vierの作品のデザインをいくつか手掛けたという接点を明かし、「こういう形で参加させてもらえて、とっても嬉しいです!」と語った。メンバーコールとソロ回しで盛り上げた「MEMBER CALL」からの終盤戦は、「愛の歌を歌おう」と「HEART」をエモーショナルに響かせ、ラストは「SEEDS」を披露。シャウト混じりのryoのボーカルと、重量感のある力強いアンサンブルで熱い余韻を残した。

▼メリー





幕間のご機嫌なクリスマスソングから、登場SEの「S.trip theater」に変わると、ぴりっと空気が一変した。二番手はメリーが登場。ガラ(Vo)の高らかな口上から始まるサイケデリックなロックチューン「psychedelic division」、パンキッシュな「Midnight Shangrila」と、熱量高くフロアを煽っていく。ソリッドなリフを刻む結生(G)、テツ(B)のベースは小気味良く、ネロ(Dr)は時折立ち上がってさらに観客を煽る。

メリーは目下、“変態ポップ”というキーワードを掲げたツアーを回っている真っ最中。その核となっている「ユーモア」は、歌謡曲もパンクもラップもタンゴも、いろんなエッセンスをごちゃまぜにしたタイトル通りユーモラスなナンバーで、めくるめく展開にぐいぐいと引き込まれていった。この日もガラの歌は表情豊かだった。行き場のない悲しみを歌う「最後の晩餐」では悲痛な叫びを歌に忍ばせ、激しい雨音から始まった「さよなら雨」ではジャケットをかけたマイクスタンドを相手に、切なさの滲んだパフォーマンスを見せた。

▼メリー





クリスマスを飛び越えて一足早くお正月がきたかのように、箏曲「春の海」が流れると、ガラのお立ち台としてステージに設置してある学習机の中から、おもむろに習字道具を取り出した。「こんばんわ/たいだんで/しゅうじみたいと/いわれたので/アインスは/ぜったいなんで」と、2023年11月にBARKSで実施した<KATHARSIS 2023>ボーカル座談会での約束を律儀に守るガラ。「さてメリーです/すみはいたら/よしつぐさんにしばかれる」と書くなり、口に墨を含んで吐き出した。

してやったりな表情を浮かべながら、「踊れ!」と「不均衡キネマ」で会場のテンションを引き上げると、メリーの揺るぎないスピリッツを象徴するロックチューン「梟」「群青」を連投。最後に「こんなんですけど、アインス聴いて育ちました。メリーでした」とメッセージを残し、ステージを後にした。

▼Eins:Vier




紗幕がゆっくりと上がり、コクトー・ツインズの「The Spangle Maker」が流れると、いよいよEins:Vierの登場だ。Yoshitsugu(G)、Luna(B)、サポートドラムの岡本唯史(Dr)による「Dear song」のイントロの美しいアンサンブルに身を委ねていると、心身が“整う”とはこういう感覚なのか、と思ったりした。Eins:Vierへと整っていく感じだ。そこに乗るHirofumi(Vo)のあたたかなボーカルが切なく胸を打つ。「Not saved yet」ではディレイのかかったYoshitsuguのギターの音が浮遊する光の粒のように綺麗で、その音と光を全身に浴びながら気持ちよさそうに歌うHirofumiの姿が印象的だった。

H.U.G、メリーのステージを観ていたHirofumiは、当時のノスタルジックな記憶が甦ったようで、「<KATHARSIS>っていうのは随分前に地元の大阪で俺らが主催してやってたイベントなんですけど、今以上に黒塗りの人たちがいっぱい出てすごい激しくて。ノリノリの会場の中、俺らがスンって出て行って(笑)、すごい遅いテンポでなんとか踏ん張ってやってたイベントなんですけど、今日もなんとか踏ん張って最後までやるんで、楽しみにしててください」と語った。

▼Eins:Vier




透明感のあるアルペジオと、メロディアスなベースが絡みあうシリアスなロックチューン「Notice」の後、冬を舞台にしたラブソング「街の灯」や、バンド結成初期の名曲「I feel that she will come」でやわらかなボーカルを聴かせた。「Both we and audience」ではアグレッシヴにステージで跳ねるHirofumiと一緒にジャンプするフロア。サビではLunaのコーラスに合わせて合唱が起こり、一体感を深めたところで、エッジの効いたロックチューン「L.E.S.S.O.N」へとなだれ込み、“空を仰いだなら僕は”と始まる「after」では、バックの大きなスクリーンに青空の映像が広がった。目を閉じて大切な想いを込めるように歌ったHirofumiは、アウトロで何度も「ありがとう」と感謝の言葉を発し、本編を締めくくった。

アンコールではEins:Vier のメンバーと、H.U.Gのryo、メリーのガラ、そして実はこの日体調不良だったLunaにベースを託され、メリーのテツもステージへ。全員で「In your dream」をセッション。愛に溢れたセッションに、会場から大きな歓声と拍手が贈られた。


▲Session

取材・文◎大窪由香
撮影◎荒川れいこ(zoisite)

■<Eins:Vier PRESENTS “KATHARSIS 2023”>DAY1 12月22日(金)@東京・赤羽 ReNY alpha セットリスト

【H.U.G】
1. HELIOS
2. DROP
3. WHO IS THE ROMEO
4. ロゼ
5. LOVE THAT NEVER ENDS
6. HEART
7. SEEDS
【メリー】
SE. S.trip theater
1. psychedelic division
2. Midnight Shangrila
3. ユーモア
4. 最後の晩餐
5. さよなら雨
6. 不均衡キネマ
7. 梟
8. 群青
【Eins:Vier】
1. Dear song
2. Not saved yet
3. Notice
4. 街の灯
5. I feel that she will come
6. Both We and Audience
7. Lesson
8. After
【Session】
en1. In your dream

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